御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

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冒険者編

192 ローリーポーリー

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 森に向かって歩きながら僕はアーサーに気になっている事を聞いてみた。

「ねぇ、アーサー。ローリーポーリーってどんな昆虫なんだ?」

 アーサーはちょっと目をパチクリとさせて僕を見る。

「知らないのか? まあ、僕も図鑑か何かで見ただけで実物は見たことがないんだけどね」

 そう言ってアーサーはローリーポーリーについて説明してくれる。

「ローリーポーリーは平べったくて足がいっぱいあるんだ」

 平べったくて足がいっぱいある?

 もしかしてムカデの事か?

 前世では都会育ちだったから「虫」なんて殆ど見た事も触った事も無かった。

 アリはなんとかさわれるけれど、それ以外の昆虫は今ひとつ自信がない。

 アーサーと話をしているうちに森へと到達した。

 この森のどこかにローリーポーリーがいるらしいが、どこにいるんだろう?

 アーサーは森の草むらの方へと入って行く。

「大体虫ってこういう所にいるよね」

 そう言ってガサガサと草むらを掻き分けてローリーポーリーを探している。

「あ、そうそう。ローリーポーリーって外敵から刺激を受けると丸くなるんだって」

 刺激を受けると丸くなる?

 それってつまりダンゴムシ!?

 かすかな記憶を手繰り寄せると幼稚園に通っていた頃にダンゴムシを捕まえて遊んでいたような…。

 だったら僕にも捕まえられそうだ。

 僕もアーサーに習って草むらに入ってローリーポーリーを探し始めた。

 時折普通の大きさのアリは見つかるけれど、他の昆虫は見当たらない。

 本当にここにいるんだろうか?

 そんな疑問が頭をよぎった頃、「うわっ!」というアーサーの驚いた声が聞こえた。

「どうした?」

 アーサーのもとに駆け寄ると、身体を仰け反らせたアーサーがブルブルと震える手で何かを指差している。

 その方向に目をやった僕も思わず後ずさりしてしまった。

 そこには三十センチくらいの大きさのダンゴムシがのそのそと這っていた。

「これがローリーポーリー? こんなに大きいなんて聞いてないよ」

 アーサーが情けないような声を上げて僕に訴えかけてくる。

 僕もこんなに大きいとは思っていなかったから、どうしていいのかわからない。

「これを捕まえるのか? か、噛んだりしないよね?」

 思わず声がひっくり返りそうになる。

「し、知らないよ、そんな事…」

 アーサーも僕と似たり寄ったりの声で返してくる。

 大体こんな大きなダンゴムシを捕まえてどうするっていうんだろう?

 そもそもこれは生け捕りにするのか?

 それとも殺しちゃってもいいのか?

「エド! ゴメン! 僕にはムリ!」 

 そう言ってアーサーは僕の後ろに隠れてしまう。

 いや、僕だってムリだよ!

 僕もダンゴムシから離れようとするが、僕の後ろに隠れたアーサーがグイグイと僕の身体を前に押し出す。

 そのせいで僕とダンゴムシの距離がどんどん縮まっていく。

 もうこうなりゃ仕方がない。

 僕は意を決して両手を伸ばすと、のそのそと這っているダンゴムシを両脇からつかんだ。

 僕の手がダンゴムシをつかむとダンゴムシはすぐに身体を丸くしていった。

「うわっ!」 

 丸くなっていく身体に指を挟まれそうになり、僕は慌てて手を離した。

 ダンゴムシはそのまま身体を丸くしていって野球ボールくらいの大きさになり、そのまま動かなくなった。

「アーサー、もう大丈夫だよ」

 後ろにいるアーサーに呼びかけると、アーサーは恐る恐る僕の身体越しにダンゴムシを見た。

「わ、丸くなってる。これなら触れそうだな」

 そう言ってアーサーは丸くなったダンゴムシを持ち上げると、サッと自分のマジックバッグに入れた。

「こんなふうに丸くなれば捕まえられるな。木の枝か何かで刺激を与えて丸くしてから捕まえれば大丈夫そうだな」 

 そう言ってアーサーは手近にあった木の枝を掴むと、別のダンゴムシを探すために草をかき分け始めた。

 やれやれ。

 まったく世話の焼ける奴だな。

 そういう僕も木の枝を拾うと草をかき分けてダンゴムシを探し始めた。

 
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