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5 アイラの砕けた恋心
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「これはもしかして魔天竜かな? だとしたら倒す自信は全くないなぁ」
ジャックは不安げに額の汗を拭った。
「いいえ、これは竜の形態を疑似したオオトカゲの魔物だと思うわ。魔天竜はもっと神秘的な美しさだし、オーラーが全然違うと思う。もしこれが魔天竜なら、直視できないほどの光に包まれているはずよ」
「そうなのかい? でも、こいつもかなり強そうだ! まずは僕がやってみるね」
ジャックは水魔法で攻撃を試みるも、竜のふりをしたオオトカゲの魔物には簡単にかわされてしまうのだった。
「オオトカゲなら炎でないとだめよ。炎の竜巻、渦を巻きこの竜の真似をしている不届き者を焼き尽くせ! 炎槍はトカゲの目を射よ! 炎斧よ、喉元を砕き焼け!」
呪文を小さく唱えて魔法を放てば、巨大な竜が半分ほどの大きさのオオトカゲに変身した。
「漸く元の姿になったわね。たかがトカゲが私の大好きな魔天竜を模倣するなんて小賢しい! 天聖より生ずる劇炎よ。魔を焼き尽くし変じて希珍物となれ!・・・・・・魔の焦遺体を粉となせ!」
アイラは魔物辞典にあった呪文を迷うことなく追唱する。
そうしてアイラは魔粉がうまく革袋に入るように風魔法でコントロールしつつ、魔粉をあますことなく収集したのである。
「これでこのオオトカゲより下位の魔物を操れるわ。粉を振りかけてある呪文を唱えれば従属させることができるのよ」
アイラはジャックに微笑みかけながら、その革袋を高く掲げた。
「おい、それをこっちに渡せ! それは僕のものだ」
それを奪い取ろうとするハリーに、アイラは無言でクビを横に振る。
「ちっ! 女のお前がそんな手柄をたてても皆が迷惑するだけだぞ! そんな簡単なこともわからないのか? 女は男を立てて、控えめに後ろに下がってニコニコしていればいいんだよ。かわいげがまるでないお前は女じゃないよ」
ハリーは舌打ちをするとアイラに向かって、いつものように悪態をつき始めた。
「いいんです。お兄様に可愛いと思われなくても家族から白い目で見られても、私には信じられる人がいますから」
アイラは満面の笑みでハリーに宣言したけれど・・・・・・それは見事に裏切られることになるのだった。
魔物討伐から帰還し国王陛下の前に集められた討伐隊。アイラは自分の手柄をジャックに譲ることにした。そう、その革袋をジャックに渡し、絶対服従隷属魔法の呪文を教えたのである。
初めは戸惑ったジャックも丁重にお礼を言ってそれを受け取り、国王陛下から勇者の称号と男爵位、さらには馬車二頭分の金貨を賜ったのだ。
ところが、晴れて爵位とお金を手に入れたジャックが跪いた相手はアイラではなく妹のリリーだった。
「どうか僕の手を取っていただけませんか?」
リリーはその言葉に満足気に頷いたのである。
やがてリリーはなぜか聖女に祭り上げられ、ジャックとの結婚を国王陛下は国事として行うと宣言したのであった。
(嘘でしょう? なんでよ? ジャックと結婚するのは私じゃないの? それにリリーが聖女? なんの治癒能力もないのに?)
