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29 自業自得なローズリン
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静寂に包まれた夜、月の光がかすかに差し込む中、ローズリンは音もなく動き出した。彼女の足音は、まるで空気に溶け込むように消え、影のように滑らかに歩いていた。足を床につけるたびに、体重を慎重に分散させ、一歩一歩を緩やかに、そして軽やかに進めた。
(私ってば、こんな才能があったのね。これで誰にも気づかれずにアナスターシアの部屋に行けるわ。アナスターシアの眠りが深いのは知っている。一度寝入ってしまったら、多少のことでは起きないはずよ)
アナスターシアの部屋の扉には鍵がかかっていなかった。絨毯の上を歩くときには、まるで猫が忍び寄るように、爪先から踵へとゆっくりと体重を移動させた。
呼吸さえも抑え、周囲の静寂を乱さぬように注意を払うローズリンの姿は、まるで夜の闇に溶け込むかのようだった。心臓の鼓動がかすかに感じられるだけで、彼女の存在を示すものは何もなかった。
アナスターシアの部屋は二階にあり、バルコニーから新設された温室へと続く階段がある。温室や研究室に入るには、このバルコニーを通るしか方法はない。
温室の扉を開けると、湿度の高い空気がローズリンを包み込んだ。
「ここは人間の住む場所じゃないわね。それにしても、こんなにたくさんの薬草があるのに、全然美しくないわ。こんなものを、アナスターシアがこれほど大切にしているなんて、本当に変わり者よね。」
薬草の前には名前を記したプラントラベルがあり、そこには効能や世話の仕方まで記載されていた。全てが秩序だって整理整頓されているようで、アナスターシアの几帳面さが現れていた。
「マッキンタイヤー公爵家にいるあいだに、ずいぶん変わってしまったのね。6歳の頃の我が儘なアナスターシアのほうがずっと可愛かったのに」
ローズリンがさらに進んで行くと、研究室の扉の前にもう一部屋広い空間が現れた。ここは同じ薬草が一面に植えられており、その茂みから金色の蛇が顔をだした。
「うそ! まさか毒蛇じゃないよね? お願い、噛まないで」
おそるおそる歩を進めるローズリンを睨みつけていたが、蛇がその場から動く気配はなかった。
(なんだ、とってもおとなしい蛇なのね)
その先の研究室に入り込むことに成功したローズリンは、薬や化粧品の配合率を記した帳面が何冊もキャビネットにあるのを見つけた。しかも、そのキャビネットの横には新商品高級美容液と書かれた箱が置かれている。全部もらっていきたかったが、とても一人では持ちきれない。ローズリンは一本だけ手に取ると、帳面を抱えながら研究室を立ち去ろうとした。しかし、後ろを振り返ると、牙をむきだし威嚇する蛇の姿があった。
「いつの間にここに来たのよ? 怒らないで。帳面はちょっと借りるだけだし、この美容液だって1本しかもらっていないわ」
蛇は今にもローズリンに襲いかかろうとしている。すっかり恐ろしくなったローズリンは、帳面と美容液をそっと床に置いた。すると、蛇は威嚇をやめておとなしくなった。
「そうか。これを持っていこうとすると怒るわけね。悔しいけど諦めるしかないのかしら。せっかくここまで忍びこめたのに」
同じ薬草ばかりが植えられている場所に戻り、蛇がつけてこないことを確かめると、ローズリンはそっと手を伸ばした。それは伝説の薬草で、アナスターシアが一番大事にしているものだ。
「忌々しいからこの薬草を全部引っこ抜いてやるわ!」
ローズリンが薬草を乱暴にむしり取ろうとした瞬間、腕に激痛が走った。さきほどまで研究室にいた蛇に腕を噛みつかれたのだ。うねる体は黄金色の鱗で覆われ、きらきらと輝いている。その瞳は琥珀色をしており一度見つめられれば、魅了されて目を離せなくなるほどの妖艶さを放っていたが、今は静かな怒りの感情が読み取れる。
「さっきまで研究室にいたはずよ。いつの間にここに戻ってきたの? まるで、魔法ね。聖女に仕える聖獣みたいよ。昔、絵本で読んだことがあるわ。聖女から任された仕事に忠実で、1000年以上も生きるという伝説の動物よ。聖女の敵を滅ぼすと伝えられているけど・・・・・・まさか・・・・・・」
