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よくわからない旦那様の気持ち
しおりを挟む私は自宅に帰る日にちをレイモンド様にお手紙で知らせた。
この5年間で夫に送る初めての手紙だった。
レイモンド様からはすぐにお手紙が来て学園まで自らお迎えに来ると書いてあった。
愛するミミちゃんへ
やっと、会えるね。
五年間、一度も手紙をくれなかったことがとても寂しかったよ。
きっとすばらしい女性になっていることだろう。
三日ほど休暇をとったからお迎えに行こうと思う。
君も楽しみに待っていてくれ。
「なぜ、わざわざ、お迎えに来るんだろう?」
私はカロリーヌ王女にため息をつきながら言ったものだ。
「うーーん、不思議ね?愛人やら恋人がいっぱいいる公爵様なのでしょう?
その方達と、よろしくやっていればいいのに、わざわざお迎えに来るなんていい度胸しているわねぇー
まぁ、私とリリアンは少し帰る日にちをずらすわ。
貴女の夫を見てみたいもの!」
カロリーヌとリリアンはいたずらっぽく笑った。
「う、そこまでして見るほどの夫ではありませんわ。ただの、そう、ただの猫好きな女たらしの公爵ですもの‥‥」
私はうつむいて、唇をかみしめた。
「かわいそうに‥‥大丈夫よ。なにかあったら、私の国にきて?」
カロリーヌは私の肩を抱いた。
「あら、私の国に来なさいよ。私の弟はまだ婚約者もいないのよ?年下はお嫌?」
「あら、そういうことなら、私のお兄様も婚約者がいないわ!ねぇ、どうかしら?一度、お兄様に会ってみない?」
「ううん、そんなことはまだ全然考えられないわ。私は今、ミラー公爵夫人ですもの。今ある問題をかたづけないと先には進めないわ」
「あぁーーもぉ!あなたのその生真面目な誠実なところが大好きだわ」
二人は私の頬に軽くキスしてにっこりと微笑んだ。
☆
当日は、素晴らしく晴れたとてもいい朝だった。
自分で絹のような、もはや灰色には見えない濃い艶やかなシルバーがかった髪をすくとキラキラと朝日に輝いている。
カロリーヌにサイドの髪を複雑に編み込んで、ハーフアップにしてもらった。
今日のドレスは淡い水色のシンプルなもので、細いウエストがよりほっそりと見えた。
「まぁ、とても綺麗よ?多分、貴女の夫は腰を抜かすわよ」
リリアンは眩しそうに私を見た。
「レイラ、公爵様がお迎えに来ましたよ」
学園長が私の部屋に来て私の髪をそっと撫でて囁いた。
「緊張しないで?大丈夫」
私はうなずいて夫のもとに行くのだった。
☆
レイモンド様は私を見つめて、さっと顔を赤らめた。
「君は、本当にレイラなのかい?あんまり綺麗でちょっと想像していたのとは‥‥」
「ミラー公爵様、これが本来の奥様のお姿です。決して、もう、ミミちゃんなどと仰いませんように」
学園長が艶やかに笑いながら私の夫をたしなめた。
「そうですね。もうミミとは呼ばないことにしましょう!さぁ、レイラ、一緒に帰ろう」
私は彼のエスコートで馬車に乗った。
後ろを振り返ると、カロリーヌとリリアンが手を振っていた。
この学園では大切な友人ができて本当に良かったと思う。
☆
「どうしたの?友人との別れが悲しそうだね?どこのご令嬢たちだい?落ち着いたら遊びに行ったらいい」
優しい口調で私の髪をやわやわと撫でた。
私はびくっと肩が震えた。
他の女性に散々触った手で触れられているのだと思うと悲しくなってくるし胃のそこから酸っぱいものがせりあがってきそう‥‥
「申し訳ありませんが、レイモンド様。もう少し離れていただけませんか?今、私、吐きそうなのです」
冷たい眼差しを夫にむけて、つんと顎をあげて顔をそむけた。
「あ、申し訳ない。つい、五年ぶりに会えて嬉しくて‥‥頭をわたしの膝の上にのせなさい。冷たいハンカチをかけてあげよう」
頭を膝の上にのせろですって?
なんの冗談なんだろう?
「結構ですわ!ちょっと、放っておいていただけません?」
イライラとして、思わず鋭い声で夫の手を払いのけようとしたら馬車がガクンと揺れた。
「ほら、危ない!わたしの膝の上においで。支えてあげるし、吐いてもかまわない‥」
愛人も恋人もいる男の膝の上に喜んでのる正妻っているのだろうか?
この人、きっと私をバカにしているのかもしれない。
なぜか、悲しい気分になって涙ぐんでしまっていたら、ハンカチで丁寧に涙を拭いてくれて肩を抱いてよしよし、と子供みたいにあやされた。
なんだろう?これって‥‥
なぜ、こんなに優しいの?
愛人に夢中なはずの夫なのに‥‥
私はどうしたらいいの?
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