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32 オーウェン様は優しい
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屋敷に戻りお父様やお母様に、王子殿下の専属侍女に抜擢されたことを報告した。お父様は驚きその話を回避してくださるように圧力をかけるとおっしゃった。
「離婚したばかりのオリビアに、我が儘王子の侍女なんて無理すぎる。あの方は性格が悪いので有名だ」
「なんて横暴な王妃殿下かしら。ベンジャミン家は男爵家といえど国には多大な貢献をしているのに、こんな厄介を押しつけられて冗談ではありませんわ。旦那様、この国を捨てて他国に移住するのもありですわよね?」
いつもは冷静なお母様が珍しく怒っていらっしゃる。
「大丈夫ですわ。私はこれを大きなチャンスだと思っています。王宮で侍女として働くことなど考えたこともありませんでしたが、自分が成長する良い機会にしたいと思います」
傷ついた王子殿下の瞳が少しでも明るくなれば良い。
「オリビア、王宮から大きな荷物が届いているわよ」
お母様が私にそうおっしゃったのは、王宮に出仕する二日前だった。
「なんでしょうね?」
エマが大きな荷物の梱包を開けると、中から出てきたのはドレスだった。
「まぁ、10着もありますよぉーー。しかも、全て色はブルーだわ。それに、お手紙が添えてあるわぁーー」
ラナは私に手紙を手渡した。
王子殿下からのお手紙には、これを着て出仕するようにと書かれていた。どれも滑らかな生地で作られており肌触りが良い。セミオーダータイプで、ウエストや裾は調節できるようになっていた。
「10着あるということはエマたちのぶんもあるということよね? 好きな物を選んで良いわよ」
私がそのように言うと、微妙な沈黙が続いた。
「オリビア様。そのお手紙をよくお読みください。オリビア様が着るように、という意味合いにしか読み取れませんよ。おそらく、私たちには出仕した際に、王家の侍女用の白いエプロンドレスだけが配られると思います」
「そうですよーー。色が全てブルーと言うことは普通の侍女ではない、という証明ですね」
「普通の侍女でなかったらなんだと言うの?」
「ふっふっふ。それはオリビア様が頭を撫でたから、懐かれたんだな。間違いない。あんな怒りんぼ王子をよく数分で手なづけたな。さすが私たちのお嬢様だ」
「そうよねぇーー。額を撫でたのも大きいと思うわぁーー」
ラナはキャッキャッとはしゃいだのだった。
☆彡 ★彡
初めて出仕する日の天気は、素晴らしく晴れていた。まるで、無限の広がりを持つキャンバスのように、空は深く澄み渡っていた。青のグラデーションが遠くの空のかすかな霞みから、頭上での鮮やかなセルリアンブルーへと変わっていく様子が美しい。
王子殿下からいただいた、空と同じ色のドレスを身につけた。そのドレスは、裾と袖に白いレースが施され、腰部分がしっかり絞られていて、裾に向かって広がるデザインだった。王宮に着いたら、その上に水色のエプロンドレスを着る予定だった。それも、王子殿下からの贈り物だ。
「おとぎ話のお姫様ですわぁーー。お嬢様ったら、似合いすぎるーー」
ラナは甘い声で言うと、うっとりと両手を胸の前で合わせていた。
「実際、お嬢様はそのへんの王族より気品があるからな。当然だ!」
ゾーイは何度もうなづく。
「オリビア様はなんでも一番です。かわいさも一番、綺麗さも一番、賢さも一番ですわ」
エマが言ってくれる言葉は私の自信に繋がる。専属侍女が身近で信頼できる存在であることは、心を安定させてくれる。私は王子殿下にも同じように、安心感を感じていただきたいと思った。
☆彡 ★彡
「王子殿下。ベンジャミン男爵家のオリビアが専属侍女として参りました。こちらの三人も本日から王子殿下の専属侍女となります」
「待っていたぞ。私のことはオーウェン様で良い。これから朝食を食べる」
