BL短編集

田舎

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半神の青年×ちょろいお馬鹿な淫魔

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ちょろくてお馬鹿な淫魔くんが、餓死寸前のところを半神の青年に拾われて愛されちゃう話。

=====================ーーー









『俺はもう一人前だ!!』
「ちょっと待ちなさい、モモ!」

いつまで経っても子供扱いしてくる両親と兄姉に嫌気がさした淫魔のモモは、ついに家出同然で人間界にやってきた。
『俺だって18だ、自立した大人だもん!』
ありきたりな言い訳だ、淫魔だって思春期だもの。
威勢のいい啖呵を切ったつもりだった―――しかし、現実は甘くなかった。


ぎゅるるるるる~~~…

空腹を訴えて鳴く腹の虫。



「おかしい、なんでだ… なんでだよおぉ!?」

半ば勢いの無計画。
淫魔の”モモ”は末っ子だけあって、モモよモモよと蝶と花よと可愛がられてきた。
上物の精気だって直接吸ったことはなく、家族が狩りで得た獲物の精気や魔界百貨店で買ってきたものばかりで、ちゃんと人間の生態系を学んではこなかった。
そんなモモは魔界学校での成績も下の下。
どんなに見た目が可愛くても誘い文句が、「タダでセックスさせてあげます♡」「フェラチオも得意ですよ♡他にも―――――」などど、放送禁止用語を人前で連発されて釣れるアホ(人間)がいるはずがないことに気付けなかった。


(チクショウ… なにがダメなんだよぉ)

『全部です』。この場に親と兄姉がいたのなら我が子・弟のお馬鹿さを嘆く半面、うちの子かわいいと拍手を送っていただろう。
しかし今は死活問題。目の前に餌はあるのに精液一滴貰うどころかキス一つままならない。


「死ぬ、お腹すいたよぉ…」

ぎゅるる~~と再び鳴く腹の音。
全くくだらない、意地になったせいだ。モモにはすでに魔界に帰るために飛ぶ元気(魔力)も残ってない、そもそも無理やり人間界に飛んだせいで帰りの門がどこにあるのかも知らないのだ。

このまま飢えて暴走した結果、人間の警察に捕まるのが早いかもしれない。そして、飢えて灰のように消えてしまうのか…


「お前、腹すいてんの?」
「あ……、」

若くていい体をした男。まさに鴨がネギを背負ってきた。


ここでブツん、とモモの記憶は途切れた。
















人間は夜のランニングが趣味で毎日あの公園を走っていた。その時、「お腹すいたよぉ…」とベンチに横になりシクシク泣いている美青年を見つけたのだ。つい心配で声をかけた瞬間、むせかえるような甘い香りに、ぐらっと世界が揺れた。


公園から近い場所に建っている、ビジネスホテルの一室。
そこには防音結界が張られていた。




ひくひくっと、快楽の余韻に震える足。
汗と精液に汚れたシーツと体。そして、

(……腰、動かない…っ)

なんでこうなるんだよ!!と不満よりも出てくる、ぜー、ぜー…と荒い息。
そのモモの隣には、ベッド上で満身創痍になっているモモを見て満足げに微笑む、あの青年がいた。


「あー…悪い。俺、半神なんだ。中途半端に精気吸われても興奮して血が昇るだけだってば」
「っ、…、!」

ぎっと睨んだって半分でも神にとってモモのような下級淫魔などは取りに足らない存在だった。
悪魔がいれば当然神もいる。しかし、まだ好き好んで人間界に残ってる神がいるとは思ってもみなかった。

「ま、これで消える心配はなくなったろ?人助けだってば」
「おまッ…、!」

よくも、いけしゃあしゃあと言えたものだ!確かにセックスのおかげでお腹はふくれたが、全身が悲鳴をあげているんだぞ!?
しかし返答は、ふーん?だ。
あんまりだと訴えるモモの睨みを、今度は小馬鹿にした含みで返す。

「つかお前、いくら餓死寸前でも吸うの下手すぎ。童貞アンド処女だったか?」
「~~~~~っ、けぇないっ!」
「マジか。淫魔のくせにぜんっぜんリードできてねぇし、へばって逃げようとするし、いやだいやだって子供みてぇに暴れちゃってさぁ?まるで俺が強姦魔みたいじゃんって、そっかぁ……悪いことしたな」

全然そうは思っていない声でも、モモの内心は火山が大噴火状態で気付けなかった。
――――あぁ、そうだろ!実際アレはそうだった!!
精気は精気だ、しかも極上だった。
しかし限度はある。お腹がいっぱいすぎて嬉しいより今にもはち切れそうで苦しいんだ。


『あ、あんッ…、いや、も、やだぁ、いらない、やらぁあああ~~~♡♡』


――――思い出したくもない嬌声と鳴き声。
淫魔が泣きじゃくって、もういらない!!と叫んでも青年は構わず精液を流し込み、逃げようとしても敵わない力でベッドに引き戻すしで、一体モモは何ラウンド付き合わされたのか…。

(コイツ、清々しい見た目しといて凶悪すぎたろ!?)

半身だけあって見た目はイケメン・好青年。
その精力と中身はケダモノ以上だった。



「でも俺も助かった」
「は?」

―――――助かった……とは?

不穏な気配にゾゾゾと悪寒が走った。
それはさっきまで青年に散々イかされ玩具にされたことで学んだ、非常に嫌な気配だった。

「最近、四股がバレてうまく発散できなくて困ってたんだよなぁ。君が淫魔ってんなら面倒な気を遣わなくていいもんなぁ~君の見た目もいいし、相性も悪くない」
「は…?え、ちょ…!?」
「俺と突き合おうぜ?」
「~~~~~~~~や、やだ!漢字変換おかしい!!やだ、もう怖い!!」


「喜んで契約してやるから名前、教えろよ?♡」



絶対教えるもんか!!!!!




”””あぁーーーーーーーっ♡♡!!”””



まだまだ鳴き止まない淫魔、モモの声。


この後、半神の青年にめっちゃストーカーされるしお世話される。さらに行くところもないモモが居候(強制同棲)することになったあとも、手加減してもらえなくて一生魔界には帰れません♡




end

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