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3 メーガン視点
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(メーガン視点)
セアー伯爵家からの帰り道はとても楽しい時間になった。だって、嫌われ者のカイリンがいなくなって、その代わりにたくさんの札束が私達の手元に渡されたからよ。
セアー伯爵家のお屋敷は今思い出してもため息が付くほど素敵だったわ。ブランストーン男爵家とは桁違いの豪華さだったのよ。門から屋敷が見えるまでに馬車で10分も走り、敷地内には湖まであって季節の花が目を楽しませてくれた。
お屋敷内の装飾品も高価なものばかりだったし、なによりバーン様の美しいことったら、まるでおとぎ話の主人公みたいだったわ。
「バーン様は女嫌いだけれど金儲けの天才なのは事実ね。ポンとお金を気前良くくださるなんて良い方です。ところでお母様、私はカイリンの実の姉なのだから、カイリンがセアー伯爵夫人になったら、セアー伯爵家にある物は私のものですわね?」
私はお母様にそう尋ねた。
「まぁ、そういうことよね。このセアー伯爵家はいずれカイリンの子供が継ぎますものね。ということは、このセアー伯爵家は私達のものとも言えるわね。だって孫が当主になるのだもの」
お母様も同意して、ここはいつでも来られる私達の第二の家という認識になったわ。
「カイリンはジアンナお祖母様にそっくりで本当に嫌だったけれど良い嫁ぎ先が見つかって良かったわ。冷たい夫でもきっと贅沢はできるはずだから、私達に感謝して欲しいわね? ジアンナお祖母様は私に小言ばかりを言う最悪な人だったのよ」
お母様は顔をしかめてそう言った。
ジアンナお祖母様はお父様のお母様でとても厳格な方だったらしい。ケチですぐにお母様に説教する嫌味なババァだったという。お父様にもよく説教していたというから、私が4歳の頃に亡くなったジアンナお祖母様は性格がとても悪かったのね。
今日お会いしたバーン様は美丈夫だったから、彼の親戚もきっと美形ぞろいなのは確定だ。カイリンの結婚式は私の未来の夫と知り合うきっかけになるから絶対に参列しなければいけないわ。
(お金持ちで私だけを愛してくれる優しい男性を見つけたいわ)
「ふふっ。はじめてカイリンが実の妹で良かったと思うわ。ねぇ、お母様?」
「そうね。私もあの子を初めて大事な娘だと思ったわ」
「そうだな。とても大事な娘だ。早く孫を産むように言わないとな。孫さえ生まれたら、あの家はわたし達のものになる」
お父様は陽気に笑った。セアー伯爵家をうまく乗っ取れる案でも浮かんだのかしら? あの莫大な資産があれば王太子妃候補にだってなれそうだし、一生贅沢して暮らせるわ。
「見てよ。お母様。この札束! きっとこれからは強請れば好きなだけお金をもらえるのよね?」
私は札束の匂いをかいではしゃぐ。この世で一番好きなインクの匂いを胸いっぱいに吸い込んで笑った。
「あぁ、そうよね。なくなったら、今度はカイリンからお金を強請れば良いわ。どうせあの子は私達の言いなりですもの」
お母様はカイリンとジアンナお祖母様の姿を重ねすぎて、お祖母様への憎しみをカイリンにぶつけているようだ。私はそんな仕打ちを受けているカイリンを気の毒だとは思わない。だってお母様やお父様が嫌いなお祖母様に似て生まれてきたあの子が悪いのよ。
(人間は生まれながらに平等じゃないのよ。私はお母様にそっくりで幸運だった。だからこの運をもっと大きく伸ばして玉の輿に乗らなければならないわ。ちゃんと愛してくれる男性を探してみせるわ。もちろんカイリンを利用してね)
セアー伯爵家からの帰り道はとても楽しい時間になった。だって、嫌われ者のカイリンがいなくなって、その代わりにたくさんの札束が私達の手元に渡されたからよ。
セアー伯爵家のお屋敷は今思い出してもため息が付くほど素敵だったわ。ブランストーン男爵家とは桁違いの豪華さだったのよ。門から屋敷が見えるまでに馬車で10分も走り、敷地内には湖まであって季節の花が目を楽しませてくれた。
お屋敷内の装飾品も高価なものばかりだったし、なによりバーン様の美しいことったら、まるでおとぎ話の主人公みたいだったわ。
「バーン様は女嫌いだけれど金儲けの天才なのは事実ね。ポンとお金を気前良くくださるなんて良い方です。ところでお母様、私はカイリンの実の姉なのだから、カイリンがセアー伯爵夫人になったら、セアー伯爵家にある物は私のものですわね?」
私はお母様にそう尋ねた。
「まぁ、そういうことよね。このセアー伯爵家はいずれカイリンの子供が継ぎますものね。ということは、このセアー伯爵家は私達のものとも言えるわね。だって孫が当主になるのだもの」
お母様も同意して、ここはいつでも来られる私達の第二の家という認識になったわ。
「カイリンはジアンナお祖母様にそっくりで本当に嫌だったけれど良い嫁ぎ先が見つかって良かったわ。冷たい夫でもきっと贅沢はできるはずだから、私達に感謝して欲しいわね? ジアンナお祖母様は私に小言ばかりを言う最悪な人だったのよ」
お母様は顔をしかめてそう言った。
ジアンナお祖母様はお父様のお母様でとても厳格な方だったらしい。ケチですぐにお母様に説教する嫌味なババァだったという。お父様にもよく説教していたというから、私が4歳の頃に亡くなったジアンナお祖母様は性格がとても悪かったのね。
今日お会いしたバーン様は美丈夫だったから、彼の親戚もきっと美形ぞろいなのは確定だ。カイリンの結婚式は私の未来の夫と知り合うきっかけになるから絶対に参列しなければいけないわ。
(お金持ちで私だけを愛してくれる優しい男性を見つけたいわ)
「ふふっ。はじめてカイリンが実の妹で良かったと思うわ。ねぇ、お母様?」
「そうね。私もあの子を初めて大事な娘だと思ったわ」
「そうだな。とても大事な娘だ。早く孫を産むように言わないとな。孫さえ生まれたら、あの家はわたし達のものになる」
お父様は陽気に笑った。セアー伯爵家をうまく乗っ取れる案でも浮かんだのかしら? あの莫大な資産があれば王太子妃候補にだってなれそうだし、一生贅沢して暮らせるわ。
「見てよ。お母様。この札束! きっとこれからは強請れば好きなだけお金をもらえるのよね?」
私は札束の匂いをかいではしゃぐ。この世で一番好きなインクの匂いを胸いっぱいに吸い込んで笑った。
「あぁ、そうよね。なくなったら、今度はカイリンからお金を強請れば良いわ。どうせあの子は私達の言いなりですもの」
お母様はカイリンとジアンナお祖母様の姿を重ねすぎて、お祖母様への憎しみをカイリンにぶつけているようだ。私はそんな仕打ちを受けているカイリンを気の毒だとは思わない。だってお母様やお父様が嫌いなお祖母様に似て生まれてきたあの子が悪いのよ。
(人間は生まれながらに平等じゃないのよ。私はお母様にそっくりで幸運だった。だからこの運をもっと大きく伸ばして玉の輿に乗らなければならないわ。ちゃんと愛してくれる男性を探してみせるわ。もちろんカイリンを利用してね)
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