飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない

高槻桂

文字の大きさ
26 / 32
第二部

飴玉でハーレム作ろうとしたら男しか寄ってこない24

しおりを挟む
 生誕祭が終わり、夜遅くにペルルカが帰宅した。
 俺はペルルカを待っていたかったので今夜はアローチャはヒロエに預けて先に寝てもらっていた。
 玄関が開く音がしたので出迎えに向かうとペルルカは少し固まって俺を見つめた後、ただいま、と言った。
「おかえり。お疲れ様」
「ああ。神が来ていたんだな」
「あ、やっぱり分かる?」
「コウの輪郭がいつも以上に神気で輝いている。濃厚で濃密で甘ったるい匂いがしそうだ」
「神気って王族にしか見えないんだっけ」
「そうだな」
「良かった。垂れ流して街中歩くのは少し恥ずかしいから」
 お風呂入る?と振り返るとペルルカが口付けてきた。
「ん……」
 廊下の壁に押し付けられてぺちゃぺちゃと舌を絡めてペルルカにしがみつく。
「ふあ……どうしたの」
 こんな風に荒々しく口付けてくることはペルルカにはあまりない事だ。
 彼は決まり悪げにすまない、と視線を逸らした。
「あまりにも神の気配が濃厚で、その、嫉妬した」
 俺は目をぱちくりとさせるとふっと笑った。
「ペルルカの気も見えたら良かったのにね。でもそうしたら俺の見た目どうなっちゃうんだろ」
 するとようやくペルルカは気を抜いて微笑した。
「ヒロエもいるから凄いことになるだろうな」
「ふふ、そうだね。で、お風呂は?」
「きみはもう入ったんだろうな」
 その言葉に滲む真意に気づいた俺はいいよ、とペルルカのちょっとだけ埃っぽい体に抱きついた。
「一緒に入ろう?」


 お風呂では洗いっこをしてはしゃいで。
 時間は深夜を回っていたけれど体の奥に熱が灯ってしまった俺たちはベッドにもつれ合うように倒れ込むとお互いを求め合った。
 ぐちゃぐちゃのベッドの中で抱き合って眠って朝を迎える。
 それはとてもしあわせな朝だった。
「今回は代休みたいなのは無いの?」
 朝食を食べながらそう問うと、今のところ無いな、とペルルカがパンをちぎりながら言った。
「まあたった三日のことだったし、仕方ない」
「お疲れ様です。無理しないようにね」
「ペルルカにいちゃん頑張れ!」
 俺とヒロエの励ましにペルルカはありがとう、と笑った。
 そうしてペルルカを送り出して洗い物を済ませたら俺たちはいつものようにドロップスの納品に向かう。
 そして教会で神様とデファンと会って、今日は行くか、と思って東へ向かう馬車に乗る。
「俺、竜王様あまり好きじゃない」
 馬車の中でヒロエがぽつりと言った。
「神様は俺が一緒にいても一度も出て行けなんて言ったことない。でも竜王様は俺とチャーチャのこと追い出す。だから好きじゃない」
「……そうだね。うん。そうだ」
 俺は頷いてヒロエの手を握った。
「竜王様にお願いしてみようか」
「うん……」
「大丈夫、俺がなんとかしてあげる。良いんだよ、最悪別れれば良いんだから」
 俺はみんなのほうが大事。そう微笑むとヒロエは安堵したように息をついた。
 そうして神殿に到着して中に入るとすぐにギニョルが近づいてきた。
「よくぞいらっしゃいました、コウ様。主がお待ちです。こちらへ」
 そしていつものように奥への扉をくぐって長い通路の奥にある部屋に連れてこられた。
「ここからはコウ様のみでお願いします」
 控え室でそう言われて俺は待って、とギニョルに告げた。
「今日は全員でお話がしたい。それが駄目なら今日は帰るし今後はもう来ない」
 ギニョルは明らかに狼狽して少々お待ちください、と奥の部屋へと向かった。
「お連れ様もどうぞ」
 数分の後に出てきたギニョルがそう頭を下げた。まずは第一関門クリアだ。
 中に入ると既に竜王はその姿を現しており、不機嫌そうにカウチに身を委ねていた。
「きみは恋人との語らいに家族を連れてくるのか」
 彼の隣に腰掛けるなり腰を抱き寄せられて顔を寄せられる。
「俺は連れて行きます。あなたがいつか俺の家族になるのなら、彼らとも仲良くしてもらわないといけませんから」
 間近の麗しい顔に向かって臆せず返せば彼はちょっとだけ鼻白んだらしかった。
「俺にはもう家庭があって家族があります。夫がひとりと恋人がふたり。子供もふたり。その俺と付き合うということは俺の家族とも付き合うということです。あなただけの俺にはなれません。それが嫌なら別れましょう」
「……」
 彼は凄く嫌そうな顔をしたあと、仰け反ってあーと言いながら俺の腰を抱き寄せている手とは反対側の手で己の顔を覆った。
 そして口元を覆って唸ると手を離してわかった、と頷いた。
「きみの家族を受け入れよう。我の負けだ。だから我を捨てないでおくれ」
「ありがとうございます」
 その頬にちゅっとキスをすると彼は嬉しそうに微笑んで、でもすぐにちょっとだけ不満そうな顔をして頬なのか?と言ってきた。
「唇は俺の家族に挨拶ができたらです」
「……わかった」
 彼は体を起こして俺を離すとアローチャを抱くヒロエに向き直った。
「我が竜王だ。よしなに頼む」
 まあ彼からしたら十分譲歩したのだろう、認めることとする。
「ヒロエです。こっちはアローチャ。よろしくお願いします」
「……子を、抱いてもいいだろうか」
 ヒロエは俺をちらりと見たが俺が小さく頷くと竜王に近づいてアローチャを渡した。
「まこと小さき生き物だな」
「あっという間に大きくなりますよ」
 抱き慣れていないのだろう、いつもの泰然とした態度とは打って変わっておどおどとしている竜王に少しだけ笑ってアローチャを受け取った。
 そして俺は背伸びをして竜王にちゅっと口づける。
「ようこそ、我らが家族の一員としてあなたを認めます」
 そう笑うと、竜王も嬉しそうに笑った。
「我にも家族ができたのだな」
 もう一度、今度は竜王の方からキスを落としてきた。


(続く)
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...