御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

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学院編

77 魔力検査

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 夕方になり、義父様も仕事から帰ってきた。

 相変わらず、定時になるとさっさと職場を後にするようだ。

 残業なんてないんだろうか?

 あっても無視して帰ってくるか、終わらせて帰ってくるか、のどちらかだろう。

 僕が食堂に向かうと既に義両親は席についていた。

 僕の後からクリスも乳母に連れられて食堂に入って来た。

 食事が始まるとさっそく今日の入学式の話になった。

「学院はどうだった? クラスには馴染めそうかい?」

 義父様に聞かれて僕はコクリと頷いた。

「はい、お茶会で見知っている人もいましたし、子爵家と男爵家の子供しかいませんから」

 そう答えると、義父様も義母様もウンウンと頷いてみせた。

「ああ、身分差はないと言いながら、身分でクラス分けをしているからな。だが、授業が始まると高位貴族との関わりが増えて来るからな。徐々に慣れるしかないさ」

 義父様の言い方だと、これから高位貴族と関わる事が増えるのは確定となっているようだ。

 出来れば関わりたくはないんだけれど、それは無理な注文なのだろうか?

 とりあえず、それは横に置いておいて、僕は二人に聞きたかった事を質問する。

「アーサーが言うには明日は魔力検査があるらしいそうですが、魔力検査とはどういった事をするのですか?」

 さり気なく聞いたつもりだったが、少しばかり早口になってしまったけれど、気づかれなかっただろうか?

「魔力検査か。…どういう結果になっても本当のご両親を恨んではいけないよ」

 義父様は、僕を諭すような口調で静かに告げた。

 僕の質問とは違った答えが返ってきて、僕は困惑しかない。

 それ以上聞くのも躊躇われて…僕はただ「…はい…」と、答えるしかなかった。




 
 そして、いよいよ次の日。

 スクール馬車に揺られる僕を見てアーサーがクスリと笑う。

「エド、もしかして緊張してる?」

「ま、まあね…」

 魔力検査って何をするのかわからないから対策のしようがないんだよね。

 そんな僕の緊張がアーサーに伝わってしまうなんて、まだまだ修行が足りないな。

 学院に着くと僕達は教室へと向かった。

 自分の席に着席しているとチャイムが鳴り、ディクソン先生が入って来た。

「皆さん、おはようございます」

 ディクソン先生の挨拶に僕達も「おはようございます」と声を揃えてお辞儀をする。

「さっそくですが、今日はこれから『魔力検査』を行います。準備をするから少し待ってください」

 そう言ってディクソン先生は教室の扉を開けた。

 すると男の人達が大きな木の板のような物を抱えて入って来た。

 その板を教室の前方の空いたスペースで組み立て始めると、衝立てに囲まれた小スペースが出来上がった。

 三方を囲まれた形で向こう側は空いているようだ。

 その小スペースに男の人は台座とその上に布で覆われた何かを運び込んだ。

 更に二脚の椅子がその中に入れられ。ようやく準備は整ったようだ。

「それでは、一人ずつ名前を呼びますので、この中に入ってください。他の方は後ろの書棚の本を読んでお待ち下さい。最初はコンラッド・アボットさん」

 一番前に座っている子爵家の子から始まった。

 どうやら名簿順に呼ばれるようだ。

 コンラッドがディクソン先生と一緒に衝立の中に入っていった。

 中の会話が聞こえるかと思いきや、何の物音もしない。

 もしかしたら遮音の魔導具か何かが使われているのだろうか?

 順番に名前を呼ばれるとなると、僕の番が回ってくるのはまだ先だ。

 僕と同じように時間がかかるとわかっている生徒が立ち上がり、後ろの書棚へ本を探しに行った。

 僕も適当な本を見つけて席に戻ると、コンラッドが席に戻り、次の生徒が呼ばれて行った。

 本を開いて目を通すけれど、衝立ての中が気になって本の内容が頭に入ってこない。

 そのうちにアーサーが呼ばれて衝立ての中に入っていった。

 じっと衝立てを凝視していると、微かに何かが光ったように見えた。

 すぐに光は収まり、しばらくしてアーサーが衝立ての中から出て来た。

 アーサーはチラリと僕に視線を向けると、微かに微笑んでみせた。

 その笑みからしてアーサーが望んでいたとおり、魔力がある事が判明したのだろう。

 次から次へと生徒が呼ばれ、とうとう僕の番になった。




 
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