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学院編
148 宰相の提案
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僕はまっすぐに前を向くと宰相に向かって断言をする。
「僕は王宮になんて行きません。エドワードにも言いましたが、このまま平凡に暮らしたいんです」
宰相はしばらく僕をじっと注視していたが、やがてフッと表情を緩めた。
「わかりました。陛下にはそのように伝えましょう。ところで、エドアルド様はいつ、ご自分が王子だと自覚されたのですか?」
ああ、やはりその質問をしてきたか。
母親である王妃は僕が前世の記憶を持っていると言わなかったようだから、そこの部分は隠してしまおう。
宰相が信じるか信じないかはともかく、説明するのが面倒くさいからね。
「僕が養子だという事は弟のクリスが生まれた時に聞いていました。その後、お茶会の席に王妃様にお会いして僕が王子だと知ったんです」
「…なるほど。それで、ダニエルとセレナはエドアルド様が王子だと知って…。いや、先ほどのセレナの様子を見るに二人は知らないようですね」
僕はコクリと頷いて宰相の言葉を肯定した。
「義両親は僕が王子だとは知りません。…あの義父様は王宮でエドワード王子に会ったりはしないのですか?」
未だに王宮に勤めている義父様から『エドワード王子に似ている』という指摘を受けてはいない。
いつかは義父様からそんな言葉が出てくるのではないかと思っているが、その時になんと言えば良いのか迷っている。
「エドワード王子はまだ王宮のプライベートゾーン以外の出入りを禁じられていますからね。しかし、十二歳になれば少しずつ公的な場に出られるようになります」
十二歳!?
僕達は既に十一歳を過ぎているから、来年の誕生日には王宮に出入りする貴族には顔を見られるという事だ。
その貴族の中には僕の事を知っている人も少なからずいるに違いない。
どうする?
騒ぎになる前に僕はこの家から出ていった方が良いんだろうか?
押し黙った僕に宰相は優しく微笑む。
「ここはエドアルド様から二人に伝えた方がよろしいですよ。あの二人ならエドアルド様がどんな人間でも受け入れてくれるでしょうからね。王宮でエドワード王子を見て真実を知るよりもエドアルド様から打ち明けられた方が嬉しいでしょうからね」
宰相は義両親の事を良く知っているようだ。
呼び捨てにしているのもただ単に二人の身分が低いからじゃなくて、仲が良いがゆえの事なのだろう。
確かにあの二人は僕が王子だと知ってもどうこうするような人達じゃない。
何しろ実の子供であるクリスが生まれても僕を手放したりはしなかった人達だからね。
二人の前に僕を養子に迎えた二組の夫婦は、自分達の子供が生まれると分かった途端、僕をまた孤児院に返した。
実子と分け隔てなく育てる自信がなかったのだろうか?
もっとも、あのまま一緒にいて虐待を受けるよりはマシだしね。
そうならないように回避してくれただけでも有り難いとしよう。
「わかりました。今日にでも義両親に話してみます」
思い立ったが吉日と言うからな。
先延ばしにすると余計に言いづらくなるだろう。
「それでは、私はこれで失礼します。エドアルド様もお元気で。また、お会いしましょう」
いや、もう会いたくないんだけど!
面と向かってそう言うわけにもいかず、僕は曖昧に笑って誤魔化した。
宰相は立ち上がって一礼すると、そのまま応接室を出て行った。
扉の閉まる音が聞こえた途端、僕はソファの背にぐったりと身体を預けるのだった。
「僕は王宮になんて行きません。エドワードにも言いましたが、このまま平凡に暮らしたいんです」
宰相はしばらく僕をじっと注視していたが、やがてフッと表情を緩めた。
「わかりました。陛下にはそのように伝えましょう。ところで、エドアルド様はいつ、ご自分が王子だと自覚されたのですか?」
ああ、やはりその質問をしてきたか。
母親である王妃は僕が前世の記憶を持っていると言わなかったようだから、そこの部分は隠してしまおう。
宰相が信じるか信じないかはともかく、説明するのが面倒くさいからね。
「僕が養子だという事は弟のクリスが生まれた時に聞いていました。その後、お茶会の席に王妃様にお会いして僕が王子だと知ったんです」
「…なるほど。それで、ダニエルとセレナはエドアルド様が王子だと知って…。いや、先ほどのセレナの様子を見るに二人は知らないようですね」
僕はコクリと頷いて宰相の言葉を肯定した。
「義両親は僕が王子だとは知りません。…あの義父様は王宮でエドワード王子に会ったりはしないのですか?」
未だに王宮に勤めている義父様から『エドワード王子に似ている』という指摘を受けてはいない。
いつかは義父様からそんな言葉が出てくるのではないかと思っているが、その時になんと言えば良いのか迷っている。
「エドワード王子はまだ王宮のプライベートゾーン以外の出入りを禁じられていますからね。しかし、十二歳になれば少しずつ公的な場に出られるようになります」
十二歳!?
僕達は既に十一歳を過ぎているから、来年の誕生日には王宮に出入りする貴族には顔を見られるという事だ。
その貴族の中には僕の事を知っている人も少なからずいるに違いない。
どうする?
騒ぎになる前に僕はこの家から出ていった方が良いんだろうか?
押し黙った僕に宰相は優しく微笑む。
「ここはエドアルド様から二人に伝えた方がよろしいですよ。あの二人ならエドアルド様がどんな人間でも受け入れてくれるでしょうからね。王宮でエドワード王子を見て真実を知るよりもエドアルド様から打ち明けられた方が嬉しいでしょうからね」
宰相は義両親の事を良く知っているようだ。
呼び捨てにしているのもただ単に二人の身分が低いからじゃなくて、仲が良いがゆえの事なのだろう。
確かにあの二人は僕が王子だと知ってもどうこうするような人達じゃない。
何しろ実の子供であるクリスが生まれても僕を手放したりはしなかった人達だからね。
二人の前に僕を養子に迎えた二組の夫婦は、自分達の子供が生まれると分かった途端、僕をまた孤児院に返した。
実子と分け隔てなく育てる自信がなかったのだろうか?
もっとも、あのまま一緒にいて虐待を受けるよりはマシだしね。
そうならないように回避してくれただけでも有り難いとしよう。
「わかりました。今日にでも義両親に話してみます」
思い立ったが吉日と言うからな。
先延ばしにすると余計に言いづらくなるだろう。
「それでは、私はこれで失礼します。エドアルド様もお元気で。また、お会いしましょう」
いや、もう会いたくないんだけど!
面と向かってそう言うわけにもいかず、僕は曖昧に笑って誤魔化した。
宰相は立ち上がって一礼すると、そのまま応接室を出て行った。
扉の閉まる音が聞こえた途端、僕はソファの背にぐったりと身体を預けるのだった。
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