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57 買い物
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「フェリシア様、この中でお気に召したものがあるかしら?」
パトリシアが私に向かって小首をかしげる。
…良かった、これ全部買うんじゃないみたい。
だけどきっと、一つ二つだけじゃ許してもらえないわね。
それを見越したかのようにパトリシアが私に釘を刺す。
「フェリシア様、せめて半分は選んでくださいね。他に気に入ったのがあったのでしたら、また出してもらいますよ」
一旦しまったアタッシュケースをまた出させるなんて事は出来ないわ。
大体それほど気になった物なんてなかったのよね。
王族としての品位を失わなければ、どんな宝飾品でも構わないわ。
「大丈夫ですわ、叔母様。この中から選ばせていただきます」
そう言ってきっちり半分だけ選んだのだけど、パトリシアは納得してくれなかったわ。
「フェリシア様、それでは少なすぎですわ。後はこれとこれを、それからこれも…」
結局パトリシアが選んだ宝飾品の三分の一は購入する事になってしまった。
一体いくらかかったのか知らないけれど、これでこの国の財政が傾いたりしないわよね。
商人達が退出すると私はようやくホッとした。思っていたよりも神経が張り詰めていたようだ。
「お疲れ様でしたわ、フェリシア様」
「叔母様もお疲れ様でした。わざわざ王宮まで来て頂いて…」
「構いませんわ。公爵家では結局フェリシア様とドレス選びも何も出来ませんでしたからね」
…確かにそうだわ。
ハミルトンとは買い物に出かけたけれど、パトリシアとは結局食事しか一緒に出来なかった。
パトリシアの退室を見送ると、私も自室へ戻る事にした。
テーブルの上の宝飾品はアガサが宝石箱に詰めて他の侍女に持たせた。
私はアガサの後を付いて歩くが、流石に広過ぎる王宮にどこをどう通って来たのかさっぱりわからない。
プライベートゾーンに戻れば大丈夫だろうけれど、そこに行き着くまでが苦労しそうだわ。
やがてプライベートゾーンへの入り口が見えてきて、ホッと息を吐く。
この王宮の中でどれだけの人に出会って頭を下げられただろうか。
自室に入る直前に誰かの視線を感じてふとそちらに顔を向けたが、誰もいなかった。
…気の所為だったかしら?
訝しく思いながらも部屋に入ってソファーに腰を下ろす。
宝飾品はアガサと侍女が隣の部屋に片付けに行った。
「お疲れ様でした。夕食の時間までは間がありますのでしばらくこちらでお待ちください」
アガサが他の侍女達を連れて退室すると、ようやく肩の荷が下りたような気分になった。
まだ王宮に来て半日しか過ぎていないのに、こんな調子で大丈夫なのかしら?
本棚にあった魔法についての本を読みふけっていると、ノックの音が鳴り響いた。
「はい」
「フェリシア様、お食事の支度が整いました。食堂までご案内いたします」
アガサの声に私は本をテーブルの上に置くと立ち上がって、扉の方に歩き出した。
午前中に食堂の場所は教えてもらっていたけれど、一人でウロウロするものじゃないみたい。
私がノブに手をかけるより先に扉が開かれて、アガサが軽く頭を下げる。
食堂に入ったが、お父様もお兄様もまだ来ていないようだった。
「陛下とユージーン様は間もなく来られると思います。今しばらくお待ちくださいませ」
二人共、お仕事をしているのだから遅れるのは仕方がないわね。
けれどそれほど待たされる事もなく、足音が近付いて来て、お父様とお兄様が先を争うように食堂に入って来た。
「フェリシア、待たせたかな? これでも急いで来たんだが…」
「父上はまだ仕事が終わっていないんじゃなかったですか? 文官が何か喚いてましたよ」
「何を言う。ユージーンだって文官に呼び止められてなかったか?」
…つまり二人共、仕事を放り出してきたって事なの?
アガサや周りの使用人達が微妙な顔をしているけれど、どう対処したらいいのかしら?
