6 / 13
ワイアットside
しおりを挟む
私は、3年前までは騎士団長を務めていた。第三王女は私をとても好きだとおっしゃってくださり、身分違いなので始めは躊躇していた。それでも、王が婚約を許してくださり、王女をもらい受けることを承諾した。
私達はお互いが大好きで、幸せになれると信じていた。ところがだ、王女から突然に貧乏な騎士団長なんて嫌だと言われ大国に嫁ぐと言われた。
そんな話は初耳だった。これには、なにかわけがあるはずだ。翌日、王宮に行き王に謁見を申し込んだが生憎、不在だった。代わりに王太子が会ってくださった。
「大国に嫁ぐというアレクシス王女様のお話は本当なのですか?贅沢がしたいなどとおっしゃる王女ではないはずなのに・・・・・・貧乏騎士団長など嫌だと言われました」
「そうか・・・・・・やっと、本音を言ったか。妹のアレクシス王女は、少し前から愚痴ばかり言うようになってね。『なぜ、王女の私が貧乏な生活をしなければいけないのかしら?』等としきりにため息をついていた。そこに大国からの嫁入りの打診だ。この国の王は老人だが、ワイアットだけに教えよう。これは機密事項だが、実はアレクシス王女はその息子に嫁ぐのだ。邪魔をすることは、アレクシス王女の幸せを妨害することだ。それと申し訳ないが、貴方は騎士団から退いてもらいたい。退職金は、通常より払うつもりだ。アレクシスは間違いなく贅沢三昧な暮らしができ、若き後継者に愛される幸せな人生を送る。妹は我が儘で贅沢好きだ。とても、嬉しがっているよ。所詮、貧乏貴族が王女を娶るなど無理な話だったのだ」
冷ややかな侮蔑の感情をぶつけてきた王太子には、返す言葉もなかった。これ以上、なにができる?アレクシス王女の言った言葉は本心だったのだ。それほどに、金が好きか? あの今までの愛に満ちた時間はまやかしだったのか・・・・・・
女なんて信じられない生き物だ。私は、退職金を貰い新たな人生を歩もう。もう、この国がどうなろうと、アレクシス王女がどうなろうと関係ない。
私は今まで住んでいた屋敷を売り払い使用人も全て解雇した。王女との甘い時間を思い起こさせるものは、全て排除したかった。
そして私は、ただ、がむしゃらに金儲けに勤しんだ。金に泣いた私は、金で笑ってやる!
そんな僻み的な思いをバネに・・・・・・いつしか、実業家として成功し金持ちの仲間入りをした。
そうなると、女は面白いほど寄ってくる。金に群がる女達は人形と同じだ。美しい心のない人形はいつでも取り替えがきく使い捨ての愛玩物だ。
すっかり、汚れ、すさんだ価値観に埋もれかかっていた頃に、私は王太子から呼ばれたのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
「やぁ、久しぶりだな! 大富豪のワイアット殿。ところで、アレクシス王女が王の不興を買い出戻ってきた。不名誉な事をしでかした妹は王族から籍を抜いた。今や、平民だ。どうだろう? 妹を買ってくれないか?」
王太子の野卑な提案に私は喜んでのった。アレクシス王女を妻になど迎える気は毛頭ない。しかし、あれほど愛した女性を身近に置いてたまに愛でるのも、良い気晴らしになるだろう。
女なんて、みんな同じだ。金さえあれば、思いのままなんだ!
