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11 パトリシアとの対面
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パトリシアとのお茶会の準備が出来るまで部屋で待機する事になった。
私は先程まで読んでいた本を開いて続きを読み出す。
半分くらい読み進んだ所で扉がノックされてモーガンが顔を見せた。
「お待たせいたしました、ジェシカ様。ご案内いたします」
私は本をテーブルの上に置くとモーガンの後について歩き出す。
私の後ろをついて歩くのは先程から私の世話をしてくれている侍女だ。
モーガンによると私付きの侍女で名前はアンナと言うらしい。
廊下に出てすぐの向かい側にある扉が開かれ、そこから庭園の間を歩くための石畳が敷かれている。
そこを歩きながら庭園を進んで行くと前方に四阿が見えて、誰かが座っているのが確認出来た。
…ところで、貴族に挨拶するのってカーテシーだっけ?
前世で読んだ小説などでそういう知識はあるけれど、実際にどうやるのかまでは理解していない。
変に知ったかぶりをしたところで、メッキが剥がれるのは目に見えている。
ここは無難にお辞儀だけをした方がいいだろう。
四阿の前で立ち止まるとモーガンがスッと手を胸に当ててお辞儀をする。
「パトリシア様、ジェシカ様をお連れしました」
モーガンが脇に避けたので、私の目線の先にパトリシアが見える。
私はペコリと頭を下げた。
「はじめまして、ジェシカです」
しばらく頭を下げた後、恐る恐る頭を上げると、冷たい視線を向けられた。
「とりあえずそこにお座りなさい」
パトリシアの向かいの席を勧められて、私はもう一度ペコリとお辞儀をして席に座った。
パトリシアの後ろに控えていた侍女が私の前にお茶を置いて下がっていく。
「いただきます」
私が一口お茶を飲んだのを見届けるとパトリシアが話しかけてくる。
「あなたはどこまでこの家の事を聞いているのかしら?」
私、というか本当のジェシカがどこまで父親の家の事を知っていたかと聞きたいのだろう。
だが、ジェシカは自分の父親の実家が公爵家だとは聞いていないはずだ。
もし聞かされていたのならば、両親が亡くなった時点で公爵家を頼ったに違いない。
「いえ、何も聞いていません。あの時もお父さんの実家に行くとしか聞いていませんでした」
あの時とはジェシカの両親が王都に行くと言って出かけた際、盗賊に襲われて亡くなった時の事だ。
公爵家でもジェシカの両親を探す際に亡くなった理由を把握しているはずだ。
それを聞いてパトリシアはこめかみに手をやるとふるふると首を振った。
「この家に無心に来るつもりだったのね。本当にどこまでも恥知らずな人だわ。妻である私を蔑ろにした挙げ句に、お金をせびりに来ようとするなんてね。あなたのお父様が私と結婚していたなんて聞いてもいなかったんでしょうね」
「はい。ただお母さんとの結婚を反対されたから駆け落ちをしてきたとしか聞いていません」
実際にジェシカはそれしか聞かされていなかったのだから嘘ではない。
「ダグラスもせめて自分の実家がどこなのかをあなたに教えておくべきだったのにね。そうすればダグラス達が亡くなった後、あなたが孤児院に入らずに済んだのに…。最もダグラス達も盗賊に襲われて死ぬなんて思ってもみなかったのでしょうけれど」
…あれ?
その言い方だと、ジェシカが父親の実家がここだと知っていたら受け入れたと言っているように聞こえるんだけど…。
「…あの、もしかして、私をこの家に引き取るつもりがあったんですか?」
恐る恐る尋ねるとパトリシアはキョトンとした顔をする。
「当たり前でしょう。この公爵家の血を引いた娘ですからね。大体、あの二人は駆け落ちなんてする必要はなかったのよ。流石に離婚には応じられなかったけれどね。別邸に二人で住んで公式の場だけ私と出席してくれれば良かったのに…。勝手に二人で盛り上がっちゃって悲劇の主人公ぶって出ていったのよ」
えっ? 何それ?
思わずまじまじとパトリシアの顔を見つめると、パトリシアは盛大なため息をついた。
「私もお義父様もお義母様も、どうせすぐに戻って来るとたかをくくっていたわ。だってダグラスは自分で働いた事なんてなかったもの。それなのに一向に戻って来る気配が無かったからそのまま放置しておいたのだけれど、まさか亡くなっていたとはね」
…この家の人達の感覚ってちょっとズレてない?
黙ってお茶を飲んでいると、突然パトリシアはドン、とテーブルを叩いた。
「私がハミルトンを産んだ時、ダグラスったらなんて言ったと思う? 『僕は女の子が欲しかったな』なんて言ったのよ! 私は頑張って跡継ぎを産んだって言うのに酷いと思わない!」
…このお茶、お酒なんて入っていないよね?
