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64 葬儀
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別邸に通じる扉は王宮魔術師によって封印された。
扉には魔法陣が施され、誰にも開けられないようになった。
それ以来視線を感じる事は無くなり、私は穏やかな日々を過ごしている。
葬儀用のドレスも無事に仕上がってきて、いよいよ今日は王妃様の葬儀が行われる。
アガサをはじめとして侍女達が私にドレスを着せてくれた。
頭にはベールの付いた帽子を被せられ、レースの手袋までもはめている。
準備を整えて待っているとお父様とお兄様が支度を終えて私の部屋にやって来た。
「フェリシア、準備は出来たかい?」
「うわぁ、やっぱり黒も似合うね。流石はフェリシアだ」
何が「流石」なんだろう?
お兄様にわけのわからない褒められ方をされて、私は乾いた笑みを浮かべる。
左右をお父様とお兄様にエスコートされて私は王宮の廊下を歩いて行く。
こういう場合も「両手に花」って言うんだっけ?
イケオジとイケメンに挟まれて歩いている私は傍からどんなふうに見られているのかしら?
馬車止まりに辿り着くとそこには黒塗りの落ち着いた雰囲気の馬車が停まっていた。
お父様が先に乗り込み、馬車の中から私に手を差し伸べてくる。
その手に掴まって馬車に乗り込むと、すかさずお兄様が乗り込んで私の隣に腰掛けた。
それなりに広いけれど、流石に三人が並んで腰を下ろすには無理があるんじゃないかしら?
けれどそれをここで指摘すると面倒な事になりそうなのでやめておいた。
『君子危うきに近寄らず』って言うものね。
走り出した馬車はやがて教会へと到着した。
教会の片隅には平民用の献花台が設けてあり、人々が長蛇の列を作っていた。
王族用の出入り口に馬車が停まると教会関係者が私達を出迎えてくれた。
彼の後について礼拝堂に入ると既に大勢の貴族達が着席していた。
その中にハミルトンの姿が見えて、不謹慎だと思いつつも顔が緩みそうになった。
ベールで少し顔がわかりにくくて良かったかも。
私達が着席したのを合図に王妃様の葬儀が始まった。
祭壇に据えられた王妃様の棺の前で司祭様がお話をされる。
参列者の中には王妃様と親しかった方もおられるようで、時折どこからかすすり泣きが聞こえた。
お父様もお兄様もどこか鎮痛そうな表情を浮かべている。
仲が悪かったと言ってもやはり身近な人の死は辛いものがあるのだろう。
司祭様のお話が終わると次は一人ずつ棺に花を入れて王妃様にお別れを告げるようだ。
最初にお父様が立ち上がって、花を受け取ると王妃様の棺の所へ進んでいった。
お父様は棺の前に来るとじっと中に横たわっている王妃様を見つめている。
「ソフィアよ。こうしてお前の亡骸を前にすると、もっと話をするべきだったと後悔している。だが、それも今更な話だな。どうか安らかに眠ってくれ」
お父様は花を棺の中に入れると、王妃様の亡骸に触るような仕草を見せた。
お父様が自分の席に戻ると今度はお兄様が立ち上がって花を受け取った。
ツカツカと棺に近寄ったお兄様も棺の中の王妃様に目を向けた。
「母上、こうしてお顔を見るのも最後になりますね。小さい頃から疎まれて諦めてはいたけれど、やはりあなたの口から『愛している』と聞きたかった。僕はあなたのような親にはなりません。どうか安らかに眠ってください」
お兄様はやはり王妃様の愛情が欲しかったのね。
やっぱり実の親だもの、そう思うのは当然よね。
お兄様は自分の席に戻る時、私の気遣うような視線に気が付いて、少し唇の端を持ち上げた。
お兄様の次は私の番だ。
見知らぬ王妃様の棺に花を入れるなんて考えられないけれど、参列している以上、仕方がないわね。
私も立ち上がって花を受け取ると、王妃様の棺に近寄って行った。
棺の中に眠る王妃様の顔を初めて見たけれど、お兄様にそっくりだった。
お父様に似た子供が欲しかったのならば、お兄様を邪険にするのも頷けるわね。
花を棺に入れて一言述べようとしたその時。
王妃様の目が開いた!
