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お茶汲み秘書の話すのやめときたい秘密
攻撃態勢にないことはわかってくれているようだ
しおりを挟むそうして、着いたのは、本当に山の中だった。
「うーん。
これはないだろう」
タクシーに待ってもらって、その一面の枯れ野原という場所を見る。
「だが、平地なのはいいな。
山を崩さなくていい」
「そうですね。
こんなところには珍しく、段差のない平地ですね」
だから候補に挙がったのだろうが。
「大きな道路が走ってるのもいい」
と言う海里に、
「なんでこんな山の中にこんな道路が?
ゴルフ場なんかかあるようにも見えないですが」
と言うと、
「この辺り出身の大物政治家でも居るんだろうよ」
と海里は言う。
すると、その広い空き地の向こう側に人が見えた。
そういえば、タクシーも止まっている。
「あれ、あの人、さっきのフランス人じゃありません?」
「……名前くらい聞き取れ。
っていうか、よく見えるな。
お前はあれか。
あと二時間くらいしたら人が来るとかいうアフリカの人みたいな視力があるのか」
「いや……日本、そんな地平線が見えるような場所ないんで。
物に遮られて、そもそも見えませんが。
でも、こんな知らない場所で、知ってる人に会うとちょっと嬉しいですね」
と思わず、愛想よく手を振ったあとで、
「あ、しまった」
と言うと、
「なにがしまっただ?」
と言われた。
「いや、フランスの人に、おーい、って手を振ったりして、大丈夫ですかね?
外国って、日本とジェスチャー、意味が違ったりするじゃないですか」
射殺されませんかね? と言って、阿呆か、と言われる。
「そもそも、銃持って歩いてないだろうが」
「いや、何処かに隠れているボディガードの人が隠し持っているかもしれません」
「……あの人、フランスの要人じゃなくて、スーパーの人だからな」
と言いながら、海里が先に歩いていく。
向こうもこちらに手を振ってくれた。
心配しなくとも、あまりが攻撃態勢にないことはわかってくれているようだった。
海里に言ったら、余計な心配だ、と言われることだろうが。
そのあと、海里とフランス人、どうもパトリックさんというらしいその人は笑顔でしばらく話していた。
二人はなにか言って、別れようとする。
パトリックは機嫌良くあまりにも握手を求めてきた。
どうしよう。
フランス語、ぼんじゅーる、しか挨拶がわからない。
さっきの活用言ってみようか。
ぬざぼん、ぶざべー
いるぼん、えるぼーん
いや、私もいきなり、外国の人に、あり、をり、はべり、いまそかり、とか言われても困るからなーと思いながら、とりあえず、握手をしてみた。
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