毒は既にローズリンの体内に流れ込んでいた。彼女は床に崩れ落ち、苦しげに息をしながらもがき始める。毒が全身を巡り、体は熱く燃えるように痛み、冷や汗が止まらなかった。視界がぼやけ、筋肉が痙攣を起こし、呼吸が苦しくなってくる。
「まさか、本当に聖獣なの? それなら、瞬間に移動することも可能だものね。そうよ。きっと、アナスターシアは聖女なんだ。知っていたら、こんなところに忍び込まなかったのに。アナスターシアも酷いわ。蛇がいるって教えてくれていたら、こんなことしなかったのに! だれか、助けて・・・・・・助けて」
ローズリンの叫びは虚しく、誰も助けに来ることはなかった。やがて、彼女は静かに苦しみの中で意識を失った。しかし、蛇の毒はローズリンを死に至らしめるほどではなかったようだ。
☆彡 ★彡
彼女は朝方、意識を取り戻しアナスターシアに発見された。玲奈とアニヤは、ローズリンをサロンのソファにまで運んだ。腕にはくっきりと蛇に噛まれた痕があり、「痛いよぉ、痛いよー」とつぶやいている。目はうつろで口は半開き。正気を失っているようにも見えた。
すでにサリナも起きていてサロンで紅茶を飲んでいた。おかしなローズリンの様子を見てすぐに医者が呼ばれた。医者は毒蛇に噛まれた後遺症だと診断した。
「なぜ、ローズリンが毒蛇なんかに噛まれるのよ? その毒蛇を捕まえて火あぶりにしてやるわ」
「ローズリン様の自業自得ですわ。彼女は私の薬草園に忍び込み、大事な薬草を摘み取ろうとしたのです。研究室から薬や化粧品の配合率を記した帳面を盗もうとした形跡もありました。蛇は私の薬草を守ろうとしただけですから、火あぶりになどさせませんよ」
アナスターシアは毅然として言い放つ。
「たかが草を守るために、毒蛇を飼っているなんてどうかしているわよ。そんな危険な動物などカッシング侯爵家で飼わないでちょうだい。今すぐ、ここで蛇を殺して!」
「カッシング侯爵家で飼うことができないのなら、別の場所に引っ越すしかありませんわね」
アナスターシアの頬は緩み、目は輝いていた。アナスターシアにとっては、カッシング侯爵家に戻りたくて戻ったわけではないので、追い出されることはご褒美みたいなものだ。
「カラハン第一王子殿下のお越しでございます。アナスターシアお嬢様のお部屋にお通ししますか? それとも庭園の四阿ですか?」
絶妙なタイミングのカラハン第一王子の来訪に、アナスターシアはにっこり微笑んだ。
「ちょうど良いわ。こちらに来ていただいて。たった今、サリナ様から追い出されたことを相談するわ」
アナスターシアはうきうきとした口調で、執事に答えたのだった。
(私ってば、こんな才能があったのね。これで誰にも気づかれずにアナスターシアの部屋に行けるわ。アナスターシアの眠りが深いのは知っている。一度寝入ってしまったら、多少のことでは起きないはずよ)
アナスターシアの部屋の扉には鍵がかかっていなかった。絨毯の上を歩くときには、まるで猫が忍び寄るように、爪先から踵へとゆっくりと体重を移動させた。
呼吸さえも抑え、周囲の静寂を乱さぬように注意を払うローズリンの姿は、まるで夜の闇に溶け込むかのようだった。心臓の鼓動がかすかに感じられるだけで、彼女の存在を示すものは何もなかった。
アナスターシアの部屋は二階にあり、バルコニーから新設された温室へと続く階段がある。温室や研究室に入るには、このバルコニーを通るしか方法はない。
温室の扉を開けると、湿度の高い空気がローズリンを包み込んだ。
「ここは人間の住む場所じゃないわね。それにしても、こんなにたくさんの薬草があるのに、全然美しくないわ。こんなものを、アナスターシアがこれほど大切にしているなんて、本当に変わり者よね。」
薬草の前には名前を記したプラントラベルがあり、そこには効能や世話の仕方まで記載されていた。全てが秩序だって整理整頓されているようで、アナスターシアの几帳面さが現れていた。
「マッキンタイヤー公爵家にいるあいだに、ずいぶん変わってしまったのね。6歳の頃の我が儘なアナスターシアのほうがずっと可愛かったのに」
ローズリンがさらに進んで行くと、研究室の扉の前にもう一部屋広い空間が現れた。ここは同じ薬草が一面に植えられており、その茂みから金色の蛇が顔をだした。
「うそ! まさか毒蛇じゃないよね? お願い、噛まないで」
おそるおそる歩を進めるローズリンを睨みつけていたが、蛇がその場から動く気配はなかった。
(なんだ、とってもおとなしい蛇なのね)