扉には魔法陣が施され、誰にも開けられないようになった。
それ以来視線を感じる事は無くなり、私は穏やかな日々を過ごしている。
葬儀用のドレスも無事に仕上がってきて、いよいよ今日は王妃様の葬儀が行われる。
アガサをはじめとして侍女達が私にドレスを着せてくれた。
頭にはベールの付いた帽子を被せられ、レースの手袋までもはめている。
準備を整えて待っているとお父様とお兄様が支度を終えて私の部屋にやって来た。
「フェリシア、準備は出来たかい?」
「うわぁ、やっぱり黒も似合うね。流石はフェリシアだ」
何が「流石」なんだろう?
お兄様にわけのわからない褒められ方をされて、私は乾いた笑みを浮かべる。
左右をお父様とお兄様にエスコートされて私は王宮の廊下を歩いて行く。
こういう場合も「両手に花」って言うんだっけ?
イケオジとイケメンに挟まれて歩いている私は傍からどんなふうに見られているのかしら?
馬車止まりに辿り着くとそこには黒塗りの落ち着いた雰囲気の馬車が停まっていた。
お父様が先に乗り込み、馬車の中から私に手を差し伸べてくる。
その手に掴まって馬車に乗り込むと、すかさずお兄様が乗り込んで私の隣に腰掛けた。
それなりに広いけれど、流石に三人が並んで腰を下ろすには無理があるんじゃないかしら?
けれどそれをここで指摘すると面倒な事になりそうなのでやめておいた。
『君子危うきに近寄らず』って言うものね。
走り出した馬車はやがて教会へと到着した。
教会の片隅には平民用の献花台が設けてあり、人々が長蛇の列を作っていた。
王族用の出入り口に馬車が停まると教会関係者が私達を出迎えてくれた。
彼の後について礼拝堂に入ると既に大勢の貴族達が着席していた。
その中にハミルトンの姿が見えて、不謹慎だと思いつつも顔が緩みそうになった。
ベールで少し顔がわかりにくくて良かったかも。
私達が着席したのを合図に王妃様の葬儀が始まった。
祭壇に据えられた王妃様の棺の前で司祭様がお話をされる。
参列者の中には王妃様と親しかった方もおられるようで、時折どこからかすすり泣きが聞こえた。
お父様もお兄様もどこか鎮痛そうな表情を浮かべている。
仲が悪かったと言ってもやはり身近な人の死は辛いものがあるのだろう。
司祭様のお話が終わると次は一人ずつ棺に花を入れて王妃様にお別れを告げるようだ。
最初にお父様が立ち上がって、花を受け取ると王妃様の棺の所へ進んでいった。
お父様は棺の前に来るとじっと中に横たわっている王妃様を見つめている。
「ソフィアよ。こうしてお前の亡骸を前にすると、もっと話をするべきだったと後悔している。だが、それも今更な話だな。どうか安らかに眠ってくれ」
お父様は花を棺の中に入れると、王妃様の亡骸に触るような仕草を見せた。
お父様が自分の席に戻ると今度はお兄様が立ち上がって花を受け取った。
ツカツカと棺に近寄ったお兄様も棺の中の王妃様に目を向けた。
「母上、こうしてお顔を見るのも最後になりますね。小さい頃から疎まれて諦めてはいたけれど、やはりあなたの口から『愛している』と聞きたかった。僕はあなたのような親にはなりません。どうか安らかに眠ってください」
お兄様はやはり王妃様の愛情が欲しかったのね。
やっぱり実の親だもの、そう思うのは当然よね。
お兄様は自分の席に戻る時、私の気遣うような視線に気が付いて、少し唇の端を持ち上げた。
お兄様の次は私の番だ。
見知らぬ王妃様の棺に花を入れるなんて考えられないけれど、参列している以上、仕方がないわね。
私も立ち上がって花を受け取ると、王妃様の棺に近寄って行った。
棺の中に眠る王妃様の顔を初めて見たけれど、お兄様にそっくりだった。
お父様に似た子供が欲しかったのならば、お兄様を邪険にするのも頷けるわね。
花を棺に入れて一言述べようとしたその時。
王妃様の目が開いた!
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