父の後妻に婚約者を盗られたようです。

和泉 凪紗

文字の大きさ
3 / 8

3.真実を求めて

しおりを挟む
 わたしたちは何事もなかったように日々を過ごしていた。ジョゼフはいろいろと情報収集をしてくれているみたい。お父様は毎日幸せそうなので心が痛い……。どうか、お義母様の身が潔白でありますように……。
 バタバタしていてすっかり忘れていたけど、ユーシス様からのお返事はまだかしら。お手紙にも忙しいと書いてあったからお返事は期待してはいけないのかもしれない。でも、お義母様の子供が本当にお父様の子供であるならばユーシス様にも関係あることだわ。お父様の子供でなくてもバタバタとしてしまうでしょうし……。どこかでゆっくりとお話できると良いのだけど。


「アルティナお嬢様。奥様に怪しい動きがありました。街に出て誰かに手紙を出していたそうです。さらにしばらく別荘で静養なさるとか……」
「誰に手紙を出していたのかしら。浮気相手? だったら別荘で落ち合う可能性もあるわよね」

 仕事の関係でお父様は今、一緒に別荘に行くことはできない。わたしも勉強の予定などがあるのですぐに別荘に向かうことはできないのだから、浮気相手と過ごす絶好のチャンスだ。
 できることなら、ユーシス様とゆっくり別荘で過ごしたかったわ……。浮気現場を押さえるために……、なんてむなしいもの。

「その可能性は高いと思います。旦那様が別荘でゆっくり静養されるように仰ってから手紙を出したようですから……」
「お父様は今、ここを離れられないものね。浮気相手と会うならチャンスだと思う。はぁ……、やっぱりお父様は自分の子供が産まれてくるのが楽しみで仕方がないのね」
「そのようですね。別荘の方が奥様のご実家にも近いですから」
「向こうはお義母様の好きな果物が名産でもあるし。……わたしもお父様の妹の子供なのだから、それなりに濃い血のつながりだと思うけどやっぱり実子には勝てないみたい……」
「アルティナ様……」
「まぁ、お義母様のお腹の子はお父様の実子ではない可能性が高いのだけど……」

 わたしは少し自虐的な気持ちになる。わたしの言葉にジョゼフは哀しそうな顔をした。

「旦那様も亡くなられた奥様も、アルティナ様のことは本当の娘のように思っていらっしゃいますよ」
「……うん。それはちゃんとわかってる。とても大事にしてもらっているもの……。変なことを言ってごめんなさい」

 大事にしてもらっていることはわかっているけど、お父様のはしゃぎっぷりを見るとつい不安になってしまうのだ……。でも、わたしはお父様のことが好きだから、お父様のためにも事実関係をはっきりさせるわ。


 お義母様が別荘へ出発する日が来た。

「ロレッタ、無理をするんじゃないよ。仕事が片付いたらすぐそちらに行くから」
「わたくしはおとなしくしていますから、無理はしないでくださいな。仕事をおろそかにしてはいけませんわ。終わりそうになったら連絡をください。お迎えの準備をしますから」
「無理をしないでくれと言ったばかりだろう? お願いだからおとなしくしていてくれ。お腹の子に何かあったらどうするんだ」
「お義母様。お父様をお迎えする準備が必要でしたら、わたしがしますからゆっくりなさってください。お父様よりも早く向かいますから……」
「アルティナも心配性なのね。本当に似たもの親子だこと」
「わたしがこちらを出発する際にはお父様の予定も含めてご連絡しますね。お父様ったらお義母様に会いたくて連絡もせずに飛び出してしまいそうなんですもの。こちらでお父様を抑えておきますのでゆっくり羽を伸ばしてきてください。お父様のお相手は疲れるでしょう?」
「まぁ、アルティナったら……」

 とても和やかな空気だ。まさかわたしがお義母さまの浮気現場を押さえようとしているとは思わないだろう。


 お義母様が出発し、わたしたちの準備も整った。

「お父様、わたしは一足先に別荘に向かいます。やはりお義母様が心配ですから早めに行くことにしました。お父様はちゃんと仕事を終えてから来てくださいね」
「わかっているよ。ロレッタをよろしく頼む。無理をしないようしっかりとみていてくれ」
「わかっていますわ、お父様。ついたら手紙を出しますね」

 すでに別荘にはジョゼフが手配した人間がお義母様の動きを見張っている。わたしはお父様より一足早く出発するが、もちろん別荘には連絡はしない。お父様に手紙を出すのも事実関係がはっきりしてからだ。
 もし、お父様が浮気相手との現場に遭遇したらショックだろうから……。わたしは別荘の近くまで行き、人の出入りをしばらく見張るつもりである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うちに待望の子供が産まれた…けど

satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。 デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ
恋愛
 エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。  社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。

その令嬢は、実家との縁を切ってもらいたい

キョウキョウ
恋愛
シャルダン公爵家の令嬢アメリは、学園の卒業記念パーティーの最中にバルトロメ王子から一方的に婚約破棄を宣告される。 妹のアーレラをイジメたと、覚えのない罪を着せられて。 そして、婚約破棄だけでなく公爵家からも追放されてしまう。 だけどそれは、彼女の求めた展開だった。

名も無き伯爵令嬢の幸運

ひとみん
恋愛
私はしがない伯爵令嬢。巷ではやりの物語のように義母と義妹に虐げられている。 この家から逃げる為に、義母の命令通り国境を守る公爵家へと乗り込んだ。王命に物申し、国外追放されることを期待して。 なのに、何故だろう・・・乗り込んだ先の公爵夫人が決めたという私に対する処罰がご褒美としか言いようがなくて・・・ 名も無きモブ令嬢が幸せになる話。まじ、名前出てきません・・・・ *「転生魔女は国盗りを望む」にチラッとしか出てこない、名も無きモブ『一人目令嬢』のお話。 34話の本人視点みたいな感じです。 本編を読まなくとも、多分、大丈夫だと思いますが、本編もよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/novel/618422773/930884405

裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!

サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。 「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」 飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう―― ※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。

(完結)無能なふりを強要された公爵令嬢の私、その訳は?(全3話)

青空一夏
恋愛
私は公爵家の長女で幼い頃から優秀だった。けれどもお母様はそんな私をいつも窘めた。 「いいですか? フローレンス。男性より優れたところを見せてはなりませんよ。女性は一歩、いいえ三歩後ろを下がって男性の背中を見て歩きなさい」 ですって!! そんなのこれからの時代にはそぐわないと思う。だから、お母様のおっしゃることは貴族学園では無視していた。そうしたら家柄と才覚を見込まれて王太子妃になることに決まってしまい・・・・・・ これは、男勝りの公爵令嬢が、愚か者と有名な王太子と愛?を育む話です。(多分、あまり甘々ではない) 前編・中編・後編の3話。お話の長さは均一ではありません。異世界のお話で、言葉遣いやところどころ現代的部分あり。コメディー調。

虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~

***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」 妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。 「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」 元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。 両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません! あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。 他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては! 「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか? あなたにはもう関係のない話ですが? 妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!! ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね? 私、いろいろ調べさせていただいたんですよ? あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか? ・・・××しますよ?

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

処理中です...