その先の研究室に入り込むことに成功したローズリンは、薬や化粧品の配合率を記した帳面が何冊もキャビネットにあるのを見つけた。しかも、そのキャビネットの横には新商品高級美容液と書かれた箱が置かれている。全部もらっていきたかったが、とても一人では持ちきれない。ローズリンは一本だけ手に取ると、帳面を抱えながら研究室を立ち去ろうとした。しかし、後ろを振り返ると、牙をむきだし威嚇する蛇の姿があった。
「いつの間にここに来たのよ? 怒らないで。帳面はちょっと借りるだけだし、この美容液だって1本しかもらっていないわ」
蛇は今にもローズリンに襲いかかろうとしている。すっかり恐ろしくなったローズリンは、帳面と美容液をそっと床に置いた。すると、蛇は威嚇をやめておとなしくなった。
「そうか。これを持っていこうとすると怒るわけね。悔しいけど諦めるしかないのかしら。せっかくここまで忍びこめたのに」
同じ薬草ばかりが植えられている場所に戻り、蛇がつけてこないことを確かめると、ローズリンはそっと手を伸ばした。それは伝説の薬草で、アナスターシアが一番大事にしているものだ。
「忌々しいからこの薬草を全部引っこ抜いてやるわ!」
ローズリンが薬草を乱暴にむしり取ろうとした瞬間、腕に激痛が走った。さきほどまで研究室にいた蛇に腕を噛みつかれたのだ。うねる体は黄金色の鱗で覆われ、きらきらと輝いている。その瞳は琥珀色をしており一度見つめられれば、魅了されて目を離せなくなるほどの妖艶さを放っていたが、今は静かな怒りの感情が読み取れる。
「さっきまで研究室にいたはずよ。いつの間にここに戻ってきたの? まるで、魔法ね。聖女に仕える聖獣みたいよ。昔、絵本で読んだことがあるわ。聖女から任された仕事に忠実で、1000年以上も生きるという伝説の動物よ。聖女の敵を滅ぼすと伝えられているけど・・・・・・まさか・・・・・・」
毒は既にローズリンの体内に流れ込んでいた。彼女は床に崩れ落ち、苦しげに息をしながらもがき始める。毒が全身を巡り、体は熱く燃えるように痛み、冷や汗が止まらなかった。視界がぼやけ、筋肉が痙攣を起こし、呼吸が苦しくなってくる。
「まさか、本当に聖獣なの? それなら、瞬間に移動することも可能だものね。そうよ。きっと、アナスターシアは聖女なんだ。知っていたら、こんなところに忍び込まなかったのに。アナスターシアも酷いわ。蛇がいるって教えてくれていたら、こんなことしなかったのに! だれか、助けて・・・・・・助けて」
ローズリンの叫びは虚しく、誰も助けに来ることはなかった。やがて、彼女は静かに苦しみの中で意識を失った。しかし、蛇の毒はローズリンを死に至らしめるほどではなかったようだ。
☆彡 ★彡
彼女は朝方、意識を取り戻しアナスターシアに発見された。玲奈とアニヤは、ローズリンをサロンのソファにまで運んだ。腕にはくっきりと蛇に噛まれた痕があり、「痛いよぉ、痛いよー」とつぶやいている。目はうつろで口は半開き。正気を失っているようにも見えた。
すでにサリナも起きていてサロンで紅茶を飲んでいた。おかしなローズリンの様子を見てすぐに医者が呼ばれた。医者は毒蛇に噛まれた後遺症だと診断した。
「なぜ、ローズリンが毒蛇なんかに噛まれるのよ? その毒蛇を捕まえて火あぶりにしてやるわ」
「ローズリン様の自業自得ですわ。彼女は私の薬草園に忍び込み、大事な薬草を摘み取ろうとしたのです。研究室から薬や化粧品の配合率を記した帳面を盗もうとした形跡もありました。蛇は私の薬草を守ろうとしただけですから、火あぶりになどさせませんよ」
アナスターシアは毅然として言い放つ。
「たかが草を守るために、毒蛇を飼っているなんてどうかしているわよ。そんな危険な動物などカッシング侯爵家で飼わないでちょうだい。今すぐ、ここで蛇を殺して!」
「カッシング侯爵家で飼うことができないのなら、別の場所に引っ越すしかありませんわね」
アナスターシアの頬は緩み、目は輝いていた。アナスターシアにとっては、カッシング侯爵家に戻りたくて戻ったわけではないので、追い出されることはご褒美みたいなものだ。
「カラハン第一王子殿下のお越しでございます。アナスターシアお嬢様のお部屋にお通ししますか? それとも庭園の四阿ですか?」
絶妙なタイミングのカラハン第一王子の来訪に、アナスターシアはにっこり微笑んだ。
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