泣きそうになりながら呆然と立ち尽くすアイラにジャックは
「アイラには一番に祝福してもらいたな」と眩しすぎる笑顔で言った。
アイラはショックで言葉も出ない。
『ジャックと結婚するのは私のはずでしょう?』そう言って泣き叫びたかったが、そんなことをするのは惨めすぎた。
その様子を見てニヤニヤと笑うハリーは意地悪く顔を歪め、リリーは口の端を少し持ち上げて馬鹿にしたように笑ったのである。
結局アイラの活躍はまるでなかったことにされ、全ては男達の手柄となりアイラはまるで戦力外だったと貶されるのだった。
「全く本当にただの一度も使い物になりませんでしたよ。お荷物もいいとこだ! 口だけは大きなことを言って木の上で震えているばかりでした。魔法の力はあってもやっぱり女だから魔物は怖いのでしょう」
魔物討伐隊の男達は偽りの報告を国王陛下にして、アイラは悔しさに唇を噛みしめたのだった。
その結果アイラにはすっかり居場所がなくなり、わずかばかりのお金を持たされてジャスミン家を追い出されたのである。
ジャックは不安げに額の汗を拭った。
「いいえ、これは竜の形態を疑似したオオトカゲの魔物だと思うわ。魔天竜はもっと神秘的な美しさだし、オーラーが全然違うと思う。もしこれが魔天竜なら、直視できないほどの光に包まれているはずよ」
「そうなのかい? でも、こいつもかなり強そうだ! まずは僕がやってみるね」
ジャックは水魔法で攻撃を試みるも、竜のふりをしたオオトカゲの魔物には簡単にかわされてしまうのだった。
「オオトカゲなら炎でないとだめよ。炎の竜巻、渦を巻きこの竜の真似をしている不届き者を焼き尽くせ! 炎槍はトカゲの目を射よ! 炎斧よ、喉元を砕き焼け!」
呪文を小さく唱えて魔法を放てば、巨大な竜が半分ほどの大きさのオオトカゲに変身した。
「漸く元の姿になったわね。たかがトカゲが私の大好きな魔天竜を模倣するなんて小賢しい! 天聖より生ずる劇炎よ。魔を焼き尽くし変じて希珍物となれ!・・・・・・魔の焦遺体を粉となせ!」
アイラは魔物辞典にあった呪文を迷うことなく追唱する。
そうしてアイラは魔粉がうまく革袋に入るように風魔法でコントロールしつつ、魔粉をあますことなく収集したのである。
「これでこのオオトカゲより下位の魔物を操れるわ。粉を振りかけてある呪文を唱えれば従属させることができるのよ」
アイラはジャックに微笑みかけながら、その革袋を高く掲げた。
「おい、それをこっちに渡せ! それは僕のものだ」
それを奪い取ろうとするハリーに、アイラは無言でクビを横に振る。
「ちっ! 女のお前がそんな手柄をたてても皆が迷惑するだけだぞ! そんな簡単なこともわからないのか? 女は男を立てて、控えめに後ろに下がってニコニコしていればいいんだよ。かわいげがまるでないお前は女じゃないよ」
ハリーは舌打ちをするとアイラに向かって、いつものように悪態をつき始めた。
「いいんです。お兄様に可愛いと思われなくても家族から白い目で見られても、私には信じられる人がいますから」
アイラは満面の笑みでハリーに宣言したけれど・・・・・・それは見事に裏切られることになるのだった。
魔物討伐から帰還し国王陛下の前に集められた討伐隊。アイラは自分の手柄をジャックに譲ることにした。そう、その革袋をジャックに渡し、絶対服従隷属魔法の呪文を教えたのである。
初めは戸惑ったジャックも丁重にお礼を言ってそれを受け取り、国王陛下から勇者の称号と男爵位、さらには馬車二頭分の金貨を賜ったのだ。
ところが、晴れて爵位とお金を手に入れたジャックが跪いた相手はアイラではなく妹のリリーだった。
「どうか僕の手を取っていただけませんか?」
リリーはその言葉に満足気に頷いたのである。
やがてリリーはなぜか聖女に祭り上げられ、ジャックとの結婚を国王陛下は国事として行うと宣言したのであった。
(嘘でしょう? なんでよ? ジャックと結婚するのは私じゃないの? それにリリーが聖女? なんの治癒能力もないのに?)
泣きそうになりながら呆然と立ち尽くすアイラにジャックは
「アイラには一番に祝福してもらいたな」と眩しすぎる笑顔で言った。
アイラはショックで言葉も出ない。
『ジャックと結婚するのは私のはずでしょう?』そう言って泣き叫びたかったが、そんなことをするのは惨めすぎた。
その様子を見てニヤニヤと笑うハリーは意地悪く顔を歪め、リリーは口の端を少し持ち上げて馬鹿にしたように笑ったのである。
結局アイラの活躍はまるでなかったことにされ、全ては男達の手柄となりアイラはまるで戦力外だったと貶されるのだった。
「全く本当にただの一度も使い物になりませんでしたよ。お荷物もいいとこだ! 口だけは大きなことを言って木の上で震えているばかりでした。魔法の力はあってもやっぱり女だから魔物は怖いのでしょう」
魔物討伐隊の男達は偽りの報告を国王陛下にして、アイラは悔しさに唇を噛みしめたのだった。
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