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12 再会
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「あらまあ、スカーレットちゃん。なかなかやるじゃないか。こんな立派な恋人がいたなんてね。今日はもう上がっていいから、ロビーでゆっくり話しておいで」
おかみさんは目を細めて楽しそうに笑った。
「ち、違います! 恋人なんていませんから!」
私は慌てて手を振って否定する。けれど、隣に立つ彼はほんの少し肩を落とし、寂しげな横顔を見せた。幸いロビーには人影もなく、私たちは向かい合ってソファに腰を下ろした。不思議な高鳴りを覚えながら、私は意を決して問いかける。
「あの……どなた様でしょうか? どうして私のことをご存じなのですか?」
「ああ、そうだった。普段は魔道具で姿を変えていたんだっけ。少し待って……今、つけるよ」
彼は腰に下げた革袋から指輪を取り出し、指にはめた。瞬間、目の前の人物が見慣れた姿へと変わっていく。さらに懐から眼鏡をとりだし、かけると・・・・・・
「スチュアート様……! 先ほどの姿はまるで別人でしたので……全く気づきませんでしたわ」
「この魔道具の指輪は髪の色や瞳の色 。それから顔立ちも、少しぼんやり見えるように作られてるんだ。身長は変わらないと思うけれど 、多分体つきなども ごまかしてくれていたと思うんだよね。さすがに本来の姿だと学園では目立ちすぎるからね。私はただ静かに学びたかったんだ。この国の方が音楽――特にヴァイオリンやピアノの水準は高いから、どうしてもここで腕を磨きたかった」
「確かに 先ほどのお姿では とても目立ってしまいますよね。それでどうして私を探してくださったのですか?」
「初めて会った時から、君が気になっていたんだ。美しいから、というだけじゃない。いつもどこか悲しそうな瞳は、隠しきれない聡明な光を帯びていた……それが心に残った。みんなは出来損ないだなんて言っていたが、私は一度もそう思わなかったよ。あの魔獣の時もそうだ。メルバ嬢の光魔法はまったく効いていなかった。だが、君が手を広げた瞬間、確かに見えたんだ。君の全身から光が溢れ出して、魔獣を消し去った……そうだろう? 本当は、あれを倒したのは君なんだよね」
「……あれは、確かに私ですけれど、もうどうでもいいことです。私はもうカーク侯爵家の令嬢ではなく、ただの宿屋で働く平民です。スチュアート様にとっては何の得にもならない存在です。ですから、どうか放っておいてください。身分が違いすぎます。私のような者に関わっていては……ご両親に叱られてしまいますよ」
「両親に? いや、叱られるどころか、きっと喜ぶと思う。スカーレット嬢こそが『本物の聖女様』だからね。だが、私はそんな理由で探していたんじゃない。君を見ているうちに、どうしようもなく惹かれてしまったんだ。君が学園に来なくなったとき、そして屋敷から追い出されたと聞いたとき……どれほど心配したか分からない。二度と会えないかもしれないと思ったり、ひどい目に遭っているんじゃないかと眠れない夜を過ごした。……この気持ち、分かってもらえるかい?」
スチュアート様からの突然の告白。嬉しくて胸が熱くなるのに、急すぎてどう反応していいのか分からない。真っ赤になってうつむく私の髪の一房を、彼はそっとすくい上げ、口づけた。
「ひゃっ……!? い、いきなりそんなことなさらないでください!」
おかしな声が漏れてしまい、涙目になりながらも私はスチュアート様を睨みつける。
「ふふ……可愛い。私の気持ち、受け入れてくれるよね?」
「いいえ。あまりにも急すぎて、心が追いつきません。だってスチュアート様は、たった今こうして私の前に現れたばかりなんですよ? ……まあ、確かに素敵だとは思いますけれど」
「それなら、これから好きになってもらえるよう努力しなくちゃね。素敵だと思ってくれているなら、好きになってもらえる未来はそう遠くないだろう? もう、ここで働く必要はない。私のところに来なさい。宿屋での仕事は大変だろう? お金のことなら心配しなくていいから」
なんだろう、この感覚。手のひらの上で弄ばれているみたい。嬉しいはずなのに、ほんの少しだけ胸の奥がむっとしてしまう。
「それは困ります。スチュアート様にお金を出していただく理由はありませんし、ここで働くことはとても楽しいんです。私の力を必要としてくれる人もいます。それに……こう申し上げては失礼かもしれませんが、スチュアート様はウィズダム男爵家の次男ではありませんでしたか?『お金の心配はいらない』なんておっしゃるほど、自由にできる資金がおありなのですか?」
「ああ……手厳しいね。でも、確かにそう思うのも無理はない。実を言うと、私の本当の名はスチュアート・ゴールドバーグ。ゴールドバーグ王国の王太子なんだ。両陛下に頼み込んで、半年だけ留学させてほしいとお願いし、お忍びでこの国に来ているんだ」
「嘘……王太子様だったんですか? 申し訳ございません、大変失礼なことを……どうしましょう」
