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番外編
【後日談】 シーナの隠し事 3
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「シーたん。医者に行こう」
シエテのその言葉に、俺は、先程の夢がまさかの正夢になってしまうのかと、心臓が締め付けられた。
「シーナ!!まさか、具合が悪いのか?そうなら何故言わない。すぐに医者に行こう!!いや、すぐに手配するから横になっていなさい」
そう言って、俺は青い顔で部屋を出ていこうとしたが、それを何故かシエテが引き止めた。
「待って下さい」
「いや、これは急を要する。急がなくては!!」
「いえ、シーたんは大事ですが普通の医者では駄目です」
「分かっている。女医を―――」
「いえ、シーたんに必要なのは助産師です」
「ジョサンシ?じょさんし…………。助産師!!!!」
シエテに言われた言葉が中々理解できなかった俺は、何度か呟いてようやく理解した。
えっ、助産師ってことは……。
そこまで考えた俺は、シーナに向き直り抱き上げていた。
シーナを抱き上げて、くるくると回って喜びをシーナに伝えた。
「そっか、そっか!!」
そんな、俺の行動に驚いたのはシエテだった。シエテは、シーナを降ろすように注意をした後に、俺を正座させてからその場を後にした。
俺の代わりに、助産師の手配をしてくれるというのだ。
俺は、正座でベッドに座るシーナを見上げて言った。
「シーナ。俺は、お前に似た女の子が良いな。あっと、名前はどうしよう?」
「カイン様。まだ早いですよ。にーにの早とちりかも知れないですし……。それに、私が太ったことをそう考えているだけかも知れないですし……」
シーナは、困ったように否定していたが、全ては助産師が到着してからだ。
少しして、シエテは助産師を連れてきた。
俺とシエテは診察中は外に出ているようにと、助産師の女性に部屋の外に追い出されていた。
シーナの部屋の外で、並んで立って待つ俺とシエテは会話もなくただ立ち尽くしていた。
しかし、シエテは何かを思い出したかのように小さな声で俺に言った。
「カイン様……、俺の大切な姫を幸せにしてくださりありがとうございます。どうか、これからも最大級の幸せと、その幸せを二人で分かち合って愛を育んでください」
シエテの突然の真剣な口調に思わず彼の顔を見た俺は、先程までの言葉が幻聴だったのではないかと混乱した。
振り向いてみたシエテは、肩眉を上げて不快だと言った表情をした後に、いつものふてぶてしい顔付きに戻っていたのだ。
そのタイミングで、シーナの部屋から助産師が現れて、俺達に告げたのだ。
「おめでとうございます。4ヶ月目です。これからは、定期的に診察に参りますね」
その後、シーナは俺に恥ずかしそうに経緯を話してくれた。
初めは、いつもよりもお腹が空いてたくさん食べていたらしいが、気がついたら体重増えていて、このまま太ったら嫌われてしまうと落ち込んでいたらしい。
そして、あまり食べないようにしたにも関わらず、体重がもとに戻らないことから、俺に顔を合わせづらくなっていたところに、シエテが屋敷に来ていたことから相談したら、もとに戻るまで家に戻ってくればいいと提案されて実家に戻ることにしたそうだ。
その話を聞いた俺は、すかさずシエテを睨みつけた。
ヤツのことだから、最初からシーナの妊娠に気がついていた可能性があると。
俺がシエテを睨んでいると、ヤツは飄々とした様子で言ったのだ。
「だってさ、シーたんが結婚してからずっと屋敷で暮らしてて、家に泊まりにも滅多に来てくれないし。そんなところで、シーたんから「にーに、どうしよう……。最近私太ってきたみたいで……。このまま太り続けていったらカイン様に嫌われちゃうよ」なんて、可愛く泣きつかれたら、そうれはもうね。実家に連れて帰るに決まってるだろう?」
