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6-2 (バーノン視点)
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(バーノン視点)
翌日にウォーク公爵家からお茶の時間に来るようにご招待を受けた。もちろんありがたくお受けして、今度は黄色のデイジーを花束にして持っていく。
ウォーク公爵家の内装のきらびやかさに圧倒されながらも、応接室に案内され緊張した面持ちで待った。
当主夫妻の後ろから姿を現したのは絶世の美女だが、どこか異質な印象を与える感情の読めない女性だった。この方が姉のカトレア嬢だろう。そしてその後ろに遠慮がちに顔を覗かせているのが妹のティベリア嬢か。その可愛らしい顔にはそばかすが散っていて、小柄で親しみの感じられる女性だった。表情も豊かで、今はとても緊張している様子だ。
愛らしい女性だと思う。わたしが妻にするなら迷わず彼女を選ぶ。私が兄上の立場だったなら喜んでティベリア様を妻に迎えたのに。
両親達の非礼を丁重にお詫び申し上げ、この家族と話しをしているうちに、どうやら実権は姉のカトレア嬢が握っていることに気づいた。しかもカトレア嬢はティベリア嬢に視線をちらちらと気遣うように向けている。わたしがティベリア嬢に黄色のデイジーを渡し優しく話しかけると、カトレア嬢の眼差しが段々と柔らかくなっていった。
「兄上は最近身体の不調続きでして、この際父上にも隠居していただき、空気の良いところで生活して頂こうと思っています。それからティベリア嬢に対する慰謝料をお支払いしなければいけないと思っているのですが、以前よりも事業経営がおもわしくなく大金は払えそうにありません。誠意を見せるにはどうしたら良いでしょうか?」
探るようにカトレア嬢を見れば、自分には関係ないといわんばかりに紅茶を飲みつづけている。一方、ティベリア嬢は首を傾げて「お金など要りませんわ」と、おっしゃった。
「妹がこう言っているのです。誠意を示すのは慰謝料などというお金ではないでしょう」
カトレア嬢の試すような口ぶりに思わず背中に嫌な汗がつたう。ここで答えを間違えたらエルズバー伯爵家は破滅だ。
「でしたら、気分転換に今度一緒に観劇でもいかがでしょうか? 市井でとても評判の劇を見て、人気のカフェでお茶などはどうでしょう? そういえばティベリア嬢は絵を描かれると兄上から聞きましたが、わたしは綺麗な絵を見るのがとても好きです」
「綺麗な絵がお好きなのね? ティベリア、ぜひあなたの絵を見せてあげるといいわ。この子の絵はね、とても綺麗な夢のある絵でしてよ。花の妖精を描くのがとても上手なのですわ」
(確かに可愛らしい妖精の女の子が成長すると、このように愛らしい女性になりそうだ)
わたしはティベリア嬢を見てそう思う。
「あぁ、わかります。ティベリア嬢には実際に妖精が見えるのでしょう。いや、違いますね、きっとティベリア嬢自身が妖精かもしれないです」
自分でも恥ずかしいことを言ったと後悔した。
(きっと呆れられてしまったぞ。どうしよう・・・・・・男のくせに妖精がいるのを信じているような発言をしてしまった・・・・・・)
長い沈黙が訪れ、わたしは怖くて顔をあげられないでいる。軽蔑の視線がきっと四方から飛んでくるに違いない。ところが・・・・・・
「まぁ、その通りだと思いますわ! やっと妹の価値がわかる男性に会えましたわ。妹は妖精なのです。だってご覧になってくださいませ。どこから見ても愛らしくキュートで私の自慢の妹なのですもの。この子の良さをわからない男なんて『おやつ』ですわ!」
カトレア嬢が食い気味にしきりにうなずき、今までのツンとした表情は崩れ、これでもかというほどの満面の笑みを浮かべていた。
とりあえずわたしの言葉は正解だったらしい。でも・・・・・・『おやつ』ってどういうことだろう?
