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迷路の町
町の法則
しおりを挟む「その町では、火を使う施設は一箇所にしてあるとか」
と言うファルコに、
「そういえば、パンを焼く窯があるところと風呂屋は近かったわね」
とフェリシアは言ったが、兵士たちが、
「でも、菓子を焼く店は離れた場所にありましたよ」
と言う。
「……菓子を焼く店は何処にありましたか?」
そうフェリシアは前のめりに聞いた。
また脱線しそうになる。
「そこです」
と兵士は東側にある小さな店を指差した。
窯からなのか、屋根の上の方に、ちょっぴり煙が上がっている。
「まあ、それは、その町がってことで」
とファルコが言ったあと、顔の濃い兵士が顎に手をやりながら言った。
「そういえば、この町は昔は小さかったと聞きましたねえ。
周りにどんどん建物が建っていって、こんな大きな町になったとか」
「じゃあ、町の中心って、その最初の場所ってことになるのかしら?」
そうフェリシアは呟いた。
最初の場所にいる最初の長老。
何百年生きてるんだ……と思ってしまう。
フェリシアはぐるっとその場で回転してみた。
パン屋、窯の店、蒸し風呂屋、八百屋、肉屋、雑貨屋、食堂、菓子屋、居酒屋、蒸し風呂屋。
ぐるぐるとその場で回ってみたフェリシアは、うん、と頷いた。
ちょっと離れた場所に行き、またぐるぐる回って戻ってきた。
「わかったわ、法則性」
えっ? ほんとですか?
とみんなが身を乗り出す。
フェリシアは指差しながら言った。
「朝起きてから、夜まで。
用事のある店が順番に並んでるのよ」
そこからそこまでがひとつのエリアなんじゃない? と指差す。
「なるほどっ」
「そういえばっ」
とちょうど通りかかった町の人たちが叫ぶ。
……いや、あなたたち、住んでるんですよね? ここに、
とフェリシアは思ったが、その通りすがりのおばあさんは言う。
「いやあ、長く住んでると、逆に疑問は持たないんじゃよ。
何十年何百年とこの状態だったからのう。
他のエリアにはあまり行かないし」
なるほど、とフェリシアは思う。
「このエリア内ですべて事足りるから、あまり遠出をしないし、迷わないのね」
中心に最初のエリアがあり、いろんなところからやってきた人たちが、その、中で完結する町を真似して、どんどん周りに同じようなエリアを作り、重ねていったのだろう。
そうして、ちょっとずつ増えていって、このような大きな迷路の町ができたのではないだろうか。
「前にあったエリアを真似して、どんどん作っていったのは、以前から暮らしている人たちが快適そうだったら。
ここでの暮らしにあった造りなんだと思ったからでしょう」
そう言うフェリシアにサミュエルが言う。
「では、やはり、町の中心というのは、町の真ん中ではなく。
この町の最初にできたエリアのことなんですかね?」
一行は古い建物のエリアを探して歩くことになった。
あまり雨も降らないこの辺りの建物は、そうそう崩れないようで、建て直すこともないようだったから。
長く建物は建て変わらないようだった。
フェリシアたちは、おしゃべりをしながら、建物の日陰になって涼しい、細い小道を進む。
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