まず、後宮に入れませんっ! ~悪役令嬢として他の国に嫁がされましたが、何故か荷物から勇者の剣が出てきたので、魔王を倒しに行くことになりました

菱沼あゆ

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苔玉の町

フェリシアの名推理(?)

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「……空からザコが降ってくる」

 なんとなくフェリシアはそう呟き、
「違うだろう」
と魔王に言われる。

 今の話がいろいろ混ざってしまったようだ……。

 みんなで揉めている間、途中で、水晶玉が繋がったりもしたのだが。

 ウィリカの、
「……めっ!
 お姉さまより、私を狙いなさいよっ!」
という叫び声が聞こえきたので、フェリシアはスライムに、そっと水晶玉をしまわせた。

 だが、その言葉で確信する。

「やはり、狙われているのは私だけのようですね」

「では、お前は何処か地中深くにでも潜っていろ」
と魔王が言うので、

 埋められるっ!?
とフェリシアは怯える。

 ほんとうに物理的に埋められそうな気がしたからだ。

 魔物は深く考えない。

 だが、そこで、ファルコが、ふと思いついたように言った。

「空からなにかが降ってくるのなら、それより上に行ったらどうですか?」

 これもまた、魔物らしい考え方だった。

 人間と違い、彼らの中には空を飛べるものもいるのだろうから。

 だが、フェリシアが、うっかり、空からザコが降ってくると言ってしまっただけで。

 実際には、そのなんだかわからない災厄は降ってくるわけではなく、飛んできたりするのだろうから――。

「空中戦になると思います……」
とフェリシアは言った。

 そこで、一緒に悩んでくれていたおばあさんが、ぽん、と手を打った。

「地中に埋めるっ!」
と叫ぶ。

 あなたも私を埋める気ですかっ、と思ったが、違った。

「大聖女様っ。
 隠れながら移動できる場所がありますよっ」

「えっ?」

「確かこの町には地下水路があって、海か何処かに通じていると聞きました」

「水路!
 いいじゃないですかっ」
とファルコが身を乗り出す。

「おばあさん、その水路は何処にっ」
とフェリシアは訊いたが、おばあさんはうろ覚えだった。

「ええーと。
 確か昔の川がそのまま水路になってると聞きましたけどねえ」

「昔の川……」

 フェリシアはまだ敵(?)が来ないか、空を見て確認したあと、水路を探して地面を見た。

 ん?
 ゆるく曲がっている石畳。

 その周りに生えているさっきのパイの中に入っていた草。

『おお、それは。
 川辺によく生えているやつですね』

『道沿いにたくさん生えてるから、いつでも手に入るしねえ』

 ファルコとおばあさんの言葉を思い出し、フェリシアはハッとする。

「そうだっ。
 わかりましたっ。

 あの石畳は昔通っていた川の上にあるんですよ。

 だから、あんなゆるく蛇行していて、そして、周りに水辺に生える草が生えてるんですっ」

「さすがですっ、大聖女様っ。
 では、石畳の何処からか水路に入る入り口があるはずですねっ」
とファルコが言い、

「そういえば、ヤンさんちの前の石畳の側に井戸でもないのに、蓋がしてある場所がありますっ」
とおばあさんも喜ぶ。

「そこだっ!」
とみな、やんやと盛り上がっていたので、魔王は言い出せなかった。

 そろそろ遠くに転移できるくらい、チカラが溜まってきていることを――。


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