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お茶汲み秘書の話すのやめときたい秘密
突然、出張っぽいものに出ることになりました
しおりを挟むなんだかわからないまま、あまりは帰り支度をし、海里と新幹線のホームに立っていた。
ど……怒濤の展開で、まだついていけていないのですが。
でも、とりあえず、ちょっと寒いな、と思っていた。
ホームは風が強くて、思わず、目をしばたたく。
すると、海里が、突然、
「勘違いするなよ」
と言ってきた。
「みなが忙しく、お前だけが暇だったから誘っただけだからな」
わかってますよ、と答えながら、
何処をどう勘違いする余地があるんだ、とか。
支社長、今、いきなり、斜め前に動いたな、とか思っていた。
少しだが、海里のお陰で風が当たらなくなった。
ありがたいが、何故、毒舌を吐きながら移動する必要があるんだろうかな、とこの人は、と思ってしまった。
「自由席とか乗るんですね」
意外に思い、あまりは訊いた。
普通に券売機で、自由席の切符を買って、今、此処に並んでいるからだ。
「自由席の方が、むしろ、すいてるだろ、各駅なら。
指定やグリーンは満席なのに、自由席は時間帯によっては、ガラガラって結構あるからな。
座席も広いし。
それに、グリーン車はみんな寝てる気がするから、お前のしようもない話も聞けないしな」
などと言う海里の言葉を聞いているうちに、新幹線が入ってきた。
それを眺めながら、あまりは言った。
「最近の新幹線って、みんな、面白い顔してますよね。
こう……噛み付かれそうな顔してます」
と言うと、どんな顔だ、という目で見られる。
自由席は、なるほど、たっぷり空いていた。
プレミアムフライデーだというのに、と思ったが、前もって早く帰れそうな人は、指定席とか取ってるのかもしれないな、と思う。
それにしても、座り放題で迷うな、と思っていると、前から三番目のところで、海里が待っていた。
なにかと思ったら、窓際の席を譲ってくれるようだった。
「いいですよ、私が通路側で」
と言うと、
「いや、お前は窓の外見てるだけで、子どものようにはしゃぎそうだからな。
……はしゃぐなよ」
と念押しされる。
なんですか、その決めつけは……。
そして、はしゃぐと思っているのなら、譲らなくてもいいじゃないですか。
さっきから親切なんだか、喧嘩売ってるんだか、わからない人だな、と思っていると、海里が、
「いいから、早く乗れ。
まだ後ろに人が居る」
と言ってきた。
自分で最後かと思っていたのだが、後ろに、静かに、おばあさんが立っていた。
すっ、すみませんっ、と頭を下げて、慌てて、海里が譲ってくれた窓際の席に座る。
海里もおばあさんに軽く頭を下げると、あまりの席から、ひとつ空けて、通路側に座った。
三人掛けだったからだ。
……間を空けるために、こっち側の席にしたのかな? と反対側の座席を見る。
そちらも空いているが、二人掛けの席だった。
すると、あまりの視線に気づいた海里が、
「なんだ、向こう側がよかったか?」
と訊いてきた。
「いえ。
今、夕陽が当たって眩しいので、いいです。
でも、いつもなんとなく、眩しい方に座っちゃって。
結局、カーテン閉めるはめになっちゃうんですよね。
席決めるとき、つい、明るい方に寄ってっちゃったりしませんか?」
と言って、
「虫か」
と言われる。
……他にいい例えはないのですか。
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