あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ

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もう終わりです……

今日、犯人捕まえますっ

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「私、今日、犯人捕まえますっ」

 お茶を持っていった支社長室で、あまりは拳をつくる。

「どうした。
 犯人捕まえるのは、服部たちだろ」

 少し熱いぞ、と言いながら、海里がお茶を飲む。

「今日、桜田さんが大事に指輪をしまっているのを見て、思ったんですっ。

 コソ泥とかいう言い方をしたら、罪は軽そうだけど。

 そういう人の想いのつまった貴金属とか、思い出まで取って逃げてるわけですよね」

 私、頑張りますっ!

「頑張って、取り返してきますねっ、寺坂さんっ」
と寺坂の分厚い手を握る。

 まだ盗られたわけではない寺坂が、
「は、はあ……」
と苦笑いしていた。
 



 昼過ぎ、あまりがカフェに戻った時間、服部たちも配置についていた。

「すみません。
 今日はよろしくお願いします」

 服部が控え室で言ってくる。

 今回は、マスターに言わないわけにはいかなかったので、服部が伝え、動揺しそうにないメンツで店員も固めている。

 ひとり程、ウェイターに刑事も混ざっていた。

「昨日、この近くのビルに窃盗に入ったばかりなので、まだ犯人はそれをさばいていないと思われます。

 なかなか巧妙な奴で、住処がはっきりしないんですが。

 今、確保できたら、まだ自宅には盗品を所持していると思われます」

「あれ?
 うちのビルじゃなかったんですね」
と言うと、

「そうなんですよ。
 下見は犬塚さんの会社だったと伺ったんですけどね。
 何故か急に変えたみたいで」
と服部は首を傾げている。

 ともかく、よろしくお願いします、という服部に、あまりは、イヤホンを耳につけた彼らを見て、
「それ、やったままなんですか?」
と訊く。

「いや、目につく位置に配置する者は外しますよ。
 目立つから」
と服部は言う。

 ですよね、と笑ったあとで、
「でも、格好いいですよね」
と言って、後ろから海里に殴られた。

「不用意に他の男を褒めるなっ」
と。


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