同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました

菱沼あゆ

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おまけ めぐる&田中のその後――

王将戦のコスプレ

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「めぐるさー。
 同じ中学だった相撲取りと結婚するってほんと?」

 幼稚園の友だちからの電話でそんなことを言われ、めぐるは衝撃を受ける。

「いや……お相撲さんに知り合いはいないんだけど」

 よく考えたら、お相撲さんって言葉、すごいなと思いながら。

 相撲にさんがついている。

 田中さんだったら、お将棋さんだろうか。

「あ、違うの?
 なんか、国技みたいなことやってる人と付き合ってるって聞いたけど」

 国技みたいな……。

 ああ、まあ、そんな感じではありますね、とめぐるは思う。

 付き合っているかはちょっと謎なんですけど。

「全然違うよー。
 一個も合ってないよー」
と言いながら、めぐるはちょうどテレビに映っている田中を見た。

 なぜか板前さんの格好で寿司を握っている。

 王将戦、第一局で勝ったのだ。

 すごいこだわった寿司とか作りそうだ……、
とカメラ目線でなく、本気で寿司を握っている田中を見る。

 王将戦の会場となった場所にちなんだコスプレらしい。

 主催者となっている新聞社が開催地の方々の意見なども聞きながら、コスプレ内容を決めるらしいのだが。

 勝った方が、なぜ、罰ゲームのようにコスプレをさせられるのかは謎だった。

 そういえば、あれから黒木田は、和菓子屋にも食堂にも来るようになったのだが。

「俺は勝って、コスプレをやりたい」
と真顔で言っていた。

「いつもと違う自分を皆様にお見せして、楽しんでもらいたい」

 そんな感心なことを最初は言っていたのだが。

 そのうち、

「第三局の会場にちなんだ、やりたいコスプレがあるんだ。
 それとなく、関係者たちにも言っている。

 だから、俺は第三局はどうしても勝たねばならないんだ」
と熱く語り出した。

 そんな黒木田をまぶしげに田中は見つめている。

 要求されれば、下手な字でサインを書く気概はあっても。

 コスプレをぜひやりたいというほどのサービス精神は彼にはないようだった。

 ……っていうか、なぜ、勝負よりそっちが焦点に。

 王将戦とは……、と思いながら、めぐるは二人を眺めていた。



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