十年越しの恋心、叶えたのは毒でした。

碓氷雅

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願うは易く、叶うは難し

#3

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 思い続けた相手にキスを、それも煽情的なキスをされれば当然身体は反応するわけで。どうしてこうも身体は即物的なのかと、一瞬だけ恥ずかしくなった。

「脱がしても…いいね?」

 再び頷く。立てとコマンドを言われ、慣れた手つきでスラックスを抜きとられた。

Look見ろ

 ばちりと視線がぶつかる。下着の腰ゴムに手をかけられ思わず反射的に目を閉じた。

「高橋、Look見ろ
「…っ」

 入間の視線は高橋を離さず、そのまま下着も投げられる。兆したそれにゴムが引っかかった時は顔が火を吹くかと思った。涼しい顔の入間はここに座れと自らの腿を叩く。ソファーの背に手を置いて、腰を下ろした。

「さっき、命令聞けなかったね」
「ごめ、なさ…い」
「次はちゃんとできるな?」

 勢いよく首を縦に振った。

「じゃあ、いいっていうまでイくの我慢な」

 入間の手が高橋のそれを包む。掌が驚くほど大きくて、温かくて心地いい。すでにローションがいらないほどにカウパーで濡れそぼっているそれを、ゆるゆるとしごかれた。

「んぁっ…んっ」

 小さすぎる快感は視界が邪魔でさらに遠い。少しでも拾おうと腰が意図せず揺れる。目は閉じそうになるたびにこらえた。まだ、Lookのコマンドは続いている。

「腰、揺れてるね。気持ちいい?」
「ん…でも、足りない」
「どうして欲しい?」
「もっと、強く…してください」
「Good!」

 腹につくほどそそり立ったそれを、入間の手がすっぽりと隠してしまう。先端のくびれを擦られ感じれば、指は陰嚢をまさぐられる。とにかく触れていないところがない。もう片方の手は高橋の首の後ろにある。後ろに倒れないようにしてくれているのだろう。

 目には涙が溜まって、視界が揺れる。入間が八重歯を見せてにやりと口角を上げた。

「あ、やぁっ」

 途端、根元を強く握った手はそのまま先までスライドする。一気に鳥肌が立った。

「い…く。イ、いきたい…です」
「…」

 聞こえていないのか入間は射精へと促す手を止めない。でも、我慢しなければ。それが今の命令コマンドだから。

「入間さんっ…イかせて、くださ…」
わたる
「え…」
「渉だ」
「あ、あっ…わたるさん。コマンド…くださいっ」
「うん。そのままだよ。私を見たまま。…Cumイけ
「や、あっ…っ」

 背にピリピリと何かが走る。快感で頭が真っ白になった。完全に脱力して、顔が入間の胸に突っ込む。ぼうっとする頭を大きな手が優しくなでた。

「可愛かった。よくできたね。いい子だ」
「ん…」

 吐精の余韻が身体に響いて、入間の声も身体を震わせる。冷めない興奮の中、入間の言葉はだんだんと遠くなっていった。
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