シエテの言葉に、俺はシーナがどれほど俺のことを好きでいてくれたのかを感じることができて嬉しく思うのと同時に、シエテのシーナの声色を真似たセリフが余りにもそっくりなことに感心してしまった。
変なところで双子感を出さないで欲しいものだ。
そんな事を考えていると、シーナがシエテのことを拳でポカポカしている姿が目に入った。
「にーにのおバカ~。どうしてそのことカイン様の前で言っちゃうの?」
「え~、だってシーたんの可愛いところ自慢したかったんだもん」
「む~~~。全然可愛くなんて無いもん!!」
シーナの聞きづてならないセリフに俺は即座に否定の言葉を放っていた。
「シーナは世界一可愛い!!」
俺の言葉を聞いたシーナは、恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに俺に微笑みかけてくれた。
その笑顔が俺にとって最高の幸せなのだと感じた俺は、優しくシーナを抱きしめて言っていた。
「シーナ、これからは今まで以上にシーナと、これから生まれてくる俺達の子供を大切にすると誓うよ」
俺の言葉に更に笑みを深めたシーナは、俺の大好きな花のような笑顔で答えてくれた。
「はい。私も、カイン様とこれから生まれてくる私達の子供を幸せにします」
その後、シーナは無事に俺たちの子供を産んでくれた。
生まれた小さな命を見た瞬間、俺は自然と涙が溢れていた。
シーナが無事に出産を終えてくれたこと。とても小さな俺達の子供の誕生に。
「カイン様……。この子、目元がとてもカイン様に似ています。きっと将来モテモテになって、可愛いお嫁さんを迎えて、可愛い孫が生まれて……」
「いや、俺よりもシーナに似ているよ。ほら、口元や小さな鼻はシーナにそっくりだよ。でも、この子はまだ生まれたばかりだぞ。将来のことなんてまだ早いよ」
「くすくす。そうですね。そうだ、今度は、女の子が良いかもですね」
「ああ。そうだな。シーナに似た可愛い女の子が良いな」
俺がそう言うと、シーナは楽しそうに目元を緩めて笑ってくれた。
あぁ、俺はなんて幸せなんだ。シーナとこの子を幸せにしよう。そして、これから生まれてくるかも知れない家族を。
【後日談】 シーナの隠し事 おわり
シエテのその言葉に、俺は、先程の夢がまさかの正夢になってしまうのかと、心臓が締め付けられた。
「シーナ!!まさか、具合が悪いのか?そうなら何故言わない。すぐに医者に行こう!!いや、すぐに手配するから横になっていなさい」
そう言って、俺は青い顔で部屋を出ていこうとしたが、それを何故かシエテが引き止めた。
「待って下さい」
「いや、これは急を要する。急がなくては!!」
「いえ、シーたんは大事ですが普通の医者では駄目です」
「分かっている。女医を―――」
「いえ、シーたんに必要なのは助産師です」
「ジョサンシ?じょさんし…………。助産師!!!!」
シエテに言われた言葉が中々理解できなかった俺は、何度か呟いてようやく理解した。
えっ、助産師ってことは……。
そこまで考えた俺は、シーナに向き直り抱き上げていた。
シーナを抱き上げて、くるくると回って喜びをシーナに伝えた。
「そっか、そっか!!」
そんな、俺の行動に驚いたのはシエテだった。シエテは、シーナを降ろすように注意をした後に、俺を正座させてからその場を後にした。
俺の代わりに、助産師の手配をしてくれるというのだ。
俺は、正座でベッドに座るシーナを見上げて言った。
「シーナ。俺は、お前に似た女の子が良いな。あっと、名前はどうしよう?」
「カイン様。まだ早いですよ。にーにの早とちりかも知れないですし……。それに、私が太ったことをそう考えているだけかも知れないですし……」
シーナは、困ったように否定していたが、全ては助産師が到着してからだ。
少しして、シエテは助産師を連れてきた。
俺とシエテは診察中は外に出ているようにと、助産師の女性に部屋の外に追い出されていた。
シーナの部屋の外で、並んで立って待つ俺とシエテは会話もなくただ立ち尽くしていた。
しかし、シエテは何かを思い出したかのように小さな声で俺に言った。
