飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない

高槻桂

文字の大きさ
10 / 32

飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない9

しおりを挟む
 翌日、病院で診てもらったらちゃんと着床しているらしかった。
 ただし、成長速度が半端ないって言われた。俺の魔力量自体が半端ないからなー。自分で言うのも何だけどさ。
 医者の見立てでは三ヶ月で産まれるって。わー、親としての心構えとかできる前に産まれてきそう。急ぎで子育て勉強しよう。
 ということで、図書館に行くことにした。初図書館である。
 利用の仕方がわからないのでペルルカについて来てもらって図書館の門をくぐった。
 図書館は広大な土地に建てられていて、教会も広いがその倍くらいの広さがある。
「まずは受付で貸し出しカードを作る」
「はい」
 受付の人に初めてだということを伝えると記入用紙を渡された。それを隣の机で記入してまた出しに行くと一枚の青色のカードを渡された。これが貸し出しカードらしい。
「この広い中を探すの?」
「それは検索人に聞けば良い」
「検索人?」
 聞き慣れない単語だ。受付の隣にいる人にペルルカが声をかけるとどんな本をお探しですか?と聞かれた。
「育児に関する本を探している」
 ペルルカがそう告げるとその人は間髪入れずに二十五の表の棚に集めてあります、と答えた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「二十五の棚だそうだ。行こう」
「え、あ、うん」
 大きな本棚に書かれた数字を見ながら二十五の棚を探す。
「今の人が検索人?」
「そうだ。この図書館の全ての本の場所を覚えている」
「すべて?」
 声が大きくなりそうになったので慌ててひそめる。
「そうだ。そういう特殊な一族なんだ。彼らは」
「そういう魔法を使ってるとかじゃなくて血筋なの?」
「そうだ。王城の図書室にもいたがその者も全ての本の内容と在処を覚えていた。勿論そこには国家機密も含まれるから重要な任だがな」
「へえ……」
 そんなことを話しているうちに目的の棚を見つけた。確かにそこには育児に関する本がたくさん並んでいた。
「思ったよりあるな……」
 ペルルカもその冊数に途方に暮れたような声を出した。
「んー、とりあえず初めての出産、とか初めての育児とかそんな感じのタイトルの本にしようか」
「そうだな」
 適当にそれっぽいタイトルのものを手に取ってはパラパラと見て良さそうなものを数冊選ぶ。
 とりあえず五冊見繕って受付カウンターに持って行った。
 貸出期限は二週間まで。合計で十冊まで借りれる。破損や汚してしまった場合は自分で何とかせず直ちに図書館まで相談に来ること。
 それらの説明を聞いて作ったばかりの貸し出しカードを出した。
 するとカードの表面に借りた本のタイトルと貸出期日が浮き上がって返ってきた。


 図書館を出て、家で一人でお留守番をしているヒロエへのお土産に金平糖の詰まった小瓶をひとつ菓子屋で買って帰宅した。
「おかえり!」
 ヒロエがいつもは飛びついてくるのにそっと抱きついて来た。お腹への影響を彼なりに考えているらしかった。
「ただいま。お土産だよ」
 ヒロエに金平糖の小瓶を握らせると彼はそれを頭上に掲げてわあ、と声を上げた。
「いろんな色のお星様だ!」
「金平糖っていう砂糖のお菓子だよ」
「ありがとう、コウにいちゃん、ペルルカにいちゃん!」
「どういたしまして」
「少しずつ食べるんだぞ」
「はぁい!」
 パタパタと小走りに自室へ向かうヒロエを見送って俺はリビングに向かうとカウチに座った。
 早速本を取り出して読んでみる。
 ふむふむ、陣痛が始まったら魔法で肛門の括約筋を緩めて自然分娩するのか。その際に胎盤が出るみたいな感じで役目を終えた擬似子宮も出てくると。
 赤ちゃんと擬似子宮が出きったらまた魔法で括約筋を戻してパインドロップスを投与して体力の回復を図ると。
 ふむ。出産の流れはわかったぞ。次はお世話の仕方だ。
 黙々と読み進めている俺の隣でペルルカも育児の本を読んでいた。
 部屋から戻って来たヒロエも児童書を一緒になって読んで、はっと気づいた時には昼を回っていた。
「ひとまずお昼にしようか」
 俺がそう提案するとヒロエの腹の虫がぐうっと鳴った。
「手早くローストビーフのサンドイッチにしようかな。ヒロエ、手伝ってくれる?」
「手伝う!」
「なら俺はスープを作ろう」
「玉ねぎととうもろこしがいいな」
「分かった」
 そんなことを話しながら三人でキッチンへ向かった。


「親とは、なんて構えなくてもなるようになるよ」
 というのが神様のお言葉だ。
 今日はラズベリーパイを携えて教会をおとずれたのだが、本を読んでも今ひとつ親というものにぴんとこないと相談したらそう言われた。
「親なんてものはスイッチを入れるように変わるのではなく子を育てるうちに自然と成るものだ。案ずるより産むが易しってやつさ」
「そうなのかもしれないけど……なんだか自信がなくて」
「じゃあこうしよう」
 神様は俺のまだぺったんこの下腹部に手を当ててゆっくりと撫でた。温かい。
「いま、この子に加護を与えた。病も怪我も跳ね除ける強靭な体を持って生まれてくるようにね。そうすれば少しはきみの心的負担も減るだろう?」
「え、待って、対価は?」
 彼は俺の腹を撫でながら懐妊祝いさ、とウインクしてみせた。よかった。
「オレンジドロップスは舐めてるかい?」
「あ、はい。一日三粒くらい舐めてます。足りないですかね?医者には丙のドロップスなら十粒は舐めろと言われたので俺のならそれくらいで良いかなって思ったんですけど」
「きみのドロップスならそれで十分だ」
「舐めすぎて悪いってことはないですよね?」
 俺の心配を彼は笑って勿論だともと言った。
「悪阻が来てもドロップスだけは欠かさず舐めるように。まあきみの場合、悪阻も数日で終わるだろうけどね」
 温かな手が離れていく。
 俺はそれを少しだけ惜しいと思ったのだった。



(続く)
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...