私は先程まで読んでいた本を開いて続きを読み出す。
半分くらい読み進んだ所で扉がノックされてモーガンが顔を見せた。
「お待たせいたしました、ジェシカ様。ご案内いたします」
私は本をテーブルの上に置くとモーガンの後について歩き出す。
私の後ろをついて歩くのは先程から私の世話をしてくれている侍女だ。
モーガンによると私付きの侍女で名前はアンナと言うらしい。
廊下に出てすぐの向かい側にある扉が開かれ、そこから庭園の間を歩くための石畳が敷かれている。
そこを歩きながら庭園を進んで行くと前方に四阿が見えて、誰かが座っているのが確認出来た。
…ところで、貴族に挨拶するのってカーテシーだっけ?
前世で読んだ小説などでそういう知識はあるけれど、実際にどうやるのかまでは理解していない。
変に知ったかぶりをしたところで、メッキが剥がれるのは目に見えている。
ここは無難にお辞儀だけをした方がいいだろう。
四阿の前で立ち止まるとモーガンがスッと手を胸に当ててお辞儀をする。
「パトリシア様、ジェシカ様をお連れしました」
モーガンが脇に避けたので、私の目線の先にパトリシアが見える。
私はペコリと頭を下げた。
「はじめまして、ジェシカです」
しばらく頭を下げた後、恐る恐る頭を上げると、冷たい視線を向けられた。
「とりあえずそこにお座りなさい」
パトリシアの向かいの席を勧められて、私はもう一度ペコリとお辞儀をして席に座った。
パトリシアの後ろに控えていた侍女が私の前にお茶を置いて下がっていく。
「いただきます」
私が一口お茶を飲んだのを見届けるとパトリシアが話しかけてくる。
「あなたはどこまでこの家の事を聞いているのかしら?」
私、というか本当のジェシカがどこまで父親の家の事を知っていたかと聞きたいのだろう。
だが、ジェシカは自分の父親の実家が公爵家だとは聞いていないはずだ。
もし聞かされていたのならば、両親が亡くなった時点で公爵家を頼ったに違いない。
「いえ、何も聞いていません。あの時もお父さんの実家に行くとしか聞いていませんでした」
あの時とはジェシカの両親が王都に行くと言って出かけた際、盗賊に襲われて亡くなった時の事だ。
公爵家でもジェシカの両親を探す際に亡くなった理由を把握しているはずだ。
それを聞いてパトリシアはこめかみに手をやるとふるふると首を振った。
「この家に無心に来るつもりだったのね。本当にどこまでも恥知らずな人だわ。妻である私を蔑ろにした挙げ句に、お金をせびりに来ようとするなんてね。あなたのお父様が私と結婚していたなんて聞いてもいなかったんでしょうね」
「はい。ただお母さんとの結婚を反対されたから駆け落ちをしてきたとしか聞いていません」
実際にジェシカはそれしか聞かされていなかったのだから嘘ではない。
「ダグラスもせめて自分の実家がどこなのかをあなたに教えておくべきだったのにね。そうすればダグラス達が亡くなった後、あなたが孤児院に入らずに済んだのに…。最もダグラス達も盗賊に襲われて死ぬなんて思ってもみなかったのでしょうけれど」
…あれ?
その言い方だと、ジェシカが父親の実家がここだと知っていたら受け入れたと言っているように聞こえるんだけど…。
「…あの、もしかして、私をこの家に引き取るつもりがあったんですか?」
恐る恐る尋ねるとパトリシアはキョトンとした顔をする。
「当たり前でしょう。この公爵家の血を引いた娘ですからね。大体、あの二人は駆け落ちなんてする必要はなかったのよ。流石に離婚には応じられなかったけれどね。別邸に二人で住んで公式の場だけ私と出席してくれれば良かったのに…。勝手に二人で盛り上がっちゃって悲劇の主人公ぶって出ていったのよ」
えっ? 何それ?
思わずまじまじとパトリシアの顔を見つめると、パトリシアは盛大なため息をついた。
「私もお義父様もお義母様も、どうせすぐに戻って来るとたかをくくっていたわ。だってダグラスは自分で働いた事なんてなかったもの。それなのに一向に戻って来る気配が無かったからそのまま放置しておいたのだけれど、まさか亡くなっていたとはね」
…この家の人達の感覚ってちょっとズレてない?
黙ってお茶を飲んでいると、突然パトリシアはドン、とテーブルを叩いた。
「私がハミルトンを産んだ時、ダグラスったらなんて言ったと思う? 『僕は女の子が欲しかったな』なんて言ったのよ! 私は頑張って跡継ぎを産んだって言うのに酷いと思わない!」
…このお茶、お酒なんて入っていないよね?
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