「はい。では、厨房に行ってお料理を運んでまいりますね」
「違うだろ? オリビアは私と並んで座れ。料理はメイドが運んでくる」
「はい。では、お茶を淹れるのは私がしますね」
オーウェン王子殿下はそれを黙って見つめていたし、私が淹れたお茶を嬉しそうに飲んでくださった。
「ドレスがよく似合っている。サイズがわからなかったし準備期間もなかったので、セミオーダータイプのドレスにした。それなら裁縫の得意なメイドに直してもらえると思った。ブルーがよく似合う」
最初の出会いが嘘みたいに穏やかで優しい。
王子殿下から「オーウェン様」と呼ぶように言われたときは抵抗があったけれど、その名前で呼ぶと彼はキラキラとした瞳で返事をしてくださった。一方で、「王子殿下」と呼ぶと、聞こえないふりをされたわ。
(まるで、子供だわ。でも、どこか憎めないのよね)
「父上は側妃と食事をすることが多いし、基本的に母上は自室で食事をする。私はいつも一人で食事を取るからオリビアが一緒に食べてくれると嬉しい」
そのように言われたら断るのは難しい。お茶を淹れ一緒に食事をし、衣服の準備、着替えの手伝い、簡単な身の回りのお世話をするのだけれど、大抵エマたちがしてしまうので、私は一緒に食事をしオーウェン様の話し相手になっているだけだった。
「もっと、オーウェン様のお世話を頑張りたいのですが、なにをしたら喜んでくださいますか?」
出仕して5日目のこと、私はオーウェン様にそう尋ねていた。
「いや、私の横に座って一緒に食事をして、私の話を聞いてくれるだけで充分なのだが?」
「専属侍女の仕事・・・・・・私はエマたちに入浴の際のお手伝いをしてもらいますから、えっと、私も・・・・・・」
言ってしまって、はっと気がついた。私は男性の裸をまだ見たことがない。
「他人に身体を触られたくないから、自分で洗っている。それぐらい一人でできるから心配するな」
ぶっきらぼうに言ったオーウェン様の顔が赤く染まった。
「兄上。今日はいつになくご機嫌が良いのですね? はぁーーん、この女性が新しい専属侍女ですか? なんとまぁ、素晴らしい美貌だ! お前、兄上をどうやって懐柔したのだ? しかし、いつも遊び呆けて政務を手伝おうともしない『はずれ王子』の専属侍女だなんて損をしたな?」
嫌な笑みを浮かべながら近づいて来た男性は、側妃様の生んだアイザック第2王子殿下だった。
「私は得をするために出仕したわけではありません。オーウェン様のお役に立ちたいから、ここにいるだけです。それに、第2王子殿下。不敬ではありませんか? オーウェン様は正妃様がお生みになった王子殿下です」
「なんだと? 生意気な! 母上を愚弄するのか?」
アイザック第2王子殿下が怒りに満ちた目をギラギラさせながら大股で去っていく。私はお茶を新しく入れ替える準備を始めた。
「オーウエン様。せっかくの美味しい紅茶が、まずくなりましたね。ハーブティーを入れ直しましょうね」
「オリビアは強いな」
オーウェン様はわずかに口角を上げ、かすかに微笑んだ。
「オーウェン様は怒っている顔よりも笑っていたほうがずっと素敵ですね。ところで、その額の火傷の痕ですが、ゾーイにある物を開発させました。塗ってみてもよろしいですか?」
「なにを開発させたんだい? オリビアは私をどうしたいのだ?」
「髪で額を隠さなくても良いようにしたいです。その髪型も素敵ですが、火傷の痕が少しでも薄くなれば、もっと明るく笑ってくださるかもしれないと思いました。差し出がましいことを申し上げてすみません」
「いや、構わない。私の気持ちを明るくしたいと思ってくれたのが嬉しい」
オーウェン様の笑顔は静かな月明かりのように穏やかで、優しさに満ちていた。その時、初めて意識したのは私のドレスの色だった。
贈られたドレスは全てブルーで、オーウェン様の髪と瞳も澄んだ綺麗なブルーだったのよ。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