「カイン様……、俺の大切な姫を幸せにしてくださりありがとうございます。どうか、これからも最大級の幸せと、その幸せを二人で分かち合って愛を育んでください」
シエテの突然の真剣な口調に思わず彼の顔を見た俺は、先程までの言葉が幻聴だったのではないかと混乱した。
振り向いてみたシエテは、肩眉を上げて不快だと言った表情をした後に、いつものふてぶてしい顔付きに戻っていたのだ。
そのタイミングで、シーナの部屋から助産師が現れて、俺達に告げたのだ。
「おめでとうございます。4ヶ月目です。これからは、定期的に診察に参りますね」
その後、シーナは俺に恥ずかしそうに経緯を話してくれた。
初めは、いつもよりもお腹が空いてたくさん食べていたらしいが、気がついたら体重増えていて、このまま太ったら嫌われてしまうと落ち込んでいたらしい。
そして、あまり食べないようにしたにも関わらず、体重がもとに戻らないことから、俺に顔を合わせづらくなっていたところに、シエテが屋敷に来ていたことから相談したら、もとに戻るまで家に戻ってくればいいと提案されて実家に戻ることにしたそうだ。
その話を聞いた俺は、すかさずシエテを睨みつけた。
ヤツのことだから、最初からシーナの妊娠に気がついていた可能性があると。
俺がシエテを睨んでいると、ヤツは飄々とした様子で言ったのだ。
「だってさ、シーたんが結婚してからずっと屋敷で暮らしてて、家に泊まりにも滅多に来てくれないし。そんなところで、シーたんから「にーに、どうしよう……。最近私太ってきたみたいで……。このまま太り続けていったらカイン様に嫌われちゃうよ」なんて、可愛く泣きつかれたら、そうれはもうね。実家に連れて帰るに決まってるだろう?」
シエテの言葉に、俺はシーナがどれほど俺のことを好きでいてくれたのかを感じることができて嬉しく思うのと同時に、シエテのシーナの声色を真似たセリフが余りにもそっくりなことに感心してしまった。
変なところで双子感を出さないで欲しいものだ。
そんな事を考えていると、シーナがシエテのことを拳でポカポカしている姿が目に入った。
「にーにのおバカ~。どうしてそのことカイン様の前で言っちゃうの?」
「え~、だってシーたんの可愛いところ自慢したかったんだもん」
「む~~~。全然可愛くなんて無いもん!!」
シーナの聞きづてならないセリフに俺は即座に否定の言葉を放っていた。
「シーナは世界一可愛い!!」
俺の言葉を聞いたシーナは、恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに俺に微笑みかけてくれた。
その笑顔が俺にとって最高の幸せなのだと感じた俺は、優しくシーナを抱きしめて言っていた。
「シーナ、これからは今まで以上にシーナと、これから生まれてくる俺達の子供を大切にすると誓うよ」
俺の言葉に更に笑みを深めたシーナは、俺の大好きな花のような笑顔で答えてくれた。
「はい。私も、カイン様とこれから生まれてくる私達の子供を幸せにします」
その後、シーナは無事に俺たちの子供を産んでくれた。
生まれた小さな命を見た瞬間、俺は自然と涙が溢れていた。
シーナが無事に出産を終えてくれたこと。とても小さな俺達の子供の誕生に。
「カイン様……。この子、目元がとてもカイン様に似ています。きっと将来モテモテになって、可愛いお嫁さんを迎えて、可愛い孫が生まれて……」
「いや、俺よりもシーナに似ているよ。ほら、口元や小さな鼻はシーナにそっくりだよ。でも、この子はまだ生まれたばかりだぞ。将来のことなんてまだ早いよ」
「くすくす。そうですね。そうだ、今度は、女の子が良いかもですね」
「ああ。そうだな。シーナに似た可愛い女の子が良いな」
俺がそう言うと、シーナは楽しそうに目元を緩めて笑ってくれた。
あぁ、俺はなんて幸せなんだ。シーナとこの子を幸せにしよう。そして、これから生まれてくるかも知れない家族を。
【後日談】 シーナの隠し事 おわり
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