(完結)悪女と聖女様

青空一夏

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1 (サミュエル視点)

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 私(サミュエル・レオンジ公爵令嬢・当時7歳)と、王太子のジャスパー様(当時7歳)は、幼い頃から両思いで、婚約するはずでした。

「大人になったら、僕の妃になってほしいな」

「うん、喜んで、なるわ」
 こんな会話を、会う度にしていました。

 ある日、いつものように王妃様のお茶会に呼ばれたのです。3人で楽しくおしゃべりをした後に、王宮の庭園をジャスパー様と散歩をしていました。

私達が笑って、おしゃべりをしながら歩いていると、呼ばれていないはずのミシェル様が庭園にぽつんと立っていらっしゃいました。

私達を見ると、ミシェル様は不機嫌ふきげんになり『なんで、いつも私を仲間はずれにするの?』とお聞きになります。
こちらは、全く仲間はずれにしているつもりはないのでした。

その気まずさをなごませようと、ジャスパー様が鬼ごっこでもしようと提案なさいました。
私達は、笑いながら鬼ごっこをしました。まだ、皆、幼かったのです。

けれど、その最中さなか、ミシェル様は大きな穴に落ちました。こんなところに穴があるはずはないのです。王妃様も侍女達も来て、大騒ぎになりました。

「あら? ここの一画は、赤いキラキラ光るリボンで囲ってあったはずですよ。木や花を植え替えるために穴が掘られていて危ないから目印になるようにしていたのに。なぜ、ないのかしら?」

王妃様は、不思議そうに首を傾げましたが、ミシェル様が大怪我おおけがを負ったことで王家はとても責められました。

「王家の管理がなっていないから、このようなことになるのです!しかも、鬼ごっこを誘ったのは王太子でしょう? ミシェルは、足を大怪我して歩けなくなったのですよ? どう責任を取るおつもりですか? 娘の嫁ぎ先がなくなってしまった」

ミシェル様のお父様は王様のすぐ下の弟で、私のお父様も王様の2番目の弟です。口が達者で高圧的な方なので、人のいいおっとりした性格の王様も王妃様も何も反論はできなかったそうです。

そのひと月後に、ジャスパー様はミシェル様と婚約したのでした。
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