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学院編
141 報告書(サイラス視点)
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サイラス・アルドリッジ公爵はこのアルズベリー王国の宰相を務めている。
公爵という地位に加え、妹であるリリベットはフィリップ王太子と結婚して王太子妃となった。
それによってアルドリッジ公爵家の地位は揺るぎないものとなった。
結婚当初はそれなりに仲の良かった妹夫婦だったが、結婚直後に前国王が急逝した事で変化が生じてきた。
本来ならば跡継ぎが出来てからフィリップ王太子が王位を継ぐ予定だった。
ゆっくりと世代交代をするはずが、いきなり新国王と新王妃として慣れない公務をこなさなくてはならなくなった。
そのためかどうかはわからないが、二人にはなかなか子供が授からなかった。
『国王陛下に側室を…』
そんな声が上がり始めた頃、ようやくリリベットが妊娠してサイラスもホッと胸をなで下ろしたものだった。
だが、せっかく子供を授かったというのに、二人の関係は徐々に険悪になっていき、エドワード王子が生まれた時には既に破綻状態だった。
公衆の面前では仲の良さそうな夫婦を演じていたが、人目がなくなった途端、クルリとそっぽを向くのは日常茶飯事だった。
おまけにエドワード王子が生まれた後、フィリップは侍女長のサラと恋仲になっていた。
サイラスも宰相として、また王妃の兄としてフィリップに苦言を呈したが軽く受け流されていた。
エドワード王子も愛人のいる父親に愛想を尽かしたのか、最近ではフィリップ王と会話を交わすことも少なくなっていた。
サイラスとしてはエドワード王子とフィリップ王の仲を取り持ってやりたいが、どうすれば良いのかほとほと困り果てていた。
そんなある日、学院から緊急の報告書が届いた。
「学院から緊急の報告書だと!? 今までそんな事は無かったぞ!」
サイラスは報告書を受け取るとすぐに開封して中身に目を通した。
「学院に魔獣が出現!? …バカな!」
その魔獣をエドワード王子と他の生徒が討伐したとあった。
おまけにその場にサイラスの息子であるブライアンが居合わせたと書かれている。
それだけならまだしも、サイラスと対立関係にあるダウナー公爵家の息子のクリフトンの名前まで上がっていた。
「一体何があったと言うのだろうか?」
あれこれ考察するよりもまずはこの報告書をフィリップ王に届けなくてはならなかった。
バタバタと廊下を走ってフィリップ王の執務室に駆け込んだ。
サイラスの慌てぶりに目を丸くしていたフィリップ王だったが、彼もまた報告書に目を通して驚きの表情をみせた。
だが、そのフィリップ王の口からポツリと「エドアルド」と発せられた。
聞き間違いか、とサイラスがフィリップ王の顔を再度見つめると、何事かを決意したようなフィリップ王の眼差しがサイラスを捉えた。
「サイラス」
「はい、なんでしょう?」
「今更、こんな話をしてもどうしようもないかもしれないが、聞いてもらえるか?」
突然のフィリップ王の発言にサイラスは少し戸惑ったが、聞かないわけにはいかなかった。
『エドワード王子の身が危険にさらされた事で、これまでの事を反省されたのだろう。これでサラとの関係を解消されて、もう一度リリベットとやり直してくださるおつもりなのだろう』
サイラスはそんな事を考えたが、フィリップ王の口から語られた言葉はサイラスにとっては予想外の話だった。
公爵という地位に加え、妹であるリリベットはフィリップ王太子と結婚して王太子妃となった。
それによってアルドリッジ公爵家の地位は揺るぎないものとなった。
結婚当初はそれなりに仲の良かった妹夫婦だったが、結婚直後に前国王が急逝した事で変化が生じてきた。
本来ならば跡継ぎが出来てからフィリップ王太子が王位を継ぐ予定だった。
ゆっくりと世代交代をするはずが、いきなり新国王と新王妃として慣れない公務をこなさなくてはならなくなった。
そのためかどうかはわからないが、二人にはなかなか子供が授からなかった。
『国王陛下に側室を…』
そんな声が上がり始めた頃、ようやくリリベットが妊娠してサイラスもホッと胸をなで下ろしたものだった。
だが、せっかく子供を授かったというのに、二人の関係は徐々に険悪になっていき、エドワード王子が生まれた時には既に破綻状態だった。
公衆の面前では仲の良さそうな夫婦を演じていたが、人目がなくなった途端、クルリとそっぽを向くのは日常茶飯事だった。
おまけにエドワード王子が生まれた後、フィリップは侍女長のサラと恋仲になっていた。
サイラスも宰相として、また王妃の兄としてフィリップに苦言を呈したが軽く受け流されていた。
エドワード王子も愛人のいる父親に愛想を尽かしたのか、最近ではフィリップ王と会話を交わすことも少なくなっていた。
サイラスとしてはエドワード王子とフィリップ王の仲を取り持ってやりたいが、どうすれば良いのかほとほと困り果てていた。
そんなある日、学院から緊急の報告書が届いた。
「学院から緊急の報告書だと!? 今までそんな事は無かったぞ!」
サイラスは報告書を受け取るとすぐに開封して中身に目を通した。
「学院に魔獣が出現!? …バカな!」
その魔獣をエドワード王子と他の生徒が討伐したとあった。
おまけにその場にサイラスの息子であるブライアンが居合わせたと書かれている。
それだけならまだしも、サイラスと対立関係にあるダウナー公爵家の息子のクリフトンの名前まで上がっていた。
「一体何があったと言うのだろうか?」
あれこれ考察するよりもまずはこの報告書をフィリップ王に届けなくてはならなかった。
バタバタと廊下を走ってフィリップ王の執務室に駆け込んだ。
サイラスの慌てぶりに目を丸くしていたフィリップ王だったが、彼もまた報告書に目を通して驚きの表情をみせた。
だが、そのフィリップ王の口からポツリと「エドアルド」と発せられた。
聞き間違いか、とサイラスがフィリップ王の顔を再度見つめると、何事かを決意したようなフィリップ王の眼差しがサイラスを捉えた。
「サイラス」
「はい、なんでしょう?」
「今更、こんな話をしてもどうしようもないかもしれないが、聞いてもらえるか?」
突然のフィリップ王の発言にサイラスは少し戸惑ったが、聞かないわけにはいかなかった。
『エドワード王子の身が危険にさらされた事で、これまでの事を反省されたのだろう。これでサラとの関係を解消されて、もう一度リリベットとやり直してくださるおつもりなのだろう』
サイラスはそんな事を考えたが、フィリップ王の口から語られた言葉はサイラスにとっては予想外の話だった。
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