久しぶりに会ったアレクシスは、昔よりさらに美しくなっていた。大国で甘やかされて、さぞ贅沢三昧をしていたのだろう。手の爪は綺麗に染められ、つやつやの肌は、多くの侍女達に傅かれてきたことを物語るものだ。
「・・・・・・貴女は平民の愛人扱いです。贅沢はさせよう。宝石もドレスも思いのままだ。ただ、私の愛は当然求めないでください」
そう言って、彼女の髪に手を伸ばしキスをして・・・・・・激しく抵抗された。
「貴女は抵抗するな! いつでも雌犬のように私を受け入れればいいんだ! 金だけが好きな売女のくせに」
大国の王太子には、喜んで股を開くくせに私には抵抗するのかと思うと、つい酷い言葉が口から出てしまった。
ここまで、酷い言葉を投げつける気はなかったのに・・・・・・
「ここには、三ヶ月だけいます。愛人としてではなく、あなたの身の回りの世話係としてね。これは、以前貴方を傷つけたお詫びとしてです。ただのお詫びです。お金などいりませんから! 貴方こそ私の愛は求めないでくださいね」
アレクシスは、驚いたことに金はいらないと言う。しかも、世話係としている? 贅沢がしたくて嫁いだのだろう? 女は、つくづく謎だ。まぁ、好きにすればいい。どうせ、王女の身分だった彼女が使用人の真似などできるわけがないのだから。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
翌朝、アレクシスはすっかり冷たさで白くなった手に雑巾を握りしめ、必死に廊下を拭いていた。そこは、モップだろう? 教えてやると、満面の笑みで説明を聞きモップは便利だとはしゃいでいた。
この姿は昔の愛し合っていた頃のアレクシスを思い出す。この女性はもとのアレクシスではないのに。私を裏切った性悪な女が、また私を騙そうとしているのかも? 何の為に? もう、私には女を真剣に愛せる純粋な気持ちなどないのに・・・・・・
アレクシスが、心なしかやつれて足に怪我をしたのはその二日後だった。
私達はお互いが大好きで、幸せになれると信じていた。ところがだ、王女から突然に貧乏な騎士団長なんて嫌だと言われ大国に嫁ぐと言われた。
そんな話は初耳だった。これには、なにかわけがあるはずだ。翌日、王宮に行き王に謁見を申し込んだが生憎、不在だった。代わりに王太子が会ってくださった。
「大国に嫁ぐというアレクシス王女様のお話は本当なのですか?贅沢がしたいなどとおっしゃる王女ではないはずなのに・・・・・・貧乏騎士団長など嫌だと言われました」
「そうか・・・・・・やっと、本音を言ったか。妹のアレクシス王女は、少し前から愚痴ばかり言うようになってね。『なぜ、王女の私が貧乏な生活をしなければいけないのかしら?』等としきりにため息をついていた。そこに大国からの嫁入りの打診だ。この国の王は老人だが、ワイアットだけに教えよう。これは機密事項だが、実はアレクシス王女はその息子に嫁ぐのだ。邪魔をすることは、アレクシス王女の幸せを妨害することだ。それと申し訳ないが、貴方は騎士団から退いてもらいたい。退職金は、通常より払うつもりだ。アレクシスは間違いなく贅沢三昧な暮らしができ、若き後継者に愛される幸せな人生を送る。妹は我が儘で贅沢好きだ。とても、嬉しがっているよ。所詮、貧乏貴族が王女を娶るなど無理な話だったのだ」
冷ややかな侮蔑の感情をぶつけてきた王太子には、返す言葉もなかった。これ以上、なにができる?アレクシス王女の言った言葉は本心だったのだ。それほどに、金が好きか? あの今までの愛に満ちた時間はまやかしだったのか・・・・・・
女なんて信じられない生き物だ。私は、退職金を貰い新たな人生を歩もう。もう、この国がどうなろうと、アレクシス王女がどうなろうと関係ない。
私は今まで住んでいた屋敷を売り払い使用人も全て解雇した。王女との甘い時間を思い起こさせるものは、全て排除したかった。
そして私は、ただ、がむしゃらに金儲けに勤しんだ。金に泣いた私は、金で笑ってやる!
そんな僻み的な思いをバネに・・・・・・いつしか、実業家として成功し金持ちの仲間入りをした。
そうなると、女は面白いほど寄ってくる。金に群がる女達は人形と同じだ。美しい心のない人形はいつでも取り替えがきく使い捨ての愛玩物だ。
すっかり、汚れ、すさんだ価値観に埋もれかかっていた頃に、私は王太子から呼ばれたのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
「やぁ、久しぶりだな! 大富豪のワイアット殿。ところで、アレクシス王女が王の不興を買い出戻ってきた。不名誉な事をしでかした妹は王族から籍を抜いた。今や、平民だ。どうだろう? 妹を買ってくれないか?」
王太子の野卑な提案に私は喜んでのった。アレクシス王女を妻になど迎える気は毛頭ない。しかし、あれほど愛した女性を身近に置いてたまに愛でるのも、良い気晴らしになるだろう。
女なんて、みんな同じだ。金さえあれば、思いのままなんだ!
