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69 前日の夜
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明日は私のお披露目が行われるという前日の夜、いつものようにお父様とお兄様と一緒に夕食を取っていた。
「いよいよ、明日だな。ドレスも何とか間に合ったようで良かったな」
「全くですよ。だけど、明日のお披露目なんか止めて、ずっと王宮に閉じ込めておきたいと思いませんか、父上?」
「そうだな。それが出来れば一番良いんだが、世間がそれを許さないだろうな」
「本当ですよ。どうして妹がいるとわかった時点で、秘密裏に探さなかったのか後悔していますよ」
…お父様とお兄様のやり取りが不穏過ぎるんだけど、私このまま王宮に軟禁されたりしないわよね?
「お二人共、変な事を言うのは止めてください。そんな事をされるのなら、私は王宮を出ますよ」
私が少し困った顔を見せると、お父様とお兄様は慌てて私の機嫌を取り始めた。
「いやいや、フェリシア。僕達がそんな酷い事をするわけがないだろう」
「そうだよ、フェリシア。それだけ私達がフェリシアの事を大切に思っていると言いたいだけなんだよ」
確かに私の事を大切に思ってくれているのは十分に伝わっている。
忙しい中、私と過ごす時間を作る為に頑張って仕事をこなしているし、何事においても私を優先してくれる。
家族である事が判明してまだ半月しか経っていないのに、ここまでしてもらってもいいのかしら、と思うくらいだ。
それを言うならばアシェトン家でも、同じような扱いだったわね。
初めてハミルトンと顔を合わせた時はお互い反発するような態度をとってしまったけれど、その後は随分と気をつかってもらっていたみたい。
明日のお披露目ではきっと顔を合わせる事が出来るわね。
ハミルトンとダンスを踊れたら嬉しいんだけれど、お父様とお兄様が許してくれるかしらね。
食後のお茶も飲み終わって、私は自室に戻る事にした。
「お父様、お兄様。それではお先に失礼いたします」
席を立つと二人に向かって優雅にお辞儀をしてみた。
ちゃんとレッスン通りに出来ているかしら?
「フェリシア。明日に備えて今日は早目に休むといい」
「おやすみ、フェリシア。いい夢を見るんだよ」
お父様とお兄様に見送られて私はアガサを連れて食堂を後にした。
食堂から廊下に出て自室に向かって歩いていると、違和感を覚えて魔法陣を施した扉を振り返った。
あれ?
今、何かが…。
振り向くと扉に施された魔法陣が光っていた。
何故、光っているの?
側にいたアガサも驚いたような顔をしている。
「何故、魔法陣が光って…」
そう呟きながらもアガサは私を庇うように私の前に立ち塞がる。
光を放っている魔法陣が一際強く光ったかと思うと、輝きを失った。
すると、開かないはずの扉が、ゆっくりと左右に分かれて開いていく。
開いた扉の向こうは真っ暗闇で何も見えない。
その暗闇の中から、真っ黒なローブに身を包んで、フードで顔を隠した人物が姿を現した。
コツコツと靴音を響かせながら、その人物は迷う事なく私に向かって歩いてくる。
ジリジリと私とアガサが後ずさりする中、その人物は私達の前でピタリと足を止めた。
至近距離になってようやく私はフードの中の顔を確認する事が出来た。
「あなたは、王妃様の…」
目の前に立っているのは王妃様の侍女のミランダだった。
ミランダはフードの中から私を能面のような表情で見つめている。
「ミランダ! フェリシア様に対して無礼ですよ! 大体、どうしてあなたが魔法陣を… グッ!」
アガサがミランダに詰め寄ったが、途中でミランダに首を抑えられてしまった。
アガサが必死で逃れようとしても、どこにそんな力があるのか、ミランダはなおも片手でアガサの首を締め付ける。
やがてアガサはぐったりとその場に崩れ落ちた。
「大丈夫、気を失っただけよ。私の目的はあなただけだもの」
その場に立ち尽くす私にミランダが、ニイッと唇を歪ませた。
「いよいよ、明日だな。ドレスも何とか間に合ったようで良かったな」
「全くですよ。だけど、明日のお披露目なんか止めて、ずっと王宮に閉じ込めておきたいと思いませんか、父上?」
「そうだな。それが出来れば一番良いんだが、世間がそれを許さないだろうな」
「本当ですよ。どうして妹がいるとわかった時点で、秘密裏に探さなかったのか後悔していますよ」
…お父様とお兄様のやり取りが不穏過ぎるんだけど、私このまま王宮に軟禁されたりしないわよね?
