(完)大好きなお姉様、なぜ?ー夫も子供も奪われた私

青空一夏

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3 ライアンの勝手な言い分

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「嘘よ! お姉様がそんなことをするはずがないわ。大好きなお姉様なのに……」
そうつぶやくマリーにレティは困ったように微笑んだ。

「ローズ様はお体が弱くて出産はできないと伺っています。だからマリー様のお子様をご自分の子供にすると私は言われておりました。それはマリー様も納得のうえだと思っていましたが違うのですか?」

「そんなことは一言も聞いていません……それにお姉様は……」
マリーは涙を流しながら姉を責める言葉を口にしようとして慌ててそれを引っ込める。姉は子供が産めないほど体が弱いわけではないことをマリーは知っていたが、それは侍女の前で言うべきことではない気がした。

(私が出産で疲れているからきっとしばらく預かってくれているだけよ。明日にでもお姉様に直接聞いてみよう)

もやもやした思いに無理矢理蓋をしてマリーは、ベッドに横たわり深呼吸をした。まずは体力を回復させることが先だとマリーは目を閉じて眠ろうとしたのである。

(毎日来てくれた姉なのだから、きっと明日もお見舞いに来てくださるわ)
マリーは姉が自分に酷いことをするなどとはみじんも思っていなかったのである。


だが翌日も翌々日もローズは姿を見せず、ライアンも家には帰ってこなかった。ローズが来ないまま五日ほど経ちやっと外出できるようになったマリーはキャメロン伯爵家へと向かった。





サロンではローズが赤ちゃんを抱きライアンが子馬の形のマスコットガラガラを揺らしながあやしている。
「しばらく帰ってこないと思っていたらライアンまでここにいたのね。お姉様、赤ちゃんを預かってくださってありがとうございます。もう体はすっかり回復しました。ですから、私の赤ちゃんを返してくださいませ」
マリーの申し出をローズは鼻で笑った。。

「まぁ、マリーに返すわけがないでしょう? これは私の赤ちゃんよ。名前はラインハルト・キャメロン。もう出生届けも養子の手続きも全て済ませたわ。この子は次期伯爵になるのよ」

「私は承諾しておりません! そのようなことが私の同意なしにできるわけがありません」
マリーはそう言いながらもライアンを不安げに見つめる。この国、サザーランドでは子供のことは父親が母親より決定権がある。いくら母親が反対しようとも父親がイエスと言えばそれを覆らせることはほぼできない。

「まさか……ライアンが……嘘よね? 一緒に幸せな家庭を築き上げようって約束したわよね? 私を愛しているって言ってくれたわよね?」
マリーの悲痛な問いかけにライアンは薄く笑った。

「もちろんだよ。マリーのことはとても愛しているよ。だが、ローズは病弱で子供が望めない体だ。だから、この子供を養子に差し出すのは当然だよね? 妹なんだから姉をかわいそうに思ってそれぐらいはしてあげなよ。ローズは君をとても大事にしてきただろう? 恩返しするべきだよね? それにこの子供は爵位が継げて大金持ちになれる。僕も君もここに住む資格が得られて贅沢ができるんだよ」

「そうよ、マリー! みんなが幸せになれるわ」
そう言いながらローズが妖艶な笑みを浮かべてマリーに手を差し出した。

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