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番外編
それぞれの恋の予感
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【ナナの恋?】
訓練帰りの近衛騎士エディがナナに声をかけた。
「おい、薬師のお嬢さん。今日のポーション、効きすぎて体が軽くなりすぎるんだが。あんまり飲むと浮くぞ、これ」
「浮きません! 筋肉痛の緩和にちょっと強めに調合しただけです!」
ナナは顔を赤くして、そっぽを向いたけれど、エディはからかうように小声で囁いてきた。
「……でも、ちゃんと効いたよ。ありがとうな。これ、俺の魔法属性と相性いいみたいだ」
ナナは無意識に、あわてて言葉を返す。
「~~っ、……べ、別に、そこまで感謝されるほどのことじゃないです」
「いや、感謝させてほしい! 今度の休みにお礼といっちゃなんだけど、城下町を一緒に歩いてみないか? このあたりの楽しめるところは全部知ってるし、お洒落なカフェもあって女性に人気らしい。こっちに来たばかりだろう? 案内するよ」
その誘いに、心が少しだけときめくのを感じた。意外と優しいんだな、エディって。そんな思いを抱きながら、ナナは思わず微笑んでしまった。
「いいですよ、行ってあげても。きっと甘いデザートを男ひとりで食べたくないんでしょう?」
「ちがっ、俺はおまえに喜んでほしくて……」
エディの顔が、みるみるうちに赤くなるのがわかる。その姿を見て、なんだかナナも恥ずかしい気持ちが湧いてきた。
「……そうなんですね。じゃあ、せっかくのお誘いだし、行ってあげますよ」
「本当に? あ、ありがとう!」
エディは本当に嬉しそうに、にっこりと笑った。ナナは、その笑顔がすごく眩しくて胸がキュンとするのを感じた。
こんなに胸がドキドキするなんて、予想外だわ。
いつもならこんなことでときめくなんてことはないのに。
どうしてだろう?
「じゃあ、楽しみにしてますよ」
ナナはできるだけ平静を装いながら言った。
「うん、必ず最高の場所に連れていくから!」
エディは、今度は自信満々に答える。
そのやり取りが終わった後も、ナナはしばらく心臓がドキドキしているのを感じていた。心の中で、少しだけ彼との時間が楽しみになっている自分がいることに気づいて、また顔が赤くなる。
「……まさか、私、こんな風にドキドキするなんて。……まさかこれが恋? いやいや、まさかね」
そんなことをつぶやく自分に、少しだけ驚きながらエディの背中を見送った。
◆◇◆
【リゼの恋?】
調合室の一角で、リゼは薬草の粉を丁寧にふるいにかけていた。
そこへ、控えめなノック音とともに、王宮の料理長が顔をのぞかせる。
「お邪魔します。あぁ、その……薬茶のおかげで、最近は随分と体が軽くなりました」
「それは、よかったです。少しでもお役に立てたのなら……」
手を止めて微笑むと、料理長は手にしていた包みを差し出す。
「……これ、お礼に。焼き林檎のタルトを作りました。冷めても甘みが引き立つやつです」
「まぁ……ありがとうございます。いただきます」
受け取ったその手に、ほんのり熱が伝わる。
お菓子のぬくもりか、それとも――
そして、料理長は少し間を置いて、言いづらそうにポケットから何かを取り出した。
「それと、これ。街の劇場で、来週面白い演目があるそうで……たまたま、チケットが二枚、手に入ったんです」
「……劇、ですか?」
「はい。あまり長い話ではないですが、笑えると評判で。……よかったら、一緒に行きませんか?」
差し出されたチケットを見つめ、リゼはほんの一瞬、目を見開く。
けれど次の瞬間には、そっと笑って頷いていた。
「……はい。ぜひ」
淡い予感が、ふたりの間に静かに灯った。
訓練帰りの近衛騎士エディがナナに声をかけた。
「おい、薬師のお嬢さん。今日のポーション、効きすぎて体が軽くなりすぎるんだが。あんまり飲むと浮くぞ、これ」
「浮きません! 筋肉痛の緩和にちょっと強めに調合しただけです!」
ナナは顔を赤くして、そっぽを向いたけれど、エディはからかうように小声で囁いてきた。
「……でも、ちゃんと効いたよ。ありがとうな。これ、俺の魔法属性と相性いいみたいだ」
ナナは無意識に、あわてて言葉を返す。
「~~っ、……べ、別に、そこまで感謝されるほどのことじゃないです」
「いや、感謝させてほしい! 今度の休みにお礼といっちゃなんだけど、城下町を一緒に歩いてみないか? このあたりの楽しめるところは全部知ってるし、お洒落なカフェもあって女性に人気らしい。こっちに来たばかりだろう? 案内するよ」
その誘いに、心が少しだけときめくのを感じた。意外と優しいんだな、エディって。そんな思いを抱きながら、ナナは思わず微笑んでしまった。
「いいですよ、行ってあげても。きっと甘いデザートを男ひとりで食べたくないんでしょう?」
「ちがっ、俺はおまえに喜んでほしくて……」
エディの顔が、みるみるうちに赤くなるのがわかる。その姿を見て、なんだかナナも恥ずかしい気持ちが湧いてきた。
「……そうなんですね。じゃあ、せっかくのお誘いだし、行ってあげますよ」
「本当に? あ、ありがとう!」
エディは本当に嬉しそうに、にっこりと笑った。ナナは、その笑顔がすごく眩しくて胸がキュンとするのを感じた。
こんなに胸がドキドキするなんて、予想外だわ。
いつもならこんなことでときめくなんてことはないのに。
どうしてだろう?
「じゃあ、楽しみにしてますよ」
ナナはできるだけ平静を装いながら言った。
「うん、必ず最高の場所に連れていくから!」
エディは、今度は自信満々に答える。
そのやり取りが終わった後も、ナナはしばらく心臓がドキドキしているのを感じていた。心の中で、少しだけ彼との時間が楽しみになっている自分がいることに気づいて、また顔が赤くなる。
「……まさか、私、こんな風にドキドキするなんて。……まさかこれが恋? いやいや、まさかね」
そんなことをつぶやく自分に、少しだけ驚きながらエディの背中を見送った。
◆◇◆
【リゼの恋?】
調合室の一角で、リゼは薬草の粉を丁寧にふるいにかけていた。
そこへ、控えめなノック音とともに、王宮の料理長が顔をのぞかせる。
「お邪魔します。あぁ、その……薬茶のおかげで、最近は随分と体が軽くなりました」
「それは、よかったです。少しでもお役に立てたのなら……」
手を止めて微笑むと、料理長は手にしていた包みを差し出す。
「……これ、お礼に。焼き林檎のタルトを作りました。冷めても甘みが引き立つやつです」
「まぁ……ありがとうございます。いただきます」
受け取ったその手に、ほんのり熱が伝わる。
お菓子のぬくもりか、それとも――
そして、料理長は少し間を置いて、言いづらそうにポケットから何かを取り出した。
「それと、これ。街の劇場で、来週面白い演目があるそうで……たまたま、チケットが二枚、手に入ったんです」
「……劇、ですか?」
「はい。あまり長い話ではないですが、笑えると評判で。……よかったら、一緒に行きませんか?」
差し出されたチケットを見つめ、リゼはほんの一瞬、目を見開く。
けれど次の瞬間には、そっと笑って頷いていた。
「……はい。ぜひ」
淡い予感が、ふたりの間に静かに灯った。
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