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一年生・春の章
毒りんご?にご注意②
しおりを挟む夕飯とお風呂を済ませ、執務室で寝間着の状態で仕事の書類を確認していたリヒト。フィンが帰ってくるまでに終わらせようとしていたが、初の登校日ということもあり不安があったのか、思うように仕事が進まなかったため、就寝前に慌てて仕事を終わらせていた。
「(早くフィンに触りたい早くフィンに触りたい)」
セミロングの銀髪が鬱陶しいのか、耳にかけながら書類に目を通していたところ、フィンが扉を静かに開けてちょこんと顔を出す。
「リヒト……大丈夫?」
フィンはリヒトの様子を伺うように声をかけると、リヒトはパッとフィンを見て思い出したように目を一瞬見開いた。
「ん……あぁ、そういえばそうか。まだ大丈夫みたいだ。もうすぐ終わるから、待っててくれるかな」
「うん……ここにいていい?」
結局あの謎の果物がリヒトにどんな影響を及ぼすか分からないままだったため、フィンはリヒトを心配そうに見つめる。
「もちろん。急いで終わらせるね」
リヒトは急いで仕事を終わらせるため、書類に目を通すスピードが早くなる。
その様子を見たフィンは、ちょこんと椅子に座りながら微笑んだ。
美しい銀髪を耳にかけ、憂いた表情で書類を見ていたリヒト。
フィンは、自身にいつも向けられるものとは違うリヒトの表情を見て、思わず恍惚とした顔で口を開いた。
「リヒト、なんだかすごく綺麗だね」
「……」
リヒトは目を丸くし、手を止め何も言わずにフィンに視線を向ける。
「あ……ごめんね、邪魔しちゃった」
フィンはリヒトから視線を外し、申し訳なさそうに笑って顔を赤らめる。
突然恋人に「綺麗」と言ってしまった自分に驚いていたのか、非常に動揺していた。
「いや、全く邪魔ではないよ。なんか驚いてしまって……」
リヒトは優しく笑ってまた書類に目を戻すと、器用に手を動かしながらも口を開く。
「正直、言われ慣れてる言葉なんだ。それなのに、フィンからそう言われると何故か恥ずかしくてね」
今まで数多の令嬢や子息に誉められ続けた容姿。この国の宝だと言われるほどの美しさを持つリヒトだったが、他者に褒められても嬉しいという感情は一切持ったことが無かった。
しかし、フィンにあんな表情で綺麗だと言われると、胸の奥から込み上げるものを感じ、リヒトの顔が綻ぶ。
「(リヒト、嬉しそう?)」
フィンはそんなリヒトを見て幸せそうに笑った。
「君に褒められると、本能的に喜んでしまうようだ」
リヒトは目を細め、恐ろしいほどに美しく笑みを浮かべながらそう言うと、書類を全て並べて立ち上がる。
「さて、終わったよ。一緒にベッドに入ってお話でもしようか」
「うん……!おつかれさま、リヒト」
「フィンもね。初登校お疲れ様」
リヒトはフィンの方へ歩くと、優しく抱き上げてキスをする。そしてそのままベッドルームへ移動すると、優しくベッドに降ろし自身もその横に座った。
その後、リヒトは仰向けになってベッドに転がり、フィンに上に乗るように自身のお腹を指差して手招きする。
「お、重くない?」
フィンはゆっくりとリヒトのお腹に乗り首を傾げる。
「全然。綿菓子が乗ってるみたい」
リヒトは上に乗るフィンの腰を掴むと、愛おしそうに見上げた。
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