パトリシアが私に向かって小首をかしげる。
…良かった、これ全部買うんじゃないみたい。
だけどきっと、一つ二つだけじゃ許してもらえないわね。
それを見越したかのようにパトリシアが私に釘を刺す。
「フェリシア様、せめて半分は選んでくださいね。他に気に入ったのがあったのでしたら、また出してもらいますよ」
一旦しまったアタッシュケースをまた出させるなんて事は出来ないわ。
大体それほど気になった物なんてなかったのよね。
王族としての品位を失わなければ、どんな宝飾品でも構わないわ。
「大丈夫ですわ、叔母様。この中から選ばせていただきます」
そう言ってきっちり半分だけ選んだのだけど、パトリシアは納得してくれなかったわ。
「フェリシア様、それでは少なすぎですわ。後はこれとこれを、それからこれも…」
結局パトリシアが選んだ宝飾品の三分の一は購入する事になってしまった。
一体いくらかかったのか知らないけれど、これでこの国の財政が傾いたりしないわよね。
商人達が退出すると私はようやくホッとした。思っていたよりも神経が張り詰めていたようだ。
「お疲れ様でしたわ、フェリシア様」
「叔母様もお疲れ様でした。わざわざ王宮まで来て頂いて…」
「構いませんわ。公爵家では結局フェリシア様とドレス選びも何も出来ませんでしたからね」
…確かにそうだわ。
ハミルトンとは買い物に出かけたけれど、パトリシアとは結局食事しか一緒に出来なかった。
パトリシアの退室を見送ると、私も自室へ戻る事にした。
テーブルの上の宝飾品はアガサが宝石箱に詰めて他の侍女に持たせた。
私はアガサの後を付いて歩くが、流石に広過ぎる王宮にどこをどう通って来たのかさっぱりわからない。
プライベートゾーンに戻れば大丈夫だろうけれど、そこに行き着くまでが苦労しそうだわ。
やがてプライベートゾーンへの入り口が見えてきて、ホッと息を吐く。
この王宮の中でどれだけの人に出会って頭を下げられただろうか。
自室に入る直前に誰かの視線を感じてふとそちらに顔を向けたが、誰もいなかった。
…気の所為だったかしら?
訝しく思いながらも部屋に入ってソファーに腰を下ろす。
宝飾品はアガサと侍女が隣の部屋に片付けに行った。
「お疲れ様でした。夕食の時間までは間がありますのでしばらくこちらでお待ちください」
アガサが他の侍女達を連れて退室すると、ようやく肩の荷が下りたような気分になった。
まだ王宮に来て半日しか過ぎていないのに、こんな調子で大丈夫なのかしら?
本棚にあった魔法についての本を読みふけっていると、ノックの音が鳴り響いた。
「はい」
「フェリシア様、お食事の支度が整いました。食堂までご案内いたします」
アガサの声に私は本をテーブルの上に置くと立ち上がって、扉の方に歩き出した。
午前中に食堂の場所は教えてもらっていたけれど、一人でウロウロするものじゃないみたい。
私がノブに手をかけるより先に扉が開かれて、アガサが軽く頭を下げる。
食堂に入ったが、お父様もお兄様もまだ来ていないようだった。
「陛下とユージーン様は間もなく来られると思います。今しばらくお待ちくださいませ」
二人共、お仕事をしているのだから遅れるのは仕方がないわね。
けれどそれほど待たされる事もなく、足音が近付いて来て、お父様とお兄様が先を争うように食堂に入って来た。
「フェリシア、待たせたかな? これでも急いで来たんだが…」
「父上はまだ仕事が終わっていないんじゃなかったですか? 文官が何か喚いてましたよ」
「何を言う。ユージーンだって文官に呼び止められてなかったか?」
…つまり二人共、仕事を放り出してきたって事なの?
アガサや周りの使用人達が微妙な顔をしているけれど、どう対処したらいいのかしら?
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