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プレオープンですっ!
呪いの部屋の正体
しおりを挟む「それでその化け猫に祟られてたんですか?
てっきり、猫蹴って祟られたのかと思ってましたよ」
とのどかが言うと、北村が青ざめる。
「そんなので呪われるのなら、呪われっぱなしになるじゃないですか。
僕なんて、実家の猫が足にまとわりついてきて、歩くたびに、あっ、て蹴っちゃうんですよ」
いや、そういう蹴り方ではない……。
だが、そういえば、異常に猫を可愛がる綾太みたいなのも猫からしたら迷惑な話だろうから。
あれこそ、呪われそうな気がするんだが、とのどかは思う。
「でもまあ、可愛らしい呪いでよかったじゃないですか」
とのどかは泰親の猫耳を見た。
「まあ、そうなんだが。
その猫は、実は、忠義な猫で。
死んでもこの世にとどまり、主人に、貢物を捧げ続けているのだ」
たぶん、今も――
と泰親は言った。
「主人って誰なんですか?」
「確か、フラれて祟り神になった男だ」
と泰親は言う。
「フラれて祟り神になるのなら、海崎社長辺りがそろそろなりそうですよ……」
と何故か北村が言う。
貴弘はそこで頷き、
「俺もフラれたら祟るぞ」
とのどかに言ってきた。
いや、誰にですか。
っていうか、なに言ってんですか、とのどかは赤くなる。
「まあ、ともかく、その忠義な猫は、村の若い男をさらっては、主人に捧げていたようなのだ」
「……何故、男」
とのどかが、
「自分の好きな女を別の若い男に取られたからか?」
と貴弘が呟く。
「さあ、そこは知らんが。
だが、主人はどの男も受け取らなかった。
そんなある日、猫はある若い男が通りかかったのに気づき、その男を主人に捧げようとした。
主人が好きだった人間の息子だ。
この男を生贄にすれば、主人の心もおさまるに違いない。
そう猫は思ったようだった。
当時、此処の神社に居た私はそれを阻止し、そして……」
そこで、泰親は眉をひそめる。
「その先の記憶がちょっと曖昧なんだが。
私は祟り殺されたのだろうかな?
いや……死んでないな」
と泰親はその石を見る。
「これは私が祀ったものだ。
結局、猫もその祟り神も浄霊してやれなかったから」
ああ、そうか……とようやく思い出したように泰親は言った。
「猫が私に祟ってたんじゃない。
私があの忠義な猫のことが気になって、きっと、死んでからもずっと見守ってたんだ――。
神社もなくなり、祟り神が昔住んでいた屋敷もなくなり。
屋敷跡に新しい家が建っても、それでも、猫は昔、祟り神が居た部屋の辺りに、生贄を投げ込み続けた」
それが今のあの呪いの部屋なのだろう。
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