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10 皇太子妃改め皇后②
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そんなあなたに比べ、わたくしは、皇后として何も成せなかった。
そんな事はないと、言ってくださるのですか?
皇后として、母として、自分の息子などよりもずっと賢く立派なあの皇太子を育てた。
何より、どれだけ皇帝が有能であっても、たった一人で国を動かせるはずがない。今の豊かで平和な帝国の在り様は、皇帝だけでなく彼を支える忠臣がいてこそだ。あなたもまた皇后として皇帝を支えていた一人だと、そう言ってくださるのね。
ふふ。有能な皇后だったあなたにそう言われるのは、嬉しいですわ。
十八年前、あなたを、女として、母として、人として、欠陥品だと言った事、謝ります。
欠陥品は、あなたじゃない。
皇后としては勿論、女として、母として、人として、欠陥品だったのは、わたくしのほうだった。
皇太子殿下を賢く立派だと言ってくださったけれど、それは、わたくしが育てた結果ではなく、あの子自身の元々の資質なのですわ。
母としての欲目を抜きにしても、あの子であれば、帝国をより良く導いてくれるでしょう。母として、皇后として、後顧の憂いがないのはよかったですわ。
息子と娘の事は、勿論愛している。でも、そんな愛する子供達から父親を奪ったわたくしは母親失格ですわ。
彼が妻に対してと同じように、子供達に対しても無関心で、そんな彼を皇帝としては尊敬できても父親としては愛せなかったとしても、子供達から父親を奪っていい理由にはならない。
そして、女としても。
最期まで、妻として、あの方に愛してもらえなかった。
あなたに酷似した男爵令嬢、あなたの弟の孫、姪孫を妾妃に迎えようとするくらい、あなたを求めていた。十八年経っても、あなたを忘れられなかったのね。
ふふ。愛しているのなら、何があっても、あなたが自ら死を選ぶような女ではないと分からなかったのかしら? どこかで生きている可能性を考えて、あなたを捜せばよかったのに。この世界で最高の権力を持っているのだから、その気になれば、簡単に見つかったでしょうに。
いつか王女だった義弟の妻が言っていたように、本当の意味では、あなたを愛していなかったのね。
前皇帝のように、現皇后を排除して新たな皇后に迎えようとするのではなく、あなたの姪孫を妾妃にしようとしたのは、まだ理性的でしたわね。わたくしと彼女の意思を無視していますが。
あなたの時と同じで、彼女にも婚約者がいた。しかも、あなたと違って相愛の。
別に、彼女に同情して、皇帝陛下を排除した訳じゃない。
彼女のためじゃない。
ただ、許せなかった。
わたくしを裏切ろうとした事が。
わたくしを愛せなくても、他の女を愛していても、彼の「妻」は、わたくし一人。
それだけはは、絶対に譲れなかった。
あなたには、いえ、誰にも理解できないでしょうね。
こんなの愛じゃないと言う人もいるのでしょうね。
確かに、理解できないけれど、今度は止めない。
そう言ってくださるのですね。
十八年前は、最愛の皇帝がいたから生きてこれたけれど、彼を失った今のわたくしは、ただの抜け殻だから。皇太子が何を言っても、そんな人間を生かしておいても無意味だから。
ええ。その通りですわ。それだけは理解してくださって、嬉しいわ。
来てくださって、本当に、ありがとうございました。
こうして、最後に、お話できてよかった。
誰も、わたくしのこの気持ちを理解できないだろう。
理解されなくてもいい。
この想いは、わたくしだけのものだ。
そんな事はないと、言ってくださるのですか?
皇后として、母として、自分の息子などよりもずっと賢く立派なあの皇太子を育てた。
何より、どれだけ皇帝が有能であっても、たった一人で国を動かせるはずがない。今の豊かで平和な帝国の在り様は、皇帝だけでなく彼を支える忠臣がいてこそだ。あなたもまた皇后として皇帝を支えていた一人だと、そう言ってくださるのね。
ふふ。有能な皇后だったあなたにそう言われるのは、嬉しいですわ。
十八年前、あなたを、女として、母として、人として、欠陥品だと言った事、謝ります。
欠陥品は、あなたじゃない。
皇后としては勿論、女として、母として、人として、欠陥品だったのは、わたくしのほうだった。
皇太子殿下を賢く立派だと言ってくださったけれど、それは、わたくしが育てた結果ではなく、あの子自身の元々の資質なのですわ。
母としての欲目を抜きにしても、あの子であれば、帝国をより良く導いてくれるでしょう。母として、皇后として、後顧の憂いがないのはよかったですわ。
息子と娘の事は、勿論愛している。でも、そんな愛する子供達から父親を奪ったわたくしは母親失格ですわ。
彼が妻に対してと同じように、子供達に対しても無関心で、そんな彼を皇帝としては尊敬できても父親としては愛せなかったとしても、子供達から父親を奪っていい理由にはならない。
そして、女としても。
最期まで、妻として、あの方に愛してもらえなかった。
あなたに酷似した男爵令嬢、あなたの弟の孫、姪孫を妾妃に迎えようとするくらい、あなたを求めていた。十八年経っても、あなたを忘れられなかったのね。
ふふ。愛しているのなら、何があっても、あなたが自ら死を選ぶような女ではないと分からなかったのかしら? どこかで生きている可能性を考えて、あなたを捜せばよかったのに。この世界で最高の権力を持っているのだから、その気になれば、簡単に見つかったでしょうに。
いつか王女だった義弟の妻が言っていたように、本当の意味では、あなたを愛していなかったのね。
前皇帝のように、現皇后を排除して新たな皇后に迎えようとするのではなく、あなたの姪孫を妾妃にしようとしたのは、まだ理性的でしたわね。わたくしと彼女の意思を無視していますが。
あなたの時と同じで、彼女にも婚約者がいた。しかも、あなたと違って相愛の。
別に、彼女に同情して、皇帝陛下を排除した訳じゃない。
彼女のためじゃない。
ただ、許せなかった。
わたくしを裏切ろうとした事が。
わたくしを愛せなくても、他の女を愛していても、彼の「妻」は、わたくし一人。
それだけはは、絶対に譲れなかった。
あなたには、いえ、誰にも理解できないでしょうね。
こんなの愛じゃないと言う人もいるのでしょうね。
確かに、理解できないけれど、今度は止めない。
そう言ってくださるのですね。
十八年前は、最愛の皇帝がいたから生きてこれたけれど、彼を失った今のわたくしは、ただの抜け殻だから。皇太子が何を言っても、そんな人間を生かしておいても無意味だから。
ええ。その通りですわ。それだけは理解してくださって、嬉しいわ。
来てくださって、本当に、ありがとうございました。
こうして、最後に、お話できてよかった。
誰も、わたくしのこの気持ちを理解できないだろう。
理解されなくてもいい。
この想いは、わたくしだけのものだ。
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