【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅

文字の大きさ
10 / 30

10 救助

しおりを挟む
 いつこの場所を発見されるかわからないため、急いで旅立ちの準備をする。

 訓練のため動きやすい服装だったが、それなりに上質な生地なので、平民用の服に着替える事にした。

 僕が着替えている間、ジェイクとアレクシスは何やらひそひそ話をしている。

「母上」という言葉が聞こえたから、アレクシスの母についてだろう。

 彼女は僕の母上の護衛騎士をしていた。

 処刑はされてないと思うが、夫であるジェイクが国王夫妻を殺害したとされる以上、拘束されている可能性もある。

 このまま連絡も取れずに離れ離れになってしまうのは辛いだろうな。

 何もしてあげられないのがもどかしい。

「フェリクス王子。準備は出来ましたか?」

「ああ、大丈夫だ。それより、この先、僕を王子と呼ぶのは不味いだろ」

「ふむ、確かにそうですね」

 ジェイクはちょっと考えて、申し訳なさそうに

「それでは、私の息子、アレクシスの弟と言う事でよろしいですか?」

「構わないよ。っていうか、親子なら敬語は使わないよ」

「すみません、つい癖で」

 まあ、おいおい慣れるだろう。

 マジックバッグに食料や武器など必要な物を詰め込む。ここにはいつ帰って来られるかわからない。

 準備を終えて出発しようか、という頃にアレクシスが待ったをかけた。

「父上。フェリクスの髪、色を変えた方がいいのでは?」

 えっ? 何か問題が?

「確かにこれでは目立ってしまうな」

 そうだった。このシルバーブロンドは王家の色だった。

 慌てて魔法で二人と同じ茶髪にする。

 髪の色を同じにしたから、ちゃんと親子に見えそうだ。

「これからは平民の親子だ。名前も変えよう。私が父親のジェイ。長男のアル。次男のフェル。いいな?」

「わかった、父さん。兄さん」

 にっこり笑って返事をすると、アルはコクンと頷くとそっぽを向いた。

 耳が赤くなってるから照れているんだろう。

 最終点検をして小屋を出て、父さんが隠匿の魔法をかける。

「これから何処へ行くの?」

「森を抜けて隣のローザス領に行こう。そこで冒険者ギルドに登録する。冒険者ならあちこち転々としても怪しまれないだろう」

 冒険者ギルド。

 なんかワクワクしてきた。

 歩き出そうとしたところで、父さんが何か言いたげに僕を見る。

「何?」

「いや、お前の歩くのが遅いようなら、おんぶでもしようか?」

 えっ、おんぶ!?

 いやいや。

 見た目5才児でも中身は大人、ってどこかで聞いたようなフレーズだけど、とにかく全力でお断りする。

「身体強化出来るから大丈夫」

「ハッハッ、そうか」

 ニヤニヤ笑ってる。からかったな。

 僕はちょっとむくれて、スタスタと先に歩き出す。

「フェル、あまり離れるなよ」

 っと、そうだ。

 どこで魔獣に出会うかわからないからな。

 魔法攻撃は出来ると思うけど、まだ実際に戦った事がないから、どこまで通用するかわからない。いきなり全滅なんて洒落にならないよね。

 しばらく歩くと、何やら騒がしい音がする。

 魔獣か?
 身構えながら先へ進むと、小さな犬が、大きな熊に襲われていた。

 あれはグリズリーか?

「助けなきゃ!」

「待て! フェル!」

 父さんに止められたが、ほっておくわけにはいかない。

 子犬に当たらないように魔法を繰り出す。

「ウインドカッター」

 ちょっと逸れたか。

 でも、グリズリーの注意をこちらに向ける事が出来た。グリズリーは子犬から離れてこちらに向かってくる。もう一度、ウインドカッターを放つ。

 よし、当たった!

 グリズリーはかなわないと思ったのか、背中を向けて逃げようとしたが、そこを父さんが斬りつけた。

 おおっ、かっこいい!

 流石は騎士団長。

 一撃で仕留めちゃったよ。

 素材採集は二人に任せて、僕は子犬の元へ駆け寄った。

 うわっ、ひどい。
 あちこち傷だらけで、血と泥で汚れている。
 
 ヒールで傷を直してクリーンをかけてやると、真っ白な毛並が現れた。

 抱き上げるとモフモフでかわいい。

 しばらく撫でてたら、目を開けて僕の頬を舐める。

「ふふっ、くすぐったい」

『ねぇ、名前ちょうだい』

「えっ? 今喋ったの、君?」

『喋るっていうより、意思疎通が出来るんだ。名前つけて』

 名前をつけるっていう事は従魔になるって事だよね。

 あれ? 子犬じゃなくてフェンリル?

「君はもしかしてフェンリル? 名前をつけたら従魔になるんだよね?」

『うん! 従魔になるからつけて』

「じゃあ、シオンでいい?」

 シオンは嬉しそうにパタパタとしっぽを振る。

 素材採集を終えた父さんと兄さんが、僕の側に戻って来た。シオンがフェンリルだと気付いて驚いている。

 従魔の契約をしたからしょうがないと連れて行くのを認めてくれた。

 こうして三人と一匹の旅が始まった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...