「大丈夫だよ。未来の妃からなら、何を言われても怒る気はないさ。それより……今までのことを話してくれないか? 君がこんな目に遭っているのには、きっと深い理由があるんだろう」
私がこれまでの経緯を語ると、スチュアート様は顔を険しくした。
「信じられない父親だな。前カーク侯爵夫人が亡くなったのは誰のせいでもない、ただの不幸な運命だ。それを娘に押しつけるなんて最低だよ。娘を守るどころか、逃げ場のない子どもに責任を負わせるなんて……男としても父親としても失格だ。継母もメルバ嬢も……ずいぶんと卑劣な真似をしていたのだな」
そして彼は明日の出来事について語ってくれた。学園での魔獣事件の活躍を受け、メルバが『聖女』として認定される儀式が、王国を挙げて明日の夜に行われるという。その場にはゴールドバーグ王国の王族も招待されたらしい。
「だから私は、王太子として公式に出席しなければならない。本来の姿で表に出ていたのはその準備のためだよ」
実際にはスチュアート様はもともとこの国に滞在していたのだが、表向きには『つい先日到着した』という体裁を取っていた。そのため、あえて本来の姿で街を歩いていたのだという。そして偶然、街で流れていた噂を耳にして、私のいる宿を訪ねてきてくれたのだった。
「まだこの国にいる間は時間がある。だから、それまでに君に好きになってもらえるよう努力するよ。……今日はもう帰るが、必ずまた会いに来る。ところで……聖女認定の儀式に出るつもりはある? もし君が望むなら、真実を明らかにする手助けもできるけれど」
「いいえ、もうあの人たちに関わりたくないんです。 私は私の道を生きていきますから」
「そうか。君のその前をまっすぐ見て生きていこうとする姿が本当に素晴らしいと思う。私はそんな君がたまらなく好きだよ」
その夜、スチュアート様の言葉が胸の奥でいつまでも響いていた。
(好きだ、なんて……本気で? どうして私なんかに……)
考えれば考えるほど落ち着かず、布団に入ってもまぶたは重くならなかった。
その時だった。
――カチャリ。
小さな金属音が、夜の静寂を裂いた。
眠れぬまま耳を澄ませていた私は、はっきりと扉の鍵が開く音を聞いたのだ。
ぎしり、と床板が軋む。暗闇に人影が滑り込んでくる。
「だれ……っ」
声を上げようとした瞬間、荒々しい手が口を塞いだ。驚きに身を捩り、必死に腕を振りほどこうとする。けれどすぐに、鼻先へ布が押し当てられた。甘ったるい薬草のような匂いが一気に流れ込み、頭がぐらりと揺れた。意識が急速に闇へと引きずり込まれていく。
(眠り薬……? いや……ダメ……助けて、スチュアート様!)
とっさに浮かんだのは、彼の名だった。けれど、ここに彼はいない。声を張り上げることもできず、抵抗の思考すら霞んでいき、私は力なく意識を手放した。
おかみさんは目を細めて楽しそうに笑った。
「ち、違います! 恋人なんていませんから!」
私は慌てて手を振って否定する。けれど、隣に立つ彼はほんの少し肩を落とし、寂しげな横顔を見せた。幸いロビーには人影もなく、私たちは向かい合ってソファに腰を下ろした。不思議な高鳴りを覚えながら、私は意を決して問いかける。
「あの……どなた様でしょうか? どうして私のことをご存じなのですか?」
「ああ、そうだった。普段は魔道具で姿を変えていたんだっけ。少し待って……今、つけるよ」
彼は腰に下げた革袋から指輪を取り出し、指にはめた。瞬間、目の前の人物が見慣れた姿へと変わっていく。さらに懐から眼鏡をとりだし、かけると・・・・・・
「スチュアート様……! 先ほどの姿はまるで別人でしたので……全く気づきませんでしたわ」
「この魔道具の指輪は髪の色や瞳の色 。それから顔立ちも、少しぼんやり見えるように作られてるんだ。身長は変わらないと思うけれど 、多分体つきなども ごまかしてくれていたと思うんだよね。さすがに本来の姿だと学園では目立ちすぎるからね。私はただ静かに学びたかったんだ。この国の方が音楽――特にヴァイオリンやピアノの水準は高いから、どうしてもここで腕を磨きたかった」
「確かに 先ほどのお姿では とても目立ってしまいますよね。それでどうして私を探してくださったのですか?」
「初めて会った時から、君が気になっていたんだ。美しいから、というだけじゃない。いつもどこか悲しそうな瞳は、隠しきれない聡明な光を帯びていた……それが心に残った。みんなは出来損ないだなんて言っていたが、私は一度もそう思わなかったよ。あの魔獣の時もそうだ。メルバ嬢の光魔法はまったく効いていなかった。だが、君が手を広げた瞬間、確かに見えたんだ。君の全身から光が溢れ出して、魔獣を消し去った……そうだろう? 本当は、あれを倒したのは君なんだよね」
「……あれは、確かに私ですけれど、もうどうでもいいことです。私はもうカーク侯爵家の令嬢ではなく、ただの宿屋で働く平民です。スチュアート様にとっては何の得にもならない存在です。ですから、どうか放っておいてください。身分が違いすぎます。私のような者に関わっていては……ご両親に叱られてしまいますよ」
「両親に? いや、叱られるどころか、きっと喜ぶと思う。スカーレット嬢こそが『本物の聖女様』だからね。だが、私はそんな理由で探していたんじゃない。君を見ているうちに、どうしようもなく惹かれてしまったんだ。君が学園に来なくなったとき、そして屋敷から追い出されたと聞いたとき……どれほど心配したか分からない。二度と会えないかもしれないと思ったり、ひどい目に遭っているんじゃないかと眠れない夜を過ごした。……この気持ち、分かってもらえるかい?」
スチュアート様からの突然の告白。嬉しくて胸が熱くなるのに、急すぎてどう反応していいのか分からない。真っ赤になってうつむく私の髪の一房を、彼はそっとすくい上げ、口づけた。
「ひゃっ……!? い、いきなりそんなことなさらないでください!」
おかしな声が漏れてしまい、涙目になりながらも私はスチュアート様を睨みつける。
「ふふ……可愛い。私の気持ち、受け入れてくれるよね?」
「いいえ。あまりにも急すぎて、心が追いつきません。だってスチュアート様は、たった今こうして私の前に現れたばかりなんですよ? ……まあ、確かに素敵だとは思いますけれど」
「それなら、これから好きになってもらえるよう努力しなくちゃね。素敵だと思ってくれているなら、好きになってもらえる未来はそう遠くないだろう? もう、ここで働く必要はない。私のところに来なさい。宿屋での仕事は大変だろう? お金のことなら心配しなくていいから」
なんだろう、この感覚。手のひらの上で弄ばれているみたい。嬉しいはずなのに、ほんの少しだけ胸の奥がむっとしてしまう。
「それは困ります。スチュアート様にお金を出していただく理由はありませんし、ここで働くことはとても楽しいんです。私の力を必要としてくれる人もいます。それに……こう申し上げては失礼かもしれませんが、スチュアート様はウィズダム男爵家の次男ではありませんでしたか?『お金の心配はいらない』なんておっしゃるほど、自由にできる資金がおありなのですか?」
「ああ……手厳しいね。でも、確かにそう思うのも無理はない。実を言うと、私の本当の名はスチュアート・ゴールドバーグ。ゴールドバーグ王国の王太子なんだ。両陛下に頼み込んで、半年だけ留学させてほしいとお願いし、お忍びでこの国に来ているんだ」
「嘘……王太子様だったんですか? 申し訳ございません、大変失礼なことを……どうしましょう」
「大丈夫だよ。未来の妃からなら、何を言われても怒る気はないさ。それより……今までのことを話してくれないか? 君がこんな目に遭っているのには、きっと深い理由があるんだろう」
私がこれまでの経緯を語ると、スチュアート様は顔を険しくした。
「信じられない父親だな。前カーク侯爵夫人が亡くなったのは誰のせいでもない、ただの不幸な運命だ。それを娘に押しつけるなんて最低だよ。娘を守るどころか、逃げ場のない子どもに責任を負わせるなんて……男としても父親としても失格だ。継母もメルバ嬢も……ずいぶんと卑劣な真似をしていたのだな」
そして彼は明日の出来事について語ってくれた。学園での魔獣事件の活躍を受け、メルバが『聖女』として認定される儀式が、王国を挙げて明日の夜に行われるという。その場にはゴールドバーグ王国の王族も招待されたらしい。
「だから私は、王太子として公式に出席しなければならない。本来の姿で表に出ていたのはその準備のためだよ」
実際にはスチュアート様はもともとこの国に滞在していたのだが、表向きには『つい先日到着した』という体裁を取っていた。そのため、あえて本来の姿で街を歩いていたのだという。そして偶然、街で流れていた噂を耳にして、私のいる宿を訪ねてきてくれたのだった。
「まだこの国にいる間は時間がある。だから、それまでに君に好きになってもらえるよう努力するよ。……今日はもう帰るが、必ずまた会いに来る。ところで……聖女認定の儀式に出るつもりはある? もし君が望むなら、真実を明らかにする手助けもできるけれど」
「いいえ、もうあの人たちに関わりたくないんです。 私は私の道を生きていきますから」
「そうか。君のその前をまっすぐ見て生きていこうとする姿が本当に素晴らしいと思う。私はそんな君がたまらなく好きだよ」
その夜、スチュアート様の言葉が胸の奥でいつまでも響いていた。
(好きだ、なんて……本気で? どうして私なんかに……)
考えれば考えるほど落ち着かず、布団に入ってもまぶたは重くならなかった。
その時だった。
――カチャリ。
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眠れぬまま耳を澄ませていた私は、はっきりと扉の鍵が開く音を聞いたのだ。
ぎしり、と床板が軋む。暗闇に人影が滑り込んでくる。
「だれ……っ」
声を上げようとした瞬間、荒々しい手が口を塞いだ。驚きに身を捩り、必死に腕を振りほどこうとする。けれどすぐに、鼻先へ布が押し当てられた。甘ったるい薬草のような匂いが一気に流れ込み、頭がぐらりと揺れた。意識が急速に闇へと引きずり込まれていく。
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