御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
217 / 242
冒険者編

217 今後の計画

しおりを挟む
 居間に入ると既にオーウェンとヴィンセントは食後のお茶を飲んでいた。

 僕に気づいたオーウェンが持っていたカップをソーサーに戻す。

「ゆっくり休めましたか? もう少し寝ていてもよかったのですよ」

 僕を気遣うような優しい言葉をかけてくる。

 肉体的な疲労よりも精神的な疲労の方が大きいのはオーウェンもわかっているのだろう。

「いえ、大丈夫です。それよりもウィルが『お腹が空いた』とうるさいので…」

 僕の横でフワフワと浮いているウィルをチラ見すると、ウィルはスーっとテーブルの上に着地した。

「ねぇ、これ食べてもいい?」

 そう言うなりオーウェン達の返事も待たずにお皿に残っていた料理にがっつき始める。

「ウィルってば! お行儀悪いよ!」

 慌ててウィルを止めようとしたが、時すでに遅し。

 またたく間に料理はウィルのお腹の中へと消えていった。

「孵化したばかりで成長中ですからね。それだけでは足りないでしょう。今追加を持ってこさせましょう」

 オーウェンがテーブルの上の呼び鈴を鳴らすと、それほど待たずに料理が運ばれてきた。

 テーブルの上にいるウィルを見ても何も言われないのは、オーウェンの術にかかっているからだろうか?

 ウィルの食べっぷりにつられるように僕も朝食を平らげる。

 昨日の出来事で精神的なダメージを負っていながらも、こんなに食欲があるなんて、僕は薄情な人間なんだろうか?

 少し落ち込みながらも食事を終えると、ヴィンセントがお茶を淹れてくれた。

 ウィルは、と見ると、パンパンに膨れたお腹を抱えて寝っ転がっている。

 あの調子で食べていったら肥満なドラゴンになるんじゃないだろうな。

 ウィルは僕の心配をよそにスヤスヤと寝息を立てている。

 オーウェンもウィルの様子を見てクスッと笑いを漏らしたが、すぐに顔を引き締めた。

「さて、エドアルド君。これからの事について話をしましょうか」

 オーウェンの言葉を受けて僕も背筋を伸ばしてオーウェンに向き直った。

「しばらくはこの街に滞在して向こうの出方を待ちましょう。追っ手を差し向けてくるか、エドアルド君が王都を出た事で何もしてこなくなるか…。見極めてからまた次の対策を練るという事でよろしいですか?」

 敵の正体がわからない以上、向こうの出方を待つしか方法はないだろう。

「わかりました。それでお願いします」

 僕の返事を聞いてオーウェンは満足そうにうなずいた。

「よろしい。せっかく別の街に来たのだから、冒険者ギルドを覗いてみますか? ウィルの戦いぶりも見てみたいでしょう」

 そう言ってオーウェンは爆睡しているウィルに目をやった。

 あんな風に無防備に寝ている姿を見ると、とてもドラゴンには見えないけどね。

 実際に戦ったら強いんだろうか?

 僕は疑わしい目を向けながら、少し冷めたお茶を飲み干した。

しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

処理中です...