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58 夕食の席で
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食事中に誰かがお父様とお兄様を呼びに来るかも、と思っていたけれどそんな事もなく淡々と食事が進んでいく。
「ドレスの注文は滞りなく終わったようだね。宝飾品も選び終わったと公爵夫人から報告を受けているよ」
食後のお茶を飲みながら、お父様がニコニコと私に笑いかける。
「はい。叔母様に来て頂いて大変助かりました。お父様が呼んでくださったのですか?」
「ああ。王宮にはフェリシアに寄り添えるような女性がいないからね。アガサに世話を頼んでいるが、ドレスやアクセサリーを選ぶような立場の人間ではないだろう? 数日とはいえ、フェリシアと一緒に過ごした公爵夫人の方が適任だと思ったんだ」
その言葉の裏には亡くなった王妃様の事も含まれているのだろう。
万が一、王妃様が生きているうちに私が見つかったら、王妃様は全力で私を拒否したに違いないものね。
「公爵夫人に渡した手紙には『ハミルトンには内緒で』って書き加えておいたんだ。僕が一緒にいられないのに、あいつだけフェリシアと一緒にいるのは癪に障るからね」
…なるほど。
ハミルトンのお留守番はパトリシアだけでなく、お兄様の策略でもあったわけね。
「そういえば、叔母様から聞いたのですが、私のお披露目を二週間後に行うと言うのは本当ですか?」
何も聞かされていないという抗議の意味を込めて尋ねてみれば、お父様は少し渋ったような顔をした。
「ああ、そうだ。本当はもう少し早くしたかったのだが、王妃の葬儀がまだ終わっていないからな。ブライアンが許してくれなかったんだよ」
「僕だって早くフェリシアを皆に紹介したいんだけれど、こればっかりは仕方がないよね。だけどフェリシアをお披露目すると、結婚の申し込みが殺到しそうでちょっと嫌だな」
お父様とお兄様の会話を聞いて私は頭を抱えたくなった。
いくら仲が悪かったとはいえ、お父様にとっては自分の妻であり、お兄様にとっては実の母親なのに、どうしてそんなにも冷たい対応が出来るんだろう。
会った事もないし、顔も知らない王妃様だけれど、夫と息子にここまで嫌われている事に同情したくなった。
「お父様もお兄様も、亡くなられた方に対してあまりにも冷た過ぎではありませんか? 私がその方なら化けて出たくなりますよ」
私の強い口調にお父様とお兄様はちょっとバツが悪そうな顔をした。
「すまない。フェリシアを不快にさせるつもりはなかったんだ。私にも非があったとはいえ、アイリスを追放した王妃には不満を持っていたからね。だけど亡くなった人の事をいつまでもとやかく言うのはやめないといけないな」
「ごめんよ、フェリシア。僕も母上に対して不満があったんだ。だけどそれは結局僕に見向きもしない母上にただ反発していただけなのかもしれない。僕に愛情はなかったにしても、僕を産んでくれた事には感謝をしなくてはいけないな」
お父様とお兄様が反省の弁を口にした事で、私の気持ちも少しは収まった。
「お二人の気持ちはわかりました。私の事を大事に思ってくださるのは嬉しいけれど、その何分の一かでも王妃様の事を思ってあげてください。お父様、私も葬儀に参列してよろしいですか?」
お父様は一瞬、目をパチクリとさせたが、すぐにコクリと頷いた。
「フェリシアが参列したいのならば構わないぞ。葬儀用のドレスも追加するように伝えておこう」
お父様が視線を向けた先にはアガサが立っていた。
アガサは「承りました」とばかりに頭を下げている。
明日の朝には仕立て屋に連絡が行って、速攻で葬儀用のドレスを仕立てるようになるのだろう。
…余計な仕事を増やしてしまったみたいね。参列するって言わなきゃよかったかしら?
私は心の中で手を合わせて仕立て屋さんに謝罪しておいた。
「ドレスの注文は滞りなく終わったようだね。宝飾品も選び終わったと公爵夫人から報告を受けているよ」
食後のお茶を飲みながら、お父様がニコニコと私に笑いかける。
「はい。叔母様に来て頂いて大変助かりました。お父様が呼んでくださったのですか?」
「ああ。王宮にはフェリシアに寄り添えるような女性がいないからね。アガサに世話を頼んでいるが、ドレスやアクセサリーを選ぶような立場の人間ではないだろう? 数日とはいえ、フェリシアと一緒に過ごした公爵夫人の方が適任だと思ったんだ」
その言葉の裏には亡くなった王妃様の事も含まれているのだろう。
万が一、王妃様が生きているうちに私が見つかったら、王妃様は全力で私を拒否したに違いないものね。
「公爵夫人に渡した手紙には『ハミルトンには内緒で』って書き加えておいたんだ。僕が一緒にいられないのに、あいつだけフェリシアと一緒にいるのは癪に障るからね」
…なるほど。
ハミルトンのお留守番はパトリシアだけでなく、お兄様の策略でもあったわけね。
「そういえば、叔母様から聞いたのですが、私のお披露目を二週間後に行うと言うのは本当ですか?」
何も聞かされていないという抗議の意味を込めて尋ねてみれば、お父様は少し渋ったような顔をした。
「ああ、そうだ。本当はもう少し早くしたかったのだが、王妃の葬儀がまだ終わっていないからな。ブライアンが許してくれなかったんだよ」
「僕だって早くフェリシアを皆に紹介したいんだけれど、こればっかりは仕方がないよね。だけどフェリシアをお披露目すると、結婚の申し込みが殺到しそうでちょっと嫌だな」
お父様とお兄様の会話を聞いて私は頭を抱えたくなった。
いくら仲が悪かったとはいえ、お父様にとっては自分の妻であり、お兄様にとっては実の母親なのに、どうしてそんなにも冷たい対応が出来るんだろう。
会った事もないし、顔も知らない王妃様だけれど、夫と息子にここまで嫌われている事に同情したくなった。
「お父様もお兄様も、亡くなられた方に対してあまりにも冷た過ぎではありませんか? 私がその方なら化けて出たくなりますよ」
私の強い口調にお父様とお兄様はちょっとバツが悪そうな顔をした。
「すまない。フェリシアを不快にさせるつもりはなかったんだ。私にも非があったとはいえ、アイリスを追放した王妃には不満を持っていたからね。だけど亡くなった人の事をいつまでもとやかく言うのはやめないといけないな」
「ごめんよ、フェリシア。僕も母上に対して不満があったんだ。だけどそれは結局僕に見向きもしない母上にただ反発していただけなのかもしれない。僕に愛情はなかったにしても、僕を産んでくれた事には感謝をしなくてはいけないな」
お父様とお兄様が反省の弁を口にした事で、私の気持ちも少しは収まった。
「お二人の気持ちはわかりました。私の事を大事に思ってくださるのは嬉しいけれど、その何分の一かでも王妃様の事を思ってあげてください。お父様、私も葬儀に参列してよろしいですか?」
お父様は一瞬、目をパチクリとさせたが、すぐにコクリと頷いた。
「フェリシアが参列したいのならば構わないぞ。葬儀用のドレスも追加するように伝えておこう」
お父様が視線を向けた先にはアガサが立っていた。
アガサは「承りました」とばかりに頭を下げている。
明日の朝には仕立て屋に連絡が行って、速攻で葬儀用のドレスを仕立てるようになるのだろう。
…余計な仕事を増やしてしまったみたいね。参列するって言わなきゃよかったかしら?
私は心の中で手を合わせて仕立て屋さんに謝罪しておいた。
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