【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅

文字の大きさ
12 / 30

12 冒険者ギルド

しおりを挟む
 冒険者ギルドの中に入ると、正面の奥にカウンターがあった。

 あちこちに人の姿があるが、見慣れない僕達に皆の視線が集まる。

 カウンターへ行くとキレイなお姉さんがにこやかに出迎えてくれる。

「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件でしょうか?」

「冒険者登録を頼む。私と上の子は剣士、下の子はテイマーだ」

 お姉さんはにっこり笑ってシオンに目を向けた。

「従魔は‥‥。フェンリルですか?」

 ちょっとびっくりしてる。やっぱり珍しいのかな。

 後ろの引き出しから書類を出して父さんに記入をお願いすると、一旦奥に引っ込んだ。

 やがてカードを3枚持って来ると、

「こちらのカードにそれぞれ血を1滴ずつお願いします」

と、これもまた父さんに差し出してきた。

 あ、やっぱり血を登録するんだ。

 父さんと兄さんはそれぞれナイフを出してチョンと自分の指先を指して血を付けていた。

 僕は、というかまずカウンターに手が届かない。

 登録し終えた父さんが、僕を抱き上げてくれる。

 僕も自分のナイフで指先をちょんと突いたが地味に痛い。

 その血をカードに押し付けると、ピカッとカードが光った。これで登録出来たという事だろう。

 下に降ろされて血を止めようとしたら、シオンがペロペロと舐めてきた。

 あれ?

「シオン、ちょっと大きくなった?」

『あ、ホントだ。フェリクスの血を舐めたからかな』

「何で血を舐めて大きくなるの?」

『フェリクスの魔力を吸収したからじゃない?』

 シオンも今ひとつ良くわかってないみたいだ。首を傾げてるけど、その姿がかわいい。

「登録は以上で終わりです。それと従魔には装身具を付けていただく事になります」

 従魔契約をしているのが、他の人にもわかるようにしないといけないんだって。

 確かに間違って攻撃されないようにしないとね。また万が一暴れた場合でも、責任者をはっきりさせておかないといけないしね。

 お姉さんが僕に装身具を見せてくれる。

 色んな種類があるんだな。

 首輪はシオンには似合わないかな?

 どうしようと悩んでいると、ペンダントが目に入った。

 金色でキラキラと輝いている。

 魔導具だから成長に合わせて大きさが変わるんだって。便利だな。

「シオン、これでいい?」 

『もちろん!』

 シオンも気に入ったみたいで、付けてやると嬉しそうにしっぽを振る。

 あまりの可愛さに思わず抱きついちゃった。

 ちょっと大きくなったから、さっきまでと抱き心地が違う。

 無事に登録も終わり、ようやくギルドの中を見渡す余裕が出来た。

 一角に喫茶コーナーみたいな場所がある。
 
 ここで他の冒険者と交渉したり、情報収集するらしい。

 今も何人かの冒険者が座ってる。

 中にはじっと僕達を見てる人もいる。

 やっぱり小さい子供は珍しいのかな。

 まさか、バレてる訳じゃないよね。

 反対の壁には依頼書が貼ってあって、ランク毎に分かれている。

 僕達は登録したばかりだからFランクだそうだ。

 ランクアップの為の模擬戦も受けられるらしいけど、悪目立ちしたくないので、受けないって父さんが告げた。

 地道に上げていくしかないよね。

 でもFランクは植物採集がほとんどなんだよね。

 採集する物を確認して、とりあえず腹ごしらえをする事にする。

 冒険者専用の従魔を連れて入れる食堂があるんだって。

 ギルドを出て、少し歩いた所にその食堂はあった。

 前世の大衆食堂みたいな感じだ。 
 
 中も割と賑わってる。

 席に着くとやって来た店員さんに父さんがメニューから何かを注文していた。

 やがて出された料理に僕は目を丸くした。

 これは、ハンバーガー?

「こうやって、両手で持ってかぶり付くんだよ」 

 固まって動かない僕を別の意味の解釈をした兄さんが、食べ方を教えてくれる。

 確かに王宮じゃ、カトラリーを使って食べる料理しか出されなかったからね。

「兄さんは食べた事あるの?」

「父さんとお忍びで町に出た時にね」

 そう言って美味しそうにかぶり付く。

 小さい手じゃ持ちにくいな、と思いつつ両手で持ち上げてかぶり付く。

 うわぁ~、久しぶりのハンバーガー、美味すぎる!

 正面に座った父さんが僕の顔を見て吹き出す。

「ほっぺたにケチャップが付いてるぞ」

 口も小さいからしょうがないんだよ。

 横にいる兄さんがナプキンで僕のほっぺたを拭ってくれた。何か恥ずかしい。

 シオンは我関せずとテーブルの下でお肉を堪能していた。

 こんな風に父上と母上とも過ごしたかったな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...