9 / 30
9 闇魔法
しおりを挟む
「副団長達を倒した後、王宮へと戻って行きました」
流石は騎士団長、あの程度では相手にもならなかったようだ。
「とは言っても誰が敵か味方かわからないので、おおっぴらに聞いて回る事も出来ません」
そこで使用人達の詰所に向かうと数人が立ち話をしているのに出くわしたという。
そこでは騎士団長が謀反を働き、国王夫妻を殺して王子を連れ去ったらしいという話をしていたそうだ。
「はあっ? 何でそんな馬鹿な話が通るのですか! 謀反を起こしたのは宰相でしょう!」
アレクシスが怒りのあまり、ドンとテーブルを叩く。
僕もそれに同意だ。
大体、騎士団長が謀反を起こす理由がない。
「まあ落ち着け。皆がその話を信じている訳ではない。既にグレイが国王となった以上、嘘だと言えるはずがない。実際に国王夫妻は亡くなり、王子と私の行方がわからない以上、その話を受け入れるしかないんだ」
「でも、父上‥‥」
アレクシスが悔しそうに唇を噛み締める。
ただ、副団長達がどうして無条件でグレイの話を受け入れているのかわからないと言う。
「そう言えば、副団長達の周りに黒いモヤみたいな物が見えたけど、あれは何だったんだろう?」
僕の言葉にジェイクは考え込んでいるが、何か心当たりがあるんだろうか。
じっと答えを待っていると意を決したように口を開く。
「グレイは闇魔法を使ったのかも知れません」
闇魔法?
初めて聞く言葉だ。
「私も祖父から伝え聞いただけですが、その昔グレイの祖母が闇魔法を使っているのではという噂が立ったそうです。王宮に呼び出して問いただそうとした矢先、亡くなられたとかで有耶無耶になったそうです」
噂になる時点でかなり信憑性がある話じゃないかと思うけど、敵対する令嬢がいたらしく、嫌がらせではという事で収まったらしい。
「でも実際に闇魔法はあります。人を呪ったり操ったりする魔法だそうです。私には黒いモヤは見えませんでした。操られているのなら、無闇に接触出来ないと言う事ですね。王子がいれば大丈夫でしょうか?」
今のところ、僕だけが見えるのだから、陰から観察してモヤがあるかどうか確認してから話かけないといけない。
でも操られていないからといって、皆が味方とは限らないけど。
「そう言えば、二人は何事もなくここに来れたのか?」
問われてアレクシスが今までの出来事を話す。カインに斬りつけられたと聞いてジェイクはびっくりしていた。
「カインが王子を? 怪我は大丈夫なんですか?」
ジェイクに背中を見せながら大丈夫だと告げる。
血が付いていたらしく、渋い顔でクリーンをかけられた。見えないからわからなかったよ。
「グレイが命令したとも思えないが‥‥。グレイが王になった以上、次の王はカインになります。自分達の地位を盤石の物にするために王子を排除しようとしたのかもしれません」
ジェイクもアレクシスもグレイの命令ではないと言う。何か根拠があるのだろうか?
「ねぇ、何故宰相が命令しないと言えるの?」
ジェイクは散々迷った挙げ句、ため息をついた。隠し事をしないと言ったのはジェイクだ。
「グレイはマリエル様と結婚するはずだったんです」
え? グレイが母上と?
あまりの驚きに言葉が出て来ない。
「ユリウスはソフィア、つまりグレイの妻ですが、彼女と結婚する予定だったんです」
王族の血を増やすために父上と母上はそれぞれ別の人と結婚する事が決まっていたそうだ。
しかし、婚約発表前に突然、父上と母上は強硬手段に出たらしい。
所謂、婚前交渉って言うやつね。
流石に5才児には言えないよね。僕も知らないフリをしよう。
グレイは本当に母上が好きだったらしい。
でも隣国の王女であるソフィア様のために彼女と結婚したとか。
グレイの母上を見る目を思い出す。
確かにそういう熱い視線だった。
父上を恨んでいても無理はないよね。
てか、基本王族って自由恋愛出来ないんじゃなかった? ホントに二人共何やってくれちゃってんの!
「つまり、グレイはマリエルとその息子であるフェリクス王子には手を出さないはずなんです」
でも母上は殺されてしまった。
そこにはグレイにとって予想外の事が起きたのだろうとジェイクは言う。
「それより、これからどうされますか?」
王宮に戻ってもどういう扱いを受けるかわからない以上、このまま逃げるしかないだろう。
「とりあえず今は生き延びるために逃げる。ジェイク達はどうするんだ」
「王族殺しの罪を着せられた以上、捕まれば死刑でしょう。アレクシスもこのままこの国に置いていく訳にはいかないし。一緒に行きましょう」
こうして僕達は王都を出る事を決意した。
流石は騎士団長、あの程度では相手にもならなかったようだ。
「とは言っても誰が敵か味方かわからないので、おおっぴらに聞いて回る事も出来ません」
そこで使用人達の詰所に向かうと数人が立ち話をしているのに出くわしたという。
そこでは騎士団長が謀反を働き、国王夫妻を殺して王子を連れ去ったらしいという話をしていたそうだ。
「はあっ? 何でそんな馬鹿な話が通るのですか! 謀反を起こしたのは宰相でしょう!」
アレクシスが怒りのあまり、ドンとテーブルを叩く。
僕もそれに同意だ。
大体、騎士団長が謀反を起こす理由がない。
「まあ落ち着け。皆がその話を信じている訳ではない。既にグレイが国王となった以上、嘘だと言えるはずがない。実際に国王夫妻は亡くなり、王子と私の行方がわからない以上、その話を受け入れるしかないんだ」
「でも、父上‥‥」
アレクシスが悔しそうに唇を噛み締める。
ただ、副団長達がどうして無条件でグレイの話を受け入れているのかわからないと言う。
「そう言えば、副団長達の周りに黒いモヤみたいな物が見えたけど、あれは何だったんだろう?」
僕の言葉にジェイクは考え込んでいるが、何か心当たりがあるんだろうか。
じっと答えを待っていると意を決したように口を開く。
「グレイは闇魔法を使ったのかも知れません」
闇魔法?
初めて聞く言葉だ。
「私も祖父から伝え聞いただけですが、その昔グレイの祖母が闇魔法を使っているのではという噂が立ったそうです。王宮に呼び出して問いただそうとした矢先、亡くなられたとかで有耶無耶になったそうです」
噂になる時点でかなり信憑性がある話じゃないかと思うけど、敵対する令嬢がいたらしく、嫌がらせではという事で収まったらしい。
「でも実際に闇魔法はあります。人を呪ったり操ったりする魔法だそうです。私には黒いモヤは見えませんでした。操られているのなら、無闇に接触出来ないと言う事ですね。王子がいれば大丈夫でしょうか?」
今のところ、僕だけが見えるのだから、陰から観察してモヤがあるかどうか確認してから話かけないといけない。
でも操られていないからといって、皆が味方とは限らないけど。
「そう言えば、二人は何事もなくここに来れたのか?」
問われてアレクシスが今までの出来事を話す。カインに斬りつけられたと聞いてジェイクはびっくりしていた。
「カインが王子を? 怪我は大丈夫なんですか?」
ジェイクに背中を見せながら大丈夫だと告げる。
血が付いていたらしく、渋い顔でクリーンをかけられた。見えないからわからなかったよ。
「グレイが命令したとも思えないが‥‥。グレイが王になった以上、次の王はカインになります。自分達の地位を盤石の物にするために王子を排除しようとしたのかもしれません」
ジェイクもアレクシスもグレイの命令ではないと言う。何か根拠があるのだろうか?
「ねぇ、何故宰相が命令しないと言えるの?」
ジェイクは散々迷った挙げ句、ため息をついた。隠し事をしないと言ったのはジェイクだ。
「グレイはマリエル様と結婚するはずだったんです」
え? グレイが母上と?
あまりの驚きに言葉が出て来ない。
「ユリウスはソフィア、つまりグレイの妻ですが、彼女と結婚する予定だったんです」
王族の血を増やすために父上と母上はそれぞれ別の人と結婚する事が決まっていたそうだ。
しかし、婚約発表前に突然、父上と母上は強硬手段に出たらしい。
所謂、婚前交渉って言うやつね。
流石に5才児には言えないよね。僕も知らないフリをしよう。
グレイは本当に母上が好きだったらしい。
でも隣国の王女であるソフィア様のために彼女と結婚したとか。
グレイの母上を見る目を思い出す。
確かにそういう熱い視線だった。
父上を恨んでいても無理はないよね。
てか、基本王族って自由恋愛出来ないんじゃなかった? ホントに二人共何やってくれちゃってんの!
「つまり、グレイはマリエルとその息子であるフェリクス王子には手を出さないはずなんです」
でも母上は殺されてしまった。
そこにはグレイにとって予想外の事が起きたのだろうとジェイクは言う。
「それより、これからどうされますか?」
王宮に戻ってもどういう扱いを受けるかわからない以上、このまま逃げるしかないだろう。
「とりあえず今は生き延びるために逃げる。ジェイク達はどうするんだ」
「王族殺しの罪を着せられた以上、捕まれば死刑でしょう。アレクシスもこのままこの国に置いていく訳にはいかないし。一緒に行きましょう」
こうして僕達は王都を出る事を決意した。
3
あなたにおすすめの小説
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。
お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる