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学院編
121 オーウェンの報告
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クリフトンに素顔を見られた翌日から、僕は戦々恐々としながら学院に通った。
廊下を歩けば、後ろを歩いている足音が聞こえては振り返り、前から歩いてくる人物がいれば顔を隠してやり過ごす、というような事を繰り返していた。
そんな事を二~三日繰り返していたが、僕の行動をアーサーは不審に思ったようだ。
「エド、どうしたんだ? 最近やけに周りを気にしていないか?」
「え? そ、そうかな? いつもと変わらないつもりなんだけれど…」
ゴニョゴニョと言葉尻を濁す僕にアーサーは納得のいかないような顔を見せる。
「何か気になる事があるんなら相談に乗るよ?」
そう言ってくれるアーサーには悪いけれど、流石に『僕がこの国の王子でクリフトンに素顔を見られた』とは言えない。
「ありがとう、アーサー。でも全然大丈夫だからね」
そう言って笑ってみせるとアーサーは不承不承ながらも頷いた。
「わかった。でも、本当にいつでも相談に乗るからね」
アーサーに念を押されて僕はコクリと頷く。
「わかったよ、アーサー。何かあればすぐに相談するからね」
そう約束をすると、アーサーは満足そうに頷いた。
その日の授業が終わり帰り支度をしている時だった。
急に教室内がしんと静まり返り、クラスメイトの誰もが静止画のように動かなくなった。
(まさか、またオーウェンの仕業か?)
そう思った僕の前に案の定、オーウェンが姿を現した。
「オーウェン、今度は何の用ですか?」
身構えながら問いかけるとオーウェンは長い髪をサラリと後ろに払い除けてみせた。
確かに美形だしサマになる仕草だけれど、どうしてわざわざ僕に見せつけるんだろう?
そういうのは「キャーキャー」言ってくれる女性に対してやればいいのにな。
「エドアルド君が困っているようだから助けてあげようかと思いましてね。それとも私の助けは必要ないですか?」
「助けって何の事ですか?」
「とぼけても無駄ですよ。クリフトンに素顔を見られて困っているんでしょう? それに、クリフトンの方もエドアルド君にもう一度会いたいと思っているようですよ」
オーウェンにズバリと言われて僕は二の句が継げなかった。
しかもクリフトンが僕に会いたがっていると言われて更に驚いた。
「クリフトンが僕に…。どうして…」
「そりゃ、エドアルド君の顔がエドワード王子に瓜二つだったからですよ。しかもその事をエドワード王子に話していましたからね」
「ええっ!」
オーウェンの話に僕は心底驚いた。
まさか、クリフトンが僕の事をエドワード王子に話すとは思ってもいなかったからだ。
「どうしてまた…。オーウェンのお得意の技でクリフトンの記憶を改ざんしたり出来ないんですか?」
するとオーウェンは「ほうっ」と悩ましげにため息をついてみせた。
だから、そういうのは要らないってば!
「そうしたいのはやまやまなんですけどね。どういう訳か記憶の改ざんがあやふやなんですよね」
つまりオーウェンの術が効かないって事なんだろうか?
