71 / 113
第三部
第七章 二度目の恋と最後の愛 4
しおりを挟む
用は済んだと、カインは早々に王宮を辞そうとしたが王妃がそれを許さなかった。
王妃は、庭園のサロンにカインを呼びつけたのだ。
カインは、早く屋敷に戻り、シーナに改めてプロポーズをするつもりだったため、気もそぞろだったが、サロンで王妃に言われた言葉で絶句したのだった。
「ところで、貴方の恋人となった?シーナちゃんって甘いものが好きなのよね?ね?ここに、蜂蜜のたっぷり掛かった美味しい蜂蜜パイがあるんだけど、ああ、わたくしだけじゃ食べ切れないから、誰か一緒に食べてくれる人はいないかしら~」
そんな事を言いながら、カインのことをチラチラと見る王妃に、カインは頭を抱えた。
「母上……、それなら、そのパイを少し頂いていきます。シーナにお土産として持っていきますので」
まさかのカインの言葉に王妃は非難の声をあげた。
「ちょっと、カイン!貴方ね、今の流れでそうなる?普通、一緒に食べてくれる人を求めている人間に対して貴方非道よ!ここは、シーナちゃんを連れてくる流れでしょう?」
「いえ、まったく」
カインの即答に王妃はさらに言い募った。
「鬼畜!!ロリコン!!母の寂しい心を慰めようとかいう気持ちはないの!?念願の娘が出来ると言う喜び分かっているでしょう!!ミーちゃんの時は貴方が接触を禁止するから、お話することも出来なかったんだし、今度こそ娘となることをキャッキャウフフしたいのです!!」
「はぁ、母上のその性格が……。今回も禁止です。純情無垢なシーナの教育に悪いので。パイの感想は聞いて手紙を書くので安心してください」
「むっ!!王妃命令よ!!ナッちゃんを連れてきなさい!!」
「はぁ、結婚の挨拶をしに一緒に来ますよ……」
「約束ですよ。嘘だったら、貴方の恥ずかしい話をナッちゃんに言ってしまいますからね」
「うっ……。分かりました……」
こうして、帰り際に王妃によって、シーナを王宮に連れて行くことを約束させられたカインだった。
用事が済んだカインは、急ぎ目で屋敷に戻った。
屋敷の修繕工事の手配は既にしているが、業者が入るのは明日になるという話だったので、瓦礫と化した屋敷の部分はそのままとなっている。
リビングに向かうと、楽しげな声が聞こえてきていた。
その温かくも優しい空気にカインの口元は自然と綻んでいた。
この時までは。
リビングに入ると、カインの目に飛び込んできた光景に絶句した。
リビングのソファーに座るシエテの膝に乗せられたシーナの姿があった。
しかし、ただ膝に乗せられているだけではなく、後ろから抱っこするようにぎゅっと抱きしめてピッタリと体を密着させた姿だった。
さらに、シーナにお菓子を手ずから食べさせているという、なんと羨ましい事をしているんだとカインはその姿に嫉妬の炎がメラっと燃え上がるのを感じた。
だが、その炎もある者の言葉に霧散した。
「旦那様、おかえりなさい。お茶のご用意は出来ているのでお掛けください」
そう、謁見の間で別れたはずのミュルエナがそこにいたのだった。
王妃は、庭園のサロンにカインを呼びつけたのだ。
カインは、早く屋敷に戻り、シーナに改めてプロポーズをするつもりだったため、気もそぞろだったが、サロンで王妃に言われた言葉で絶句したのだった。
「ところで、貴方の恋人となった?シーナちゃんって甘いものが好きなのよね?ね?ここに、蜂蜜のたっぷり掛かった美味しい蜂蜜パイがあるんだけど、ああ、わたくしだけじゃ食べ切れないから、誰か一緒に食べてくれる人はいないかしら~」
そんな事を言いながら、カインのことをチラチラと見る王妃に、カインは頭を抱えた。
「母上……、それなら、そのパイを少し頂いていきます。シーナにお土産として持っていきますので」
まさかのカインの言葉に王妃は非難の声をあげた。
「ちょっと、カイン!貴方ね、今の流れでそうなる?普通、一緒に食べてくれる人を求めている人間に対して貴方非道よ!ここは、シーナちゃんを連れてくる流れでしょう?」
「いえ、まったく」
カインの即答に王妃はさらに言い募った。
「鬼畜!!ロリコン!!母の寂しい心を慰めようとかいう気持ちはないの!?念願の娘が出来ると言う喜び分かっているでしょう!!ミーちゃんの時は貴方が接触を禁止するから、お話することも出来なかったんだし、今度こそ娘となることをキャッキャウフフしたいのです!!」
「はぁ、母上のその性格が……。今回も禁止です。純情無垢なシーナの教育に悪いので。パイの感想は聞いて手紙を書くので安心してください」
「むっ!!王妃命令よ!!ナッちゃんを連れてきなさい!!」
「はぁ、結婚の挨拶をしに一緒に来ますよ……」
「約束ですよ。嘘だったら、貴方の恥ずかしい話をナッちゃんに言ってしまいますからね」
「うっ……。分かりました……」
こうして、帰り際に王妃によって、シーナを王宮に連れて行くことを約束させられたカインだった。
用事が済んだカインは、急ぎ目で屋敷に戻った。
屋敷の修繕工事の手配は既にしているが、業者が入るのは明日になるという話だったので、瓦礫と化した屋敷の部分はそのままとなっている。
リビングに向かうと、楽しげな声が聞こえてきていた。
その温かくも優しい空気にカインの口元は自然と綻んでいた。
この時までは。
リビングに入ると、カインの目に飛び込んできた光景に絶句した。
リビングのソファーに座るシエテの膝に乗せられたシーナの姿があった。
しかし、ただ膝に乗せられているだけではなく、後ろから抱っこするようにぎゅっと抱きしめてピッタリと体を密着させた姿だった。
さらに、シーナにお菓子を手ずから食べさせているという、なんと羨ましい事をしているんだとカインはその姿に嫉妬の炎がメラっと燃え上がるのを感じた。
だが、その炎もある者の言葉に霧散した。
「旦那様、おかえりなさい。お茶のご用意は出来ているのでお掛けください」
そう、謁見の間で別れたはずのミュルエナがそこにいたのだった。
37
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる