飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない

高槻桂

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第二部

飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない22

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 十一月二十二日の夕方に産まれたその男の子はサリューンと名付けられたと国中に知らせが入ってその日から三日間生誕祭を行うことになった。
 街の至る所でバーゲンセールが執り行われ、夜遅くまで人々は食べては飲み歩き、街の外では花火が上がった。
 ペルルカは休み返上で城に向かっており、俺から聞いた神のお告げを報告していた。
 そしてそのとおりに子は夕方に産まれ、恩寵という意味のサリューンと名付けられた。
 この世界の単語に疎い俺がなぜサリューンの意味を知っているのかというと、号外で配られた新聞に書かれていたからだ。
 そういえばヨハンはどういう意味なんだろう、と思いながらその日は活気あふれる屋台で夕食を調達して家で食べて、ペルルカ不在のまま眠りについた。
 翌朝、いつもどおりに納品を済ませて教会で一息ついて買い物をして帰る。
 昼ごはんを食べて一息ついていたら家の前に馬車が止まった。王城からの誘いだった。
 そうか、ペルルカはいまは城を出てるけどこれは彼の弟が生まれたお祭りなのだ。その彼の伴侶である自分が呼ばれるのも不思議ではない。
 ヒロエとアローチャを伴って馬車に乗り込むと、馬車はがたごと言いながらいつも以上に活気ある街並みを走っていった。
 アローチャは王城は初めてだ。王様や王配様、つまりおじいちゃんたちに会うのも初めてになる。かくいう俺も王配様とは初めて会うのだが。
 王城に入ると控え室に通されてボディチェックを受けて暫く待つとペルルカが迎えに来た。
「突然呼びつけて悪かったな」
「ううん、大丈夫。でかけてるときでなくてよかった」
「午前中はきみはいつも外出しているからと伝えておいたんだ」
「そっか。それで、王配様と赤ちゃんは?」
「ふたりとも元気だ。王とヨハンも待っている。行こう」
「うん」
 城内を歩きながらそういえば、とペルルカを見上げる。
「サリューンは恩寵って意味なんだよね。ヨハンは?」
「ああ、ヨハンは光の子、という意味だ」
「そうなんだ」
 俺はついふふっと笑ってしまった。ペルルカが不思議そうな目で俺を見下ろしてくる。
「どうかしたのか」
「いや、ペルルカの名前の格好良さには敵わないなって思って」
 ペルルカとは黒鉄の槌という意味だそうだ。とても強そうで格好がいい。
 笑う俺の隣でペルルカは肩をすくめるだけに留めた。それが照れ隠しだと知っている俺はにやにやが止まらない。
「そ、そういえば使節団は生誕祭が終わったら予定通りブラン湖に向けて旅立つそうだ」
「あ、そうなんだ。生誕祭が挟まるからどうなるかと思ってたんだけど」
「折角の機会を潰したくはないのだろう。今まで長らく頭を悩ませていた問題だからな」
「あ、あと神様の戸籍の名前だけどウィリシム・ヤハで作って欲しいって」
「神の栄光という意味だな。なるほど。わかった」
 そんなことを話しながら一枚の扉の前に立った。控えていた騎士がびしっと胸元に手を当ててペルルカ騎士団長がお戻りになられました!と叫んだ。
 すると内側から扉が開いて執事さんが一礼した。
 中に入るとハリエルド王とベッドで体を起こしている王配様がいた。その腕には赤子が抱かれている。
「こんにちは、ハリエルド王、ヨハン。お招きありがとうございます。はじめまして、王配様。この度はおめでとうございます。コウです。こちらがヒロエ、こちらがアローチャです」
「おめでとうございます」
 ヒロエがぺこりとお辞儀をする。王配様がありがとう、と微笑んだ。
「私はペリエル。王配様、なんて堅苦しい呼び方ではなく気軽にペリエルと呼んでくれ」
 ではペリエルさんと呼ぶことにしよう。
 ペリエルさんはヨハンと同じでちょっと癖のある濃い灰色の髪をしていた。
 顔立ちもヨハンとよく似ていて、ヨハンは二十年後こうなるんだなと思わせる雰囲気を持っていた。
「アローチャは私が抱いていよう」
 王様がそう言ってくれたので俺は王様にアローチャを渡した。王様はおお、と嬉しそうに目を細めてアローチャを抱いている。
「アローチャ、じいじだぞ」
「コウ、サリューンを抱いてくれるかな」
「はい、喜んで」
 ペリエルさんに言われておくるみに包まれた赤子を受け取って抱き寄せる。わあ、かわいい。
 ああう、と声を上げる赤子におお、と思う。うちの子たちは基本的に静かだからこういうのは新鮮だ。
「ああ見てハリエルド。アローチャのこの髪、たてがみなんだね」
「おお、かわいいなあ。ペルルカの血が出ているんだな」
「尻尾も耳もふさふさだ」
「男前になるぞ、この子は」
 ハリエルド王とペリエルさんはもうすっかりいいおじいちゃんの顔だ。
 俺も腕の中の義弟を見下ろして、よろしくね、と微笑んだ。


「ヨハン」
 帰りがけにヨハンに声をかけると彼は曖昧な顔で微笑んだ。
 弟の誕生は嬉しいのだろう。それは確かなのだろう。けれど彼だってまだ親の愛情が欲しい十五歳なのだ。次期王として立場が決まっていてもそれは変わらない。
「ヨハン、ちょっとこっち来て」
 ヨハンを連れ出して物陰に連れ込む。そして俺はぎゅっとヨハンを抱きしめた。
「コウ?」
「いつでも頼って良いんだからね。俺にできることなんて少ししか無いけど、こうしてぎゅってするくらいいつでもしてあげるから」
「……」
 ヨハンは無言で俺を抱き返すと、ぎゅうっときつくきつく抱いてきた。
「きみはほんとうに、やさしい」
 俺は大丈夫、と伝えるようにその背をぽんぽんと優しく叩いたのだった。



(続く)
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