翌日にウォーク公爵家からお茶の時間に来るようにご招待を受けた。もちろんありがたくお受けして、今度は黄色のデイジーを花束にして持っていく。
ウォーク公爵家の内装のきらびやかさに圧倒されながらも、応接室に案内され緊張した面持ちで待った。
当主夫妻の後ろから姿を現したのは絶世の美女だが、どこか異質な印象を与える感情の読めない女性だった。この方が姉のカトレア嬢だろう。そしてその後ろに遠慮がちに顔を覗かせているのが妹のティベリア嬢か。その可愛らしい顔にはそばかすが散っていて、小柄で親しみの感じられる女性だった。表情も豊かで、今はとても緊張している様子だ。
愛らしい女性だと思う。わたしが妻にするなら迷わず彼女を選ぶ。私が兄上の立場だったなら喜んでティベリア様を妻に迎えたのに。
両親達の非礼を丁重にお詫び申し上げ、この家族と話しをしているうちに、どうやら実権は姉のカトレア嬢が握っていることに気づいた。しかもカトレア嬢はティベリア嬢に視線をちらちらと気遣うように向けている。わたしがティベリア嬢に黄色のデイジーを渡し優しく話しかけると、カトレア嬢の眼差しが段々と柔らかくなっていった。
「兄上は最近身体の不調続きでして、この際父上にも隠居していただき、空気の良いところで生活して頂こうと思っています。それからティベリア嬢に対する慰謝料をお支払いしなければいけないと思っているのですが、以前よりも事業経営がおもわしくなく大金は払えそうにありません。誠意を見せるにはどうしたら良いでしょうか?」
探るようにカトレア嬢を見れば、自分には関係ないといわんばかりに紅茶を飲みつづけている。一方、ティベリア嬢は首を傾げて「お金など要りませんわ」と、おっしゃった。
「妹がこう言っているのです。誠意を示すのは慰謝料などというお金ではないでしょう」
カトレア嬢の試すような口ぶりに思わず背中に嫌な汗がつたう。ここで答えを間違えたらエルズバー伯爵家は破滅だ。
「でしたら、気分転換に今度一緒に観劇でもいかがでしょうか? 市井でとても評判の劇を見て、人気のカフェでお茶などはどうでしょう? そういえばティベリア嬢は絵を描かれると兄上から聞きましたが、わたしは綺麗な絵を見るのがとても好きです」
「綺麗な絵がお好きなのね? ティベリア、ぜひあなたの絵を見せてあげるといいわ。この子の絵はね、とても綺麗な夢のある絵でしてよ。花の妖精を描くのがとても上手なのですわ」
(確かに可愛らしい妖精の女の子が成長すると、このように愛らしい女性になりそうだ)
わたしはティベリア嬢を見てそう思う。
「あぁ、わかります。ティベリア嬢には実際に妖精が見えるのでしょう。いや、違いますね、きっとティベリア嬢自身が妖精かもしれないです」
自分でも恥ずかしいことを言ったと後悔した。
(きっと呆れられてしまったぞ。どうしよう・・・・・・男のくせに妖精がいるのを信じているような発言をしてしまった・・・・・・)
長い沈黙が訪れ、わたしは怖くて顔をあげられないでいる。軽蔑の視線がきっと四方から飛んでくるに違いない。ところが・・・・・・
「まぁ、その通りだと思いますわ! やっと妹の価値がわかる男性に会えましたわ。妹は妖精なのです。だってご覧になってくださいませ。どこから見ても愛らしくキュートで私の自慢の妹なのですもの。この子の良さをわからない男なんて『おやつ』ですわ!」
カトレア嬢が食い気味にしきりにうなずき、今までのツンとした表情は崩れ、これでもかというほどの満面の笑みを浮かべていた。
とりあえずわたしの言葉は正解だったらしい。でも・・・・・・『おやつ』ってどういうことだろう?
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