「とりあえず、一年生の間はエドワード王子とクリフトンには遭遇しないようにしてあげます。だけど二年生になったら合同授業が始まりますからね。その時は覚悟を決めてください」
「…はい」
とりあえずはオーウェンのおかげでエドワード王子とクリフトンに顔を合わせなくて済むようだ。
「それじゃ」
そう言って姿を消そうとするオーウェンに素朴な疑問をぶつけてみた。
「こうやって時間が止まっている間、僕の時間はどうなっているんですか?」
予想外の事を聞かれたらしく、オーウェンは一瞬ポカンと口を開けていた。
「そんなの、私達の時間は普通に過ぎているに決まっているじゃないですか」
「え? つまり今、僕達は普通に齢を取っていると…」
「そうですよ」
オーウェンは何でもない事のように言うけれど、僕にとっては大問題だ。
「他の人達の時間は止まっていても、僕達はその分老化が進んでいるってことじゃないですか!」
「それがどうしたんですか。ほんの数分の事じゃないですか。それくらいで目くじらを立てないでください」
そう言い残すとオーウェンはサッと姿を消した。
その途端、教室内はまたいつもの喧騒に包まれていった。
廊下を歩けば、後ろを歩いている足音が聞こえては振り返り、前から歩いてくる人物がいれば顔を隠してやり過ごす、というような事を繰り返していた。
そんな事を二~三日繰り返していたが、僕の行動をアーサーは不審に思ったようだ。
「エド、どうしたんだ? 最近やけに周りを気にしていないか?」
「え? そ、そうかな? いつもと変わらないつもりなんだけれど…」
ゴニョゴニョと言葉尻を濁す僕にアーサーは納得のいかないような顔を見せる。
「何か気になる事があるんなら相談に乗るよ?」
そう言ってくれるアーサーには悪いけれど、流石に『僕がこの国の王子でクリフトンに素顔を見られた』とは言えない。
「ありがとう、アーサー。でも全然大丈夫だからね」
そう言って笑ってみせるとアーサーは不承不承ながらも頷いた。
「わかった。でも、本当にいつでも相談に乗るからね」
アーサーに念を押されて僕はコクリと頷く。
「わかったよ、アーサー。何かあればすぐに相談するからね」
そう約束をすると、アーサーは満足そうに頷いた。
その日の授業が終わり帰り支度をしている時だった。
急に教室内がしんと静まり返り、クラスメイトの誰もが静止画のように動かなくなった。
(まさか、またオーウェンの仕業か?)
そう思った僕の前に案の定、オーウェンが姿を現した。
「オーウェン、今度は何の用ですか?」
身構えながら問いかけるとオーウェンは長い髪をサラリと後ろに払い除けてみせた。
確かに美形だしサマになる仕草だけれど、どうしてわざわざ僕に見せつけるんだろう?
そういうのは「キャーキャー」言ってくれる女性に対してやればいいのにな。
「エドアルド君が困っているようだから助けてあげようかと思いましてね。それとも私の助けは必要ないですか?」
「助けって何の事ですか?」
「とぼけても無駄ですよ。クリフトンに素顔を見られて困っているんでしょう? それに、クリフトンの方もエドアルド君にもう一度会いたいと思っているようですよ」
オーウェンにズバリと言われて僕は二の句が継げなかった。
しかもクリフトンが僕に会いたがっていると言われて更に驚いた。
「クリフトンが僕に…。どうして…」
「そりゃ、エドアルド君の顔がエドワード王子に瓜二つだったからですよ。しかもその事をエドワード王子に話していましたからね」
「ええっ!」
オーウェンの話に僕は心底驚いた。
まさか、クリフトンが僕の事をエドワード王子に話すとは思ってもいなかったからだ。
「どうしてまた…。オーウェンのお得意の技でクリフトンの記憶を改ざんしたり出来ないんですか?」
するとオーウェンは「ほうっ」と悩ましげにため息をついてみせた。
だから、そういうのは要らないってば!
「そうしたいのはやまやまなんですけどね。どういう訳か記憶の改ざんがあやふやなんですよね」
つまりオーウェンの術が効かないって事なんだろうか?
「とりあえず、一年生の間はエドワード王子とクリフトンには遭遇しないようにしてあげます。だけど二年生になったら合同授業が始まりますからね。その時は覚悟を決めてください」
「…はい」
とりあえずはオーウェンのおかげでエドワード王子とクリフトンに顔を合わせなくて済むようだ。
「それじゃ」
そう言って姿を消そうとするオーウェンに素朴な疑問をぶつけてみた。
「こうやって時間が止まっている間、僕の時間はどうなっているんですか?」
予想外の事を聞かれたらしく、オーウェンは一瞬ポカンと口を開けていた。
「そんなの、私達の時間は普通に過ぎているに決まっているじゃないですか」
「え? つまり今、僕達は普通に齢を取っていると…」
「そうですよ」
オーウェンは何でもない事のように言うけれど、僕にとっては大問題だ。
「他の人達の時間は止まっていても、僕達はその分老化が進んでいるってことじゃないですか!」
「それがどうしたんですか。ほんの数分の事じゃないですか。それくらいで目くじらを立てないでください」
そう言い残すとオーウェンはサッと姿を消した。
その途端、教室内はまたいつもの喧騒に包まれていった。
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