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おまけ
そこっ、いちゃつくなっ!
しおりを挟む「花占いか。
それもいいんじゃないか?」
えっ? と貴弘の言葉にのどかは振り向いた。
夕食後、寮の方の庭で、みんなで焚き火をして、珈琲でも沸かそうという話になり、外に出たとき、貴弘がそう言ってきたのだ。
昼間の風子の話をしたせいだ。
「目を閉じて歩いて、つかんだ花で占ってみろ」
「でもそれ、何処に花のついた雑草があるかわかりませんよね?」
「大丈夫だ。
俺が手を引いてやるから」
「えっ、でも……」
とあまり光の当たらない庭の片隅で手を握られ、揉めていると、綾太が、
「そこっ、いちゃつくなっ。
火をおこせーっ」
と庭の真ん中に置いた焚き火台のところから叫んでくる。
「……男って、どうして好きなんですか? 焚き火」
「原始に帰る感じがするからじゃないのか?」
「帰りたいですか? 原始時代」
あまりマンモスを追いかけたくはないのだが。
そこは男と女の違いかな、と思いながら、貴弘と一緒に焚き火台を眺めていた。
今も寮の方の庭先から、揉める声が聞こえている。
「なんで起こすんですかっ。
僕、明日、早いんですよっ。
休みじゃないんですっ。
北村さんの出張ついてくからーっ」
と青田が叫び、
「知るか。
俺の会社の仕事じゃねえしっ。
お前、火をおこすの上手いだろうがっ」
と綾太が叫び返している。
「八神さんにでも、つけてもらってくださいっ」
「イメージで言うなっ。
あの野生男、意外にアウトドア向いてないぞっ。
グッズが好きなだけだっ」
「社長、松ぼっくりです」
と中原の声が大きなホールトマトの空き缶に大量に入っている松ぼっくりを持ってきた。
「おお、でかした、中原」
松ぼっくりは油分が多いので、よく燃える。
入れすぎると危険だが、着火剤代わりにいいのだ。
そこへ缶ビールを手にした八神が泰親とともに現れた。
「そうだ、これ、裏に花瓶と一緒に捨ててあったんだが。
紫陽花がドライフラワーになったの」
「ま、待て、紫陽花っ」
と綾太が言うより早く、八神が焚き火台に投入したようだ。
ボッと松ぼっくりより勢いよく炎が上がっていた。
「八神ーっ!
ほら見ろ、こいつ向いてねえんだよっ」
「俺、都会の学校通って、マンション暮らしだったから」
と八神は言って、見た目と違うーっと叫ばれていた。
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