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ケダモノは、やはりケダモノでした
俺のことが好きなんじゃないのか?
しおりを挟む貴継の父に輪っかを放られ、一生懸命受け止める夢を見ながら、明日実はうなされていた。
うう……。
もう無理です、お義父さまっ、と訴えると、貴継の父は、あの人の良さそうな笑顔で、
「大丈夫。
まだまだいけるよー」
と言いながら、そーれっ、と輪を投げてくる。
……この人、実は貴継さん以上のひとでなしで、スパルタなんじゃ? と思っていると、身体がずしんと重くなった。
いきなりお白州に居て、ギザギザの板の上に座らされ、足の上に重石を載せられるという、石抱きの拷問を受けていた。
何故かお奉行様の格好をして、片肌脱いだ貴継がムチをフリフリ訊いてくる。
「お前、実は、畏れ多くも俺のことが好きなんじゃないのか?」
夢というのは、本当に、とりとめがない。
畏れ多くもってなんだー、と思いながら、なんだか、本当に重い、とうなされていてると、
「起きろ」
と耳許で声がした。
「遅刻するぞ」
目を開けると、貴継が上に乗っていた。
「な、なんで居るんですかーっ」
「なんで居るんですかは俺のセリフだ。
此処は俺のベッドだ」
と言いながら、布団の中に入ってこようとする。
「で、出ますっ、出ますっ、出ますっ」
と慌てふためいて、飛び出すと、貴継は笑っていた。
……よかった。
笑ってる。
ほっとしながら、顔を洗いに立ち去ろうとすると、
「待て」
と腕をつかんだ貴継が顔を寄せて言ってくる。
「たまには、会社まで乗せていってやろうか?」
「け、結構ですっ」
と振りほどいて、明日実は洗面所に逃げた。
夕べのことは怒ってないのかな? と思いながら、いつものように駅まで送られる。
恒例のように、女子高生たちと出会い、なんとなく、オハヨウゴザイマス、と頭を下げると、きゃーっ、と可愛らしい歓声を上げた彼女たちは、おはようゴザイマスッ、と言いながら、走っていってしまった。
いや……だから、なんなのですか、貴女がたは。
電車に乗っていたとき、隣の車両に安田課長が乗っているのが見えた。
駅で一緒になり、
「おはようございます」
と頭を下げた。
「おはよう」
と返してくれた安田課長だが、なにやら微妙な顔をしている。
「あのさ、佐野さん」
「はい」
安田は少し考え、
「いや、君に言うことじゃないよね」
と言ったあとで、もう仕事慣れた? と極普通の話題を振ってきた。
な、なんなんだろうな。
気になる、と思いながらも、安田の話に相槌を打ちながら、会社に行った。
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