久しぶりに会ったアレクシスは、昔よりさらに美しくなっていた。大国で甘やかされて、さぞ贅沢三昧をしていたのだろう。手の爪は綺麗に染められ、つやつやの肌は、多くの侍女達に傅かれてきたことを物語るものだ。
「・・・・・・貴女は平民の愛人扱いです。贅沢はさせよう。宝石もドレスも思いのままだ。ただ、私の愛は当然求めないでください」
そう言って、彼女の髪に手を伸ばしキスをして・・・・・・激しく抵抗された。
「貴女は抵抗するな! いつでも雌犬のように私を受け入れればいいんだ! 金だけが好きな売女のくせに」
大国の王太子には、喜んで股を開くくせに私には抵抗するのかと思うと、つい酷い言葉が口から出てしまった。
ここまで、酷い言葉を投げつける気はなかったのに・・・・・・
「ここには、三ヶ月だけいます。愛人としてではなく、あなたの身の回りの世話係としてね。これは、以前貴方を傷つけたお詫びとしてです。ただのお詫びです。お金などいりませんから! 貴方こそ私の愛は求めないでくださいね」
アレクシスは、驚いたことに金はいらないと言う。しかも、世話係としている? 贅沢がしたくて嫁いだのだろう? 女は、つくづく謎だ。まぁ、好きにすればいい。どうせ、王女の身分だった彼女が使用人の真似などできるわけがないのだから。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
翌朝、アレクシスはすっかり冷たさで白くなった手に雑巾を握りしめ、必死に廊下を拭いていた。そこは、モップだろう? 教えてやると、満面の笑みで説明を聞きモップは便利だとはしゃいでいた。
この姿は昔の愛し合っていた頃のアレクシスを思い出す。この女性はもとのアレクシスではないのに。私を裏切った性悪な女が、また私を騙そうとしているのかも? 何の為に? もう、私には女を真剣に愛せる純粋な気持ちなどないのに・・・・・・
アレクシスが、心なしかやつれて足に怪我をしたのはその二日後だった。
4
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された直後、階段から転げ落ちて前世の記憶が蘇った公爵令嬢レイラ・フォン・アーデルハイド。
彼女の前世は、ブラック企業で心身をすり減らして働いていたOLだった。――けれど、今は違う!
「復讐? 見返す? そんな面倒くさいこと、やってられませんわ」
「婚約破棄? そんなの大したことじゃありません。むしろ、自由になって最高ですわ!」
貴族の婚姻は家同士の結びつき――つまりビジネス。恋愛感情など二の次なのだから、破談になったところで何のダメージもなし。
それよりも、レイラにはやりたいことがたくさんある。ぶどう園の品種改良、ワインの販路拡大、新商品の開発、そして優雅なティータイム!
そう、彼女はただ「貴族令嬢としての特権をフル活用して、人生を楽しむ」ことを決めたのだ。
ところが、彼女の自由気ままな行動が、なぜか周囲をざわつかせていく。
婚約破棄した王太子はなぜか複雑な顔をし、貴族たちは彼女の事業に注目し始める。
そして、彼女が手がけた最高級ワインはプレミア化し、ついには王室から直々に取引の申し出が……!?
「はぁ……復讐しないのに、勝手に“ざまぁ”になってしまいましたわ」
復讐も愛憎劇も不要!
ただひたすらに自分の幸せを追求するだけの公爵令嬢が、気づけば最強の貴族になっていた!?
優雅で自由気ままな貴族ライフ、ここに開幕!
【完結】皇太子殿下!あなたの思い描く「理想の女性」はこの世にはいません!
つくも茄子
恋愛
帝国の皇太子は眉目秀麗の天才と名高く、魔力も最高峰。十六歳になるのに何故か婚約者がいない。理由は簡単。見合いを全て台無しにしているからだ。何故そんなに婚姻するのが嫌なのか、皇太子は答える。「理想の女性を唯一人の妃にするからだ」と。問題はその「理想の女性」だ。母である皇后は断言する。「アホか!そんな女がこの世にはいない!!」。そんな中、不穏な気配を感じる公国の公女との結婚。皇太子は動く。周囲に多大な精神負担を掛けながら。
他サイトにも公開中
〖完結〗真実の愛が欲しいという旦那様と結婚した私は……
藍川みいな
恋愛
「俺は、真実の愛が欲しいんだ……」
結婚式当日、結婚相手のリック・ダイアン様がそう言いました。他の女性ばかり目で追って、私には一切興味を示しません。 ダイアン伯爵家には、多額な借金があり、お父様がその借金を返済するという条件で、私達は結婚することになったのですが、妻になる私の名前さえ知らなかったリック様。この人とこの先一緒に暮らしていかなければならないなんて……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全10話で完結になります。
出来損ないと呼ばれた公爵令嬢の結婚
奏千歌
恋愛
[できそこないと呼ばれても][魔王]
努力をしてきたつもりでした。
でもその結果が、私には学園に入学できるほどの学力がないというものでした。
できそこないと言われ、家から出ることを許されず、公爵家の家族としても認めてもらえず、使用人として働くことでしか、そこに私の居場所はありませんでした。
でも、それも、私が努力をすることができなかった結果で、悪いのは私のはずでした。
私が悪いのだと、何もかもを諦めていました。
諦めた果てに私に告げられたことは、魔法使いとの結婚でした。
田舎町に住む魔法使いさんは、どんな方なのか。
大きな不安を抱え、長い長い道のりを歩いて行きました。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる