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70 襲撃
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私が目的?
一体私に何をしようと言うのだろう?
王妃様が生きているのならば、「王妃様の為に」と言って私を排除しようとしてもおかしくはない。
けれど、既に王妃様は亡くなっていて、先日葬儀も済ませたばかりだ。
ミランダもその葬儀に参列していたのだから、今更私を排除しようとしても無意味だと思う。
ミランダの考えがわからずに私はその場から逃げようと後ずさりをした。
「あらあら、何処へ行くのかしら? あなたに用があると言っているでしょ」
ミランダの目が妖しく光ると何故か私の身体は硬直して動けなくなった。
手はだらんと垂れ下がり、直立不動の形になる。
「今、何をしたの?」
身体の自由は効かなくても話す事は出来るようだ。
だけどどうして身体の自由が奪われたのかがわからない。
ミランダはわずかに口角を上げるが、目はまったく笑っていない。
「こう見えても私は魔法が得意なの。あなたの身体の自由を奪わせてもらったわ」
ミランダが魔法が得意?
それならば王妃様の侍女ではなくて、王宮魔術師になれるはずだ。
どうして魔術師にならずに王妃様の侍女になったのだろう?
「あら、私が魔術師にならずに侍女をやっているのが不思議みたいね。理由は簡単。侍女になれば王族の人間に近付き易いでしょ。おかげで色々と楽しませてもらったわ」
ミランダの言う「楽しませて」は良い意味で使っていないわね。
一体何を楽しませてもらったと言うのだろうか?
「そろそろあの二人が出て来る頃ね。…さあ、こっちに来なさい」
ミランダは私の首に腕を回すと、グイッと自分の方に引き寄せた。
自分で身体を動かす事が出来ないのに、ミランダの思い通りにされているのが口惜しい。
ミランダにもたれかかるような形で首を羽交い締めにされている。
首を傾けた状態なので視界も斜めのまま、廊下を見ていると、食堂の扉が開いてお父様とお兄様が出て来た。
「……!」
さっきまで喋れていたのに、お父様達を呼ぼうとしたら声が出せなくなっていた。
「もう、お喋りの時間は終わりよ。そこで大人しくしてなさい」
ミランダの冷たい声が私の頭の上から聞こえてくる。
お父様とお兄様は何やら話しながら歩いていて、こちらの様子には気付かないようだ。
「何だ? フェリシアか?」
ようやくこちらの異変に気付いたお兄様が慌てたようにこちらに駆け寄ってくる。
お父様も少し遅れてお兄様のあとから走り出した。
「止まりなさい! それ以上近付いたらフェリシアの顔に傷が付くわよ」
いつの間にかミランダの手にはナイフが握られていて、その切っ先が私の頬に触れていた。
私とミランダから数メートル離れた場所でお父様とお兄様が立ち止まる。
二人はそこまで近付いた事で、黒いフードを被っている人物が誰なのか気付いたようだ。
「お前はミランダ! 一体何をしている。今すぐフェリシアを離すんだ!」
お父様がミランダに命令するが、そんなものに従うわけがない。
ミランダはお父様の命令を鼻で笑った。
「そんな命令、聞くわけがないでしょ。王族だからって威張らないでほしいわ」
お父様はグッと詰まったが、今度は声を和らげてミランダに話しかけた。
「何が望みだ? 金か? 地位か? 何でも望みの物をやるからフェリシアを離してくれ。明日はフェリシアのお披露目なんだ。だからフェリシアを傷付けるのは止めてくれ。お願いだ」
お父様の言葉を聞いたミランダが、私の首に回した腕に更に力を込めた。
「!」
苦しい、首が締まる!
ミランダの腕を振りほどこうにも、指一本動かす事が出来ない。
「ミランダ! フェリシアが死んでしまう! 腕を緩めてくれ!」
お兄様の悲痛な叫びに、ハッとしたようにミランダが腕の力を緩めた。
何とか息が出来るようになったが、安堵したせいか、涙がポロポロと溢れる。
「私が欲しいのはお金でも地位でもない、あなたの命よ。お兄様」
お兄様?
一体私に何をしようと言うのだろう?
王妃様が生きているのならば、「王妃様の為に」と言って私を排除しようとしてもおかしくはない。
けれど、既に王妃様は亡くなっていて、先日葬儀も済ませたばかりだ。
ミランダもその葬儀に参列していたのだから、今更私を排除しようとしても無意味だと思う。
ミランダの考えがわからずに私はその場から逃げようと後ずさりをした。
「あらあら、何処へ行くのかしら? あなたに用があると言っているでしょ」
ミランダの目が妖しく光ると何故か私の身体は硬直して動けなくなった。
手はだらんと垂れ下がり、直立不動の形になる。
「今、何をしたの?」
身体の自由は効かなくても話す事は出来るようだ。
だけどどうして身体の自由が奪われたのかがわからない。
ミランダはわずかに口角を上げるが、目はまったく笑っていない。
「こう見えても私は魔法が得意なの。あなたの身体の自由を奪わせてもらったわ」
ミランダが魔法が得意?
それならば王妃様の侍女ではなくて、王宮魔術師になれるはずだ。
どうして魔術師にならずに王妃様の侍女になったのだろう?
「あら、私が魔術師にならずに侍女をやっているのが不思議みたいね。理由は簡単。侍女になれば王族の人間に近付き易いでしょ。おかげで色々と楽しませてもらったわ」
ミランダの言う「楽しませて」は良い意味で使っていないわね。
一体何を楽しませてもらったと言うのだろうか?
「そろそろあの二人が出て来る頃ね。…さあ、こっちに来なさい」
ミランダは私の首に腕を回すと、グイッと自分の方に引き寄せた。
自分で身体を動かす事が出来ないのに、ミランダの思い通りにされているのが口惜しい。
ミランダにもたれかかるような形で首を羽交い締めにされている。
首を傾けた状態なので視界も斜めのまま、廊下を見ていると、食堂の扉が開いてお父様とお兄様が出て来た。
「……!」
さっきまで喋れていたのに、お父様達を呼ぼうとしたら声が出せなくなっていた。
「もう、お喋りの時間は終わりよ。そこで大人しくしてなさい」
ミランダの冷たい声が私の頭の上から聞こえてくる。
お父様とお兄様は何やら話しながら歩いていて、こちらの様子には気付かないようだ。
「何だ? フェリシアか?」
ようやくこちらの異変に気付いたお兄様が慌てたようにこちらに駆け寄ってくる。
お父様も少し遅れてお兄様のあとから走り出した。
「止まりなさい! それ以上近付いたらフェリシアの顔に傷が付くわよ」
いつの間にかミランダの手にはナイフが握られていて、その切っ先が私の頬に触れていた。
私とミランダから数メートル離れた場所でお父様とお兄様が立ち止まる。
二人はそこまで近付いた事で、黒いフードを被っている人物が誰なのか気付いたようだ。
「お前はミランダ! 一体何をしている。今すぐフェリシアを離すんだ!」
お父様がミランダに命令するが、そんなものに従うわけがない。
ミランダはお父様の命令を鼻で笑った。
「そんな命令、聞くわけがないでしょ。王族だからって威張らないでほしいわ」
お父様はグッと詰まったが、今度は声を和らげてミランダに話しかけた。
「何が望みだ? 金か? 地位か? 何でも望みの物をやるからフェリシアを離してくれ。明日はフェリシアのお披露目なんだ。だからフェリシアを傷付けるのは止めてくれ。お願いだ」
お父様の言葉を聞いたミランダが、私の首に回した腕に更に力を込めた。
「!」
苦しい、首が締まる!
ミランダの腕を振りほどこうにも、指一本動かす事が出来ない。
「ミランダ! フェリシアが死んでしまう! 腕を緩めてくれ!」
お兄様の悲痛な叫びに、ハッとしたようにミランダが腕の力を緩めた。
何とか息が出来るようになったが、安堵したせいか、涙がポロポロと溢れる。
「私が欲しいのはお金でも地位でもない、あなたの命よ。お兄様」
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