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21 復学
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お父様たちの断罪が終わり、再び荘厳な空気が大聖堂を包んだ。国王陛下は堂々とした足取りで私の前に進むと、静かに、けれど揺るぎない威厳を漂わせながら手を差し伸べた。
「スカーレットよ。ここに正式に、そなたを我が王国の聖女たる者として認定する。そなたの偉大なる力は、国と民を導く光であり、決して汚されることのないものとする」
その瞬間、聖堂内に控えていた貴族たちの間から、自然と拍手と賛同の声が湧き上がった。
「メルバ嬢が聖女に認定される前で、本当に良かったわ」
「真の聖女様に、聖印の首飾りが与えられるとは、喜ばしい限りです」
「今まで虐げられてきて、本当にお可哀想でしたわ。それにしてもお美しいこと……」
拍手はやがて聖堂全体に広がり、まるで柔らかな波のように私の心を包んだ。人々の祝福と期待が一つになり、その場は言葉にできないほどの温かさに満ちていた。
。゚☆: .☽ . :☆゚
認定式が終わり貴族たちも帰った後、私は国王陛下の私的応接室で、今後のことを話していた。その場にはスチュアート様も同席した。
「今までさぞ苦労したことでしょう。もう何も心配することはありません。今後は、聖女として神殿に住み、多くの聖女付きの侍女に傅かれて暮らすように」
王妃殿下が優しくおっしゃった。
「申し訳ありません。それはできません。宿屋の女将さんには、子供が生まれるまでは手伝うと約束しています。途中で放り出すわけにはいきません」
私は必死に、今までの経緯を説明する。
「そなたの気持ちはわかる。だが、民たちには、そなたが聖女に認定されたことを発表せねばなるまい。聖女と認定されたスカーレットが、宿屋に寝泊まりし手伝いに入るなどしていれば、思わぬ危険が生じよう。今後また、誘拐されるような事件が起きるかもしれぬのだぞ」
国王陛下は渋い顔で頭を悩ませておられた。
(わがままを言っているのはわかっている。でも、困っていたときに親切にしてくれた女将さんを裏切りたくない・・・・・・)
「だとしたら、この指輪が役立つかもしれません。 私がこの指輪を使うのは、昼間の学園に通っている時だけです。 スカーレットは夕方から混み合う宿屋の食堂を手伝う。その間、この指輪を貸しましょう。この指輪は髪の色や瞳の色を自由に変える魔道具です。女将さんには正体を明かし、目立たない髪と瞳に変えれば、周囲には気づかれないでしょう」
「なるほど。それなら、別人のふりをして宿屋の夕食時の混雑を手伝うということだな。ならば、昼間は学園に復学し、のびのびと学園生活を楽しむと良いのではないか? もう、わざと間違えた答案用紙を提出する必要もない」
国王陛下がそうおっしゃると、王妃殿下も深く頷かれた。
「継母や妹のせいで、学園生活が辛かったと聞いています。せめて、いい思い出を作らせてあげたいわ。聖女としての仕事は人々を癒すことですが、学園が休みの祝祭日の午前中に回せば十分でしょう。一度に多くの人数を癒す必要はありません。スカーレットの健康が第一ですから」
お二人の言葉は、宿屋の女将さんやアテナさん達が見せてくれた温かさを思い起こさせ、思わず胸が熱くなった。
昼間は学園で学び、夕方からは変装して宿屋を手伝う。住まいは聖騎士に守られた神殿で、スチュアート様率いる近衛兵も特別に護衛に当たることとなった。
「何しろ 私はスカーレットを未来の妃として考えていますから。 彼女の身の安全が何よりも心配です」
そうおっしゃりながら、スチュアート様は私の髪の一房をそっと取り、軽く口づけをして微笑んだ。
「我が国の聖女が、大国ゴールドバーグの正妃に迎えられるのは大変喜ばしい」
国王夫妻は ニコニコと その様子を見守りおっしゃった。
「 ・・・・・・私は、まだお返事をしていません」
顔を真っ赤にして告げると、王妃殿下はにっこり微笑みながら、「もちろん、スカーレットの気持ちが一番大事です」とおっしゃった。
(でも・・・・・・外堀がどんどん埋められていくような気がするのは、気のせいかしら?)
ちらりとスチュアート様の方を見ると、蕩けるような笑顔が眩しくて、思わず目を逸らした。胸が高鳴り、心臓が苦しいほどよ。
(もう私はこの方が好きなのかも・・・・・・)
甘い恋の予感とともに、私は再び学園に戻ることになるのだった。
❀┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❀
学園で、かなり意地悪なことを言っていた女生徒もいましたね。さて、彼女たちはいったいどのような反応を見せるのでしょうか。次回のお話を、どうぞお楽しみに!