「お二人共、変な事を言うのは止めてください。そんな事をされるのなら、私は王宮を出ますよ」
私が少し困った顔を見せると、お父様とお兄様は慌てて私の機嫌を取り始めた。
「いやいや、フェリシア。僕達がそんな酷い事をするわけがないだろう」
「そうだよ、フェリシア。それだけ私達がフェリシアの事を大切に思っていると言いたいだけなんだよ」
確かに私の事を大切に思ってくれているのは十分に伝わっている。
忙しい中、私と過ごす時間を作る為に頑張って仕事をこなしているし、何事においても私を優先してくれる。
家族である事が判明してまだ半月しか経っていないのに、ここまでしてもらってもいいのかしら、と思うくらいだ。
それを言うならばアシェトン家でも、同じような扱いだったわね。
初めてハミルトンと顔を合わせた時はお互い反発するような態度をとってしまったけれど、その後は随分と気をつかってもらっていたみたい。
明日のお披露目ではきっと顔を合わせる事が出来るわね。
ハミルトンとダンスを踊れたら嬉しいんだけれど、お父様とお兄様が許してくれるかしらね。
食後のお茶も飲み終わって、私は自室に戻る事にした。
「お父様、お兄様。それではお先に失礼いたします」
席を立つと二人に向かって優雅にお辞儀をしてみた。
ちゃんとレッスン通りに出来ているかしら?
「フェリシア。明日に備えて今日は早目に休むといい」
「おやすみ、フェリシア。いい夢を見るんだよ」
お父様とお兄様に見送られて私はアガサを連れて食堂を後にした。
食堂から廊下に出て自室に向かって歩いていると、違和感を覚えて魔法陣を施した扉を振り返った。
あれ?
今、何かが…。
振り向くと扉に施された魔法陣が光っていた。
何故、光っているの?
側にいたアガサも驚いたような顔をしている。
「何故、魔法陣が光って…」
そう呟きながらもアガサは私を庇うように私の前に立ち塞がる。
光を放っている魔法陣が一際強く光ったかと思うと、輝きを失った。
すると、開かないはずの扉が、ゆっくりと左右に分かれて開いていく。
開いた扉の向こうは真っ暗闇で何も見えない。
その暗闇の中から、真っ黒なローブに身を包んで、フードで顔を隠した人物が姿を現した。
コツコツと靴音を響かせながら、その人物は迷う事なく私に向かって歩いてくる。
ジリジリと私とアガサが後ずさりする中、その人物は私達の前でピタリと足を止めた。
至近距離になってようやく私はフードの中の顔を確認する事が出来た。
「あなたは、王妃様の…」
目の前に立っているのは王妃様の侍女のミランダだった。
ミランダはフードの中から私を能面のような表情で見つめている。
「ミランダ! フェリシア様に対して無礼ですよ! 大体、どうしてあなたが魔法陣を… グッ!」
アガサがミランダに詰め寄ったが、途中でミランダに首を抑えられてしまった。
アガサが必死で逃れようとしても、どこにそんな力があるのか、ミランダはなおも片手でアガサの首を締め付ける。
やがてアガサはぐったりとその場に崩れ落ちた。
「大丈夫、気を失っただけよ。私の目的はあなただけだもの」
その場に立ち尽くす私にミランダが、ニイッと唇を歪ませた。
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