【完結】大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。〜魔法学院編〜

みるくくらうん

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一年生・秋の章<それぞれの一週間>

閃雷のライトニング

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「リュドウィック!」


 ライトニングが呼ぶと、リュドウィックは怪しげな笑みを浮かべ眼鏡をクイっと上げる。


「……?」


 異様な雰囲気を放つリュドウィックだが、まさか裏切り者だとは思っていないライトニングはそのまま話をし始める。


「リュドウィック、シャロンがこの通り怪我もなく見つかったが、何やらがいるのだ。三匹ほど片付けたが、まだ気配がする。警戒しろ!」


 ライトニングはリュドウィックの身を案じそう叫ぶが、リュドウィックは動じた様子なくライトニングを見て微笑んだ。


「……御意」


 リュドウィックはそう返事をすると、指笛を鳴らす。


「!?」


 すると、ライトニングを囲むようにして歪な形をした黒犬が徐々に集まり出し、ライトニングはようやくここでリュドウィックが味方では無いことを察した。
 不気味な表情でライトニングを見るリュドウィックは、やがて不気味に嗤う。


「……貴様」


 ライトニングは被っていたフードを脱ぎ、雷のように煌めく髪を晒してリュドウィックを睨み付ける。
 その後ろでへたりこんでいたシャロンは、その髪色を見ると目を見開き驚いた表情を浮かべた。


「キラキラのかみのけ……王子、さま……?おにーちゃんは、王子さまだったの?」


 シャロンは梟のゲージを抱き締めながら小さくそう問いかけると、ライトニングはニコッと笑ってシャロンを見下ろす。


「ああ。第三王子、ライトニング・ローザリオンだ。黙っていてすまないな、シャロン」


 ライトニングは地面に片膝をついて緑眼の澄んだ瞳でシャロンを見ると、得意げな笑みを浮かべた。
 シャロンは聞いて首を横に振り、涙を拭きながら口を開く。


「ごめんなさい王子さま、わたしのせいで」


 自分が森にいかなければ、と幼いながらも自らを責めるシャロン。ライトニングはシャロンの頭を撫でて眉を下げた。


「何を言っている。それを言い出したら、お前に梟を与えた私が悪いということになるではないか。
 大方、地面に埋まってるミミズでも探しに来たのだろう?お前は善意でここに来たのだ、気にするでない」

「王子さま……」


 ライトニングは再び立ち上がり、振り向いてリュドウィックを睨み付ける。


「お可哀想な第三王子のために、ネタバラシをしましょう。ここに集まっている黒犬共は、対雷・合成獣アンチ・ローザリオン・ハウンドと呼ばれ、帝国が秘密裏に開発している雷の影響を受けない人工的な魔獣となります」

「……人工的な魔獣だと?」


 ライトニングは眉を顰め動揺を見せた。
 見たこともないグロテスクな黒犬達に視線を移すライトニング。目が外れ、顔のパーツが激しくずれている姿を見ると、目を背けたくなる衝動に駆られる。


「ベースになっているのはただの犬ですが、帝国の研究者が改良を重ねてようやく完成させた合成獣キメラです」

「命を愚弄しおって」


 ライトニングはギリっと歯を食いしばり怒りを見せるも、リュドウィックはそのまま話を続ける。


「私はね、ライトニング王子。元々研究者を目指していたのです。国に仇なす奴等に報いるための研究を。
 しかし、研究論文はどれも倫理観の欠如だと言われ認められなかった。だから私は研究者の道を諦めたのです」


 リュドウィックは暗い表情でライトニングを見下ろし、呆れた笑みを見せた。


「王子、貴方のような平和ボケした鈍感な奴がこの国には多すぎる。だから私のような研究は日の目を見ることなく淘汰され、私はただの執事として存在するしか無くなった」

「当たり前だ。こんな研究、反吐が出る」


 ライトニングは杖を持ってリュドウィックに向けると、リュドウィックは真顔になる。


「ライトニング王子……“世間知らずで鈍感な王子”と陰口を言われているだけある。おそらくここにいるのが貴方ではなくアレクサンダー王子であれば、この状況にいち早く気付き先手を打って相手を圧倒するはずです。
 そもそも相手がアレクサンダー王子であれば、私はここまでお喋りにはなりません。なぜだか分かりますか?」


 アレクサンダーは戦闘能力が高いこともあるが、鋭い洞察力と推理力、そして国政に関しても群を抜いた統率力を見せる、まさしく次期国王“雷帝”の器として崇められていた。
 さすがのリュドウィックも、アレクサンダーに対してはこんな風に余裕を見せることはしないと言い張り、ライトニングは悔しそうに表情を歪めた。


「アレク兄様が私より遥かに強いことは分かっている……そうか、お前は私を殺すつもりなのだな」


 ライトニングが低い声でそう言うと、リュドウィックは大きな声で嗤い始める。


「貴方にしては察しがいい!まさしくそうです!私の研究がどれだけ王族に通用するか、手始めに試させてください……“閃雷のライトニング”!」

「帝国軍がつけた名前で私を呼ぶな!そこまで堕ちたかリュドウィック!!!」


 帝国軍は、ローザリオンの王族で雷の能力に目覚めた者は特性が分かりやすいように独自の呼び方をする。
 例えば、第一王子であれば“降雷のアレクサンダー”、第一王女であれば“放雷のソフィア”と呼ばれており、第三王子は“閃雷のライトニング”と呼ばれ、そう呼ぶのは帝国側と決まっていた。
 

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