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プロローグ
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「アータムよ。お前に祝福を与えます!」
私は夢のお告げで女神様から祝福を与えられました。カミーユ家は代々聖女様を輩出してきた家柄でしたが身分は低く男爵家でした。
「さぁ、どっちが女神様のお告げを聞いたのかしら?」
翌朝、お母様とお父様は私を無視して、妹のアスペンに期待の眼差しをおくったのです。
「「私です!」」
私とアスペンは同時に、はもりながらも答えましたが抱きしめられたのはアスペンでした。
「さすが、私たちの娘です! さぁ早速神殿に行き、このことを報告しなければいけませんわ」
「そうだな。このように可愛いアスペンが選ばれたのは当然だ」
お父様もお母様も、私の姿が見えないのかな? 妹は確かに小柄で大きな瞳の、ぽってりとした唇が愛らしい女の子です。
私は髪も瞳の色も妹と同じ黒ですが、すらりと背が高く顔だちも冷たい感じで可愛さのかけらもないのです。
美しいとも綺麗とも言われたことのない私はきっと平凡なのでしょう。
「すみません。私も女神様からお告げをもらったのですが……」
「嘘をおっしゃい! アータムのような平凡な子が女神様から選ばれるわけがないわ! そもそも、聖女なんてもうこの世では必要ないわよ。魔物は絶滅したし、怪我や病気は薬があるし医者だっているもの! あなたは黙っていなさい」
私はその言葉に黙って頷きました。
「そうよ! 冴えないお姉様は黙って隅っこにいればいいのよ。あ、待って! 私の引き立て役になってよ? ねぇ、お母様とお父様。お姉様と争って力を証明したほうが演出できるのじゃないかしら?」
「おぉーー。確かに! アータムは先ほどのように『私も選ばれました!』と言いなさい。王や神官の前で争えばいい力の証明になる」
「力の証明……」
私の両親は神殿でなにをするつもりなのかしら? 私は仕方なく一緒についていきますが、とんでもないことに巻き込まれそうで気が重かったのです。
カミーユ家の馬車に乗り神殿に向かうちに、絹糸のような小雨が降り出しました。じめじめと……その寂しげな鬱陶しい雨は私の心のなかのようでした。
「あぁ、アータム! 今まで言わなかったが、お前は私の妹の子供だ」
お父様が迷惑そうに顔をしかめながら唐突におっしゃいました。
「結婚もしないで誰の子かもわからない子供を産んで死んだのよ? あんたの母親は、最低よね? 今までは我慢して家に置いてやっていたけれど、もうそろそろ出て行ってくれない?」
お母様と思っていた方は赤の他人……赤の他人様はそう私に投げつけるようにおっしゃったのです。
馬車の外の小雨は殴りつけるような雨に変わり、まるで私の代わりに泣いているようでした。
今までの妹との扱いの違いを思い出して合点がいくと同時に、このような状況に置かれた私は、本当のお母様を恨みました。
会ったことも見たこともないお母様、あなたのせいで私とても苦労していますよぉーーと、心のなかで叫んでも答えてくれるわけもなく……
嫌な予感しかない私は、せめてお気に入りのペンと靴だけは持ってくれば良かった、と思ったのでした。
私は夢のお告げで女神様から祝福を与えられました。カミーユ家は代々聖女様を輩出してきた家柄でしたが身分は低く男爵家でした。
「さぁ、どっちが女神様のお告げを聞いたのかしら?」
翌朝、お母様とお父様は私を無視して、妹のアスペンに期待の眼差しをおくったのです。
「「私です!」」
私とアスペンは同時に、はもりながらも答えましたが抱きしめられたのはアスペンでした。
「さすが、私たちの娘です! さぁ早速神殿に行き、このことを報告しなければいけませんわ」
「そうだな。このように可愛いアスペンが選ばれたのは当然だ」
お父様もお母様も、私の姿が見えないのかな? 妹は確かに小柄で大きな瞳の、ぽってりとした唇が愛らしい女の子です。
私は髪も瞳の色も妹と同じ黒ですが、すらりと背が高く顔だちも冷たい感じで可愛さのかけらもないのです。
美しいとも綺麗とも言われたことのない私はきっと平凡なのでしょう。
「すみません。私も女神様からお告げをもらったのですが……」
「嘘をおっしゃい! アータムのような平凡な子が女神様から選ばれるわけがないわ! そもそも、聖女なんてもうこの世では必要ないわよ。魔物は絶滅したし、怪我や病気は薬があるし医者だっているもの! あなたは黙っていなさい」
私はその言葉に黙って頷きました。
「そうよ! 冴えないお姉様は黙って隅っこにいればいいのよ。あ、待って! 私の引き立て役になってよ? ねぇ、お母様とお父様。お姉様と争って力を証明したほうが演出できるのじゃないかしら?」
「おぉーー。確かに! アータムは先ほどのように『私も選ばれました!』と言いなさい。王や神官の前で争えばいい力の証明になる」
「力の証明……」
私の両親は神殿でなにをするつもりなのかしら? 私は仕方なく一緒についていきますが、とんでもないことに巻き込まれそうで気が重かったのです。
カミーユ家の馬車に乗り神殿に向かうちに、絹糸のような小雨が降り出しました。じめじめと……その寂しげな鬱陶しい雨は私の心のなかのようでした。
「あぁ、アータム! 今まで言わなかったが、お前は私の妹の子供だ」
お父様が迷惑そうに顔をしかめながら唐突におっしゃいました。
「結婚もしないで誰の子かもわからない子供を産んで死んだのよ? あんたの母親は、最低よね? 今までは我慢して家に置いてやっていたけれど、もうそろそろ出て行ってくれない?」
お母様と思っていた方は赤の他人……赤の他人様はそう私に投げつけるようにおっしゃったのです。
馬車の外の小雨は殴りつけるような雨に変わり、まるで私の代わりに泣いているようでした。
今までの妹との扱いの違いを思い出して合点がいくと同時に、このような状況に置かれた私は、本当のお母様を恨みました。
会ったことも見たこともないお母様、あなたのせいで私とても苦労していますよぉーーと、心のなかで叫んでも答えてくれるわけもなく……
嫌な予感しかない私は、せめてお気に入りのペンと靴だけは持ってくれば良かった、と思ったのでした。
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