転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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933. 拠点9

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「ふーむうーむ。よろしいでしょう。
してアルフレート様のご依頼を念のため、
ご確認させて頂きたく」
大賢寺の飄々とした表情はそこになく、
先程の手合わせと同様の真剣な面持ちだった。

「クランを立ち上げます。
そのための後ろ盾をお願いしたい」
誠一もまた、真摯な表情で答えた。

「よろしいでしょう。
将和国を統治いたしまする幕府として
その件を引き受けましょう」

喜色の表情を誠一は浮かべた。
その笑みは爽やかそのもので、いやらしさを
微塵も感じさせなかった。
何故が大賢寺は、もじもじと恥ずかしそうに
誠一を上目遣いで見つめた。
「ありがとうございます。
詳細は、改めてお話しさせてください」

「ふーむふむふむ。
実際のところ、モリス商会とかなり話は
詰めさせて頂いておりました。
本日は、クランの棟梁たるアルフレート様と
将来のご婦人たるシエンナ様の為人と見識を
確認させて頂く場でございました。
実力は申し分なし。人品見識も良し。
歳相応の素直さもあり、将来が楽しみですな、
スターリッジ殿」

大賢寺の話を全く知らなかった誠一は
シエンナの方を振り向いた。
それはシエンナも同じであったが、
その頬は真っ赤に染まっていた。
どうやら誠一とシエンナでは思う所が若干、
違っていたようだった。

「うわわはははっ!まっこと面白き場でござった。
これは鬼谷様が同行する訳ですな。
スターリッジ殿、飽きぬ御仁と仲間にて重畳重畳」

スターリッジは不機嫌そうだった。
「俺を愉快なクランの仲間たちに含ませるな。
俺は、モリス商会の者だ」

「わはははは、そういう事にしておきましょう。
本日の話はこの辺りで終いとしましょう。
道場の修繕費は我ら持ちとしておきましょう。
なるべくお会いに来て頂けると幸いですな」

にこやかに笑いながら、握手を求めて
右手を差し出す大賢寺だった。
誠一はその右手を握り、改めて礼を伝えた。
大賢寺の手のひらは、妙に湿っぽかった。
帰り際に大賢寺に誠一は臀部の辺りを軽く振れられた。
誠一は、レドリアン導師と同じ性癖の輩だと確信した。
強張る顔に何とか笑みを浮かべながら、
商館を後にした。
シエンナは笑いを堪えているのが、目に見えて分かった。
スターリッジは終始にやにやとしていた。

「ふう、シエンナ、笑っていいよ。
ちょっと違うけど、我慢は身体に毒だよ」

「むう、ごめんなさい。
アルが狙われていると思うと洒落じゃ済まないわね。
代わりにヴェルを差し出す?」
シエンナの笑いにつられて、誠一も笑った。

「レドリアン導師のお眼鏡に叶うヴェルなら
問題ないけど、流石に友人を売る訳にはいかないだろうね。
さてどうしたものだろうね」

「ふん、気にする必要はないな。
奴にはおまえらじゃ歳と取り過ぎている。
奴の好みは稚児だからな。
と言っても見て愛でるだけだから、心配するな。
おまえもご機嫌伺いにたまに顔を出して、
舐めるような奴の視線を受け止めておけば、
それで十分だ」

嬉々として語るスターリッジだった。
誠一の表情は心底嫌そうだった。
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