御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
84 / 242
学院編

84 魔法の授業

しおりを挟む
 選択授業を決めたプリントを一人ずつ順番に提出していくと、ディクソン先生はそれに目を通しながら受け取った。

 最後の一人が提出し終わって席に戻ると、ディクソン先生は満足そうに頷いた。

「後ほど時間割りのプリントを配りますので、自分の選択された授業には必ず出席してください。ご自分が選択されていない授業の時は隣の教室で自習となります。もっとも、選択されていなくても参加は自由ですので、興味がある授業は積極的に参加してください。その代わり、授業の妨げになる言動をされた場合、即刻退室していただきますので、注意してくださいね」

 ディクソン先生の注意を受けて僕達は一斉に頷いた。

 参加が自由ならば、隣の教室で自習するよりも授業を受けた方がいいのかな。

 でも、興味がないと退屈だろうから、まだ自習していた方がいいんだろうか?

「この後は魔法の授業になります。この授業を受けない方は隣の教室に移動してください」 

 ディクソン先生がそう言ってざっと教室内を見渡した。

 僕も後ろの席から教室内を見ていたが、誰も立ち上がろうとしない。

「皆さん、授業を受けられるようですね。それでは、始業のチャイムが鳴るまでそのままお待ち下さい」

 ディクソン先生はそう告げると教室を出て行った。

 このクラスの生徒全員に魔力があるのか、はたまた魔力が無いのを知られないように残っているのかはわからない。

 たとえ魔力が無くても隣の教室に行って自習するよりは、どういう授業をするのか見てみたいという好奇心から残っている場合もあるだろう。

 しばらくして始業のチャイムが鳴り始めたが、それが鳴り終わるより前に教室の扉が開いた。

 おしゃべりをしていた生徒はピタリとしゃべるのを止めて、皆背筋を伸ばして前を向く。

 開いた扉から背の低い年老いた老人が教室の中へと入って来た。

 アニメによく出てくるような真っ白な口髭に長い顎髭を蓄え、黒いローブを着ている。

 いかにも魔法使いだとわかるような出で立ちに僕は思わず目を丸くした。

 老人は年老いている割には流れるような足取りで教壇に立つと、グルリと教室の中を見回した。

「ふむ。全員参加のようじゃな。魔力の授業を担当するマーリンじゃ。よろしく頼むぞ」 

 マーリンだって!?

 如何にもな名前に僕は思わず吹き出しそうになったが、慌ててこらえた。

 その瞬間、マーリン先生の目が鋭くこちらを見たような気がしたが、気の所為だろう。

「先日の魔力検査で魔力があると判明しただけで、まだ魔法を使った事はないじゃろう。おいおい教えていくので、くれぐれも自分だけで魔法を使ったりしないようにな。まだ魔力が安定しない年頃なので、魔力暴走を引き起こす可能性がある。魔力暴走を起こせば自分のみならず周りにいる人々も巻き込む可能性があるので十分気をつけてくれ」

 魔力暴走だって?

 僕が以前、回復魔法を使った時はそんな事態には陥らなかった。

 あれはたまたま運が良かっただけなのだろうか?

 マーリン先生に聞いてみたい気もするけれど、まだどんな人物なのか、信用出来る人なのかもわからない。

 いずれ相談出来るようになったら聞いてみようか?

 そんな事を考えているうちに授業は進んで行く。

「それでは、先ず自分の魔力を感じる所から始めよう。皆、自分の手を机の上にの置いてご覧」 

 マーリン先生に言われて皆一斉に自分の手を机の上に乗せた。

「手のひらを上に向けて、魔力の流れを感じてみなさい」

 マーリン先生に言われるまま、手のひらを上にして魔力の流れを感じてみるが、魔力の流れって何だろう?

 血液の流れと似たようなものだろうか?

 良くわからないまま、周りの皆を見ていると、ポっと誰かの手のひらが光ったように見えた。

 あれが魔力の流れか?

 すると、僕の手のひらからまばゆい光が発せられた。

 慌てて抑えたが、周りの皆が驚いたような顔でこちらを見ている。

 もしかして、これってヤバい状況かな?




 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

処理中です...