「スカーレットよ。ここに正式に、そなたを我が王国の聖女たる者として認定する。そなたの偉大なる力は、国と民を導く光であり、決して汚されることのないものとする」
その瞬間、聖堂内に控えていた貴族たちの間から、自然と拍手と賛同の声が湧き上がった。
「メルバ嬢が聖女に認定される前で、本当に良かったわ」
「真の聖女様に、聖印の首飾りが与えられるとは、喜ばしい限りです」
「今まで虐げられてきて、本当にお可哀想でしたわ。それにしてもお美しいこと……」
拍手はやがて聖堂全体に広がり、まるで柔らかな波のように私の心を包んだ。人々の祝福と期待が一つになり、その場は言葉にできないほどの温かさに満ちていた。
。゚☆: .☽ . :☆゚
認定式が終わり貴族たちも帰った後、私は国王陛下の私的応接室で、今後のことを話していた。その場にはスチュアート様も同席した。
「今までさぞ苦労したことでしょう。もう何も心配することはありません。今後は、聖女として神殿に住み、多くの聖女付きの侍女に傅かれて暮らすように」
王妃殿下が優しくおっしゃった。
「申し訳ありません。それはできません。宿屋の女将さんには、子供が生まれるまでは手伝うと約束しています。途中で放り出すわけにはいきません」
私は必死に、今までの経緯を説明する。
「そなたの気持ちはわかる。だが、民たちには、そなたが聖女に認定されたことを発表せねばなるまい。聖女と認定されたスカーレットが、宿屋に寝泊まりし手伝いに入るなどしていれば、思わぬ危険が生じよう。今後また、誘拐されるような事件が起きるかもしれぬのだぞ」
国王陛下は渋い顔で頭を悩ませておられた。
(わがままを言っているのはわかっている。でも、困っていたときに親切にしてくれた女将さんを裏切りたくない・・・・・・)
「だとしたら、この指輪が役立つかもしれません。 私がこの指輪を使うのは、昼間の学園に通っている時だけです。 スカーレットは夕方から混み合う宿屋の食堂を手伝う。その間、この指輪を貸しましょう。この指輪は髪の色や瞳の色を自由に変える魔道具です。女将さんには正体を明かし、目立たない髪と瞳に変えれば、周囲には気づかれないでしょう」
「なるほど。それなら、別人のふりをして宿屋の夕食時の混雑を手伝うということだな。ならば、昼間は学園に復学し、のびのびと学園生活を楽しむと良いのではないか? もう、わざと間違えた答案用紙を提出する必要もない」
国王陛下がそうおっしゃると、王妃殿下も深く頷かれた。
「継母や妹のせいで、学園生活が辛かったと聞いています。せめて、いい思い出を作らせてあげたいわ。聖女としての仕事は人々を癒すことですが、学園が休みの祝祭日の午前中に回せば十分でしょう。一度に多くの人数を癒す必要はありません。スカーレットの健康が第一ですから」
お二人の言葉は、宿屋の女将さんやアテナさん達が見せてくれた温かさを思い起こさせ、思わず胸が熱くなった。
昼間は学園で学び、夕方からは変装して宿屋を手伝う。住まいは聖騎士に守られた神殿で、スチュアート様率いる近衛兵も特別に護衛に当たることとなった。
「何しろ 私はスカーレットを未来の妃として考えていますから。 彼女の身の安全が何よりも心配です」
そうおっしゃりながら、スチュアート様は私の髪の一房をそっと取り、軽く口づけをして微笑んだ。
「我が国の聖女が、大国ゴールドバーグの正妃に迎えられるのは大変喜ばしい」
国王夫妻は ニコニコと その様子を見守りおっしゃった。
「 ・・・・・・私は、まだお返事をしていません」
顔を真っ赤にして告げると、王妃殿下はにっこり微笑みながら、「もちろん、スカーレットの気持ちが一番大事です」とおっしゃった。
(でも・・・・・・外堀がどんどん埋められていくような気がするのは、気のせいかしら?)
ちらりとスチュアート様の方を見ると、蕩けるような笑顔が眩しくて、思わず目を逸らした。胸が高鳴り、心臓が苦しいほどよ。
(もう私はこの方が好きなのかも・・・・・・)
甘い恋の予感とともに、私は再び学園に戻ることになるのだった。
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学園で、かなり意地悪なことを言っていた女生徒もいましたね。さて、彼女たちはいったいどのような反応を見せるのでしょうか。次回のお話を、どうぞお楽しみに!
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