※オーウェンのイラストがインスタ:bluesky77_77にあります。
「離婚したばかりのオリビアに、我が儘王子の侍女なんて無理すぎる。あの方は性格が悪いので有名だ」
「なんて横暴な王妃殿下かしら。ベンジャミン家は男爵家といえど国には多大な貢献をしているのに、こんな厄介を押しつけられて冗談ではありませんわ。旦那様、この国を捨てて他国に移住するのもありですわよね?」
いつもは冷静なお母様が珍しく怒っていらっしゃる。
「大丈夫ですわ。私はこれを大きなチャンスだと思っています。王宮で侍女として働くことなど考えたこともありませんでしたが、自分が成長する良い機会にしたいと思います」
傷ついた王子殿下の瞳が少しでも明るくなれば良い。
「オリビア、王宮から大きな荷物が届いているわよ」
お母様が私にそうおっしゃったのは、王宮に出仕する二日前だった。
「なんでしょうね?」
エマが大きな荷物の梱包を開けると、中から出てきたのはドレスだった。
「まぁ、10着もありますよぉーー。しかも、全て色はブルーだわ。それに、お手紙が添えてあるわぁーー」
ラナは私に手紙を手渡した。
王子殿下からのお手紙には、これを着て出仕するようにと書かれていた。どれも滑らかな生地で作られており肌触りが良い。セミオーダータイプで、ウエストや裾は調節できるようになっていた。
「10着あるということはエマたちのぶんもあるということよね? 好きな物を選んで良いわよ」
私がそのように言うと、微妙な沈黙が続いた。
「オリビア様。そのお手紙をよくお読みください。オリビア様が着るように、という意味合いにしか読み取れませんよ。おそらく、私たちには出仕した際に、王家の侍女用の白いエプロンドレスだけが配られると思います」
「そうですよーー。色が全てブルーと言うことは普通の侍女ではない、という証明ですね」
「普通の侍女でなかったらなんだと言うの?」
「ふっふっふ。それはオリビア様が頭を撫でたから、懐かれたんだな。間違いない。あんな怒りんぼ王子をよく数分で手なづけたな。さすが私たちのお嬢様だ」
「そうよねぇーー。額を撫でたのも大きいと思うわぁーー」
ラナはキャッキャッとはしゃいだのだった。
☆彡 ★彡
初めて出仕する日の天気は、素晴らしく晴れていた。まるで、無限の広がりを持つキャンバスのように、空は深く澄み渡っていた。青のグラデーションが遠くの空のかすかな霞みから、頭上での鮮やかなセルリアンブルーへと変わっていく様子が美しい。
王子殿下からいただいた、空と同じ色のドレスを身につけた。そのドレスは、裾と袖に白いレースが施され、腰部分がしっかり絞られていて、裾に向かって広がるデザインだった。王宮に着いたら、その上に水色のエプロンドレスを着る予定だった。それも、王子殿下からの贈り物だ。
「おとぎ話のお姫様ですわぁーー。お嬢様ったら、似合いすぎるーー」
ラナは甘い声で言うと、うっとりと両手を胸の前で合わせていた。
「実際、お嬢様はそのへんの王族より気品があるからな。当然だ!」
ゾーイは何度もうなづく。
「オリビア様はなんでも一番です。かわいさも一番、綺麗さも一番、賢さも一番ですわ」
エマが言ってくれる言葉は私の自信に繋がる。専属侍女が身近で信頼できる存在であることは、心を安定させてくれる。私は王子殿下にも同じように、安心感を感じていただきたいと思った。
☆彡 ★彡
「王子殿下。ベンジャミン男爵家のオリビアが専属侍女として参りました。こちらの三人も本日から王子殿下の専属侍女となります」
「待っていたぞ。私のことはオーウェン様で良い。これから朝食を食べる」
「はい。では、厨房に行ってお料理を運んでまいりますね」
「違うだろ? オリビアは私と並んで座れ。料理はメイドが運んでくる」
「はい。では、お茶を淹れるのは私がしますね」
オーウェン王子殿下はそれを黙って見つめていたし、私が淹れたお茶を嬉しそうに飲んでくださった。
「ドレスがよく似合っている。サイズがわからなかったし準備期間もなかったので、セミオーダータイプのドレスにした。それなら裁縫の得意なメイドに直してもらえると思った。ブルーがよく似合う」
最初の出会いが嘘みたいに穏やかで優しい。
王子殿下から「オーウェン様」と呼ぶように言われたときは抵抗があったけれど、その名前で呼ぶと彼はキラキラとした瞳で返事をしてくださった。一方で、「王子殿下」と呼ぶと、聞こえないふりをされたわ。
(まるで、子供だわ。でも、どこか憎めないのよね)
「父上は側妃と食事をすることが多いし、基本的に母上は自室で食事をする。私はいつも一人で食事を取るからオリビアが一緒に食べてくれると嬉しい」
そのように言われたら断るのは難しい。お茶を淹れ一緒に食事をし、衣服の準備、着替えの手伝い、簡単な身の回りのお世話をするのだけれど、大抵エマたちがしてしまうので、私は一緒に食事をしオーウェン様の話し相手になっているだけだった。
「もっと、オーウェン様のお世話を頑張りたいのですが、なにをしたら喜んでくださいますか?」
出仕して5日目のこと、私はオーウェン様にそう尋ねていた。
「いや、私の横に座って一緒に食事をして、私の話を聞いてくれるだけで充分なのだが?」
「専属侍女の仕事・・・・・・私はエマたちに入浴の際のお手伝いをしてもらいますから、えっと、私も・・・・・・」
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「他人に身体を触られたくないから、自分で洗っている。それぐらい一人でできるから心配するな」
ぶっきらぼうに言ったオーウェン様の顔が赤く染まった。
「兄上。今日はいつになくご機嫌が良いのですね? はぁーーん、この女性が新しい専属侍女ですか? なんとまぁ、素晴らしい美貌だ! お前、兄上をどうやって懐柔したのだ? しかし、いつも遊び呆けて政務を手伝おうともしない『はずれ王子』の専属侍女だなんて損をしたな?」
嫌な笑みを浮かべながら近づいて来た男性は、側妃様の生んだアイザック第2王子殿下だった。
「私は得をするために出仕したわけではありません。オーウェン様のお役に立ちたいから、ここにいるだけです。それに、第2王子殿下。不敬ではありませんか? オーウェン様は正妃様がお生みになった王子殿下です」
「なんだと? 生意気な! 母上を愚弄するのか?」
アイザック第2王子殿下が怒りに満ちた目をギラギラさせながら大股で去っていく。私はお茶を新しく入れ替える準備を始めた。
「オーウエン様。せっかくの美味しい紅茶が、まずくなりましたね。ハーブティーを入れ直しましょうね」
「オリビアは強いな」
オーウェン様はわずかに口角を上げ、かすかに微笑んだ。
「オーウェン様は怒っている顔よりも笑っていたほうがずっと素敵ですね。ところで、その額の火傷の痕ですが、ゾーイにある物を開発させました。塗ってみてもよろしいですか?」
「なにを開発させたんだい? オリビアは私をどうしたいのだ?」
「髪で額を隠さなくても良いようにしたいです。その髪型も素敵ですが、火傷の痕が少しでも薄くなれば、もっと明るく笑ってくださるかもしれないと思いました。差し出がましいことを申し上げてすみません」
「いや、構わない。私の気持ちを明るくしたいと思ってくれたのが嬉しい」
オーウェン様の笑顔は静かな月明かりのように穏やかで、優しさに満ちていた。その時、初めて意識したのは私のドレスの色だった。
贈られたドレスは全てブルーで、オーウェン様の髪と瞳も澄んだ綺麗なブルーだったのよ。
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※オーウェンのイラストがインスタ